更年期障害

「めまい」は更年期障害?その対処法や改善策について

突然襲ってくる「めまい」への不安。

時間や場所など予期することができないため、生活に支障をきたすケースもあります。

立ちくらみや貧血と同じように考えている人も少なくありませんが、

もし40代以降に頻繁に起こるようになったのなら、そのめまいは更年期障害かもしれません。

ここでは、更年期障害としての「めまい」について、その原因対処法改善策をお伝えします。

 

めまいの原因

「めまい」というと“ふらつく”ような不安定さが思い浮かびますが、

そもそもふらつく原因はどこにあるのでしょう?

 
私たち人間は、立っているときも座っているときも重力に逆らって姿勢を維持しています。

これは筋肉と骨格によって支えられているわけですが、

その指示を出すには自分が置かれた状況を把握することが先決です。

この情報収集を行っているのが、視界から確認する目、体の平衡を司る内耳、足や手などの触覚などです。

そして、これらを支配するのが神経系で、その指示に従って筋肉を動かし体の平衡を保っています。

つまり、これらのうちのどこかに不調が生じると、平衡感覚が狂い「めまい」となって現れるのです。

めまいは大きく2種類に分けることができます。

 

《めまいの種類》
回転性めまい天井や周りの景色、または自分自身がぐるぐる回っているように感じます。
人によっては体を動かせないほど激しくなることもあり、
吐き気や嘔吐、耳鳴りを伴うこともあります。
浮動性めまい体が浮いているかのようにフワフワ感じたり、
足元が揺れているように思えてまっすぐ歩けなくなったりします。

更年期の場合は、両方の症状が出ることがありますが、

病気によっては片方の症状が特異的に現れることもあります。

更年期障害によるもの

めまいは更年期の初期の段階…40代半ば頃から起こりやすい症状で、

同じころに発症しやすいものにほてり、のぼせ、発汗などがあります。

めまいが起きやすくなった頃に、これらの症状と生理不順など閉経の兆しが見られたら、

更年期障害による可能性を疑ってみましょう。

必ずではありませんが、更年期障害のめまいには「浮動性」が多い傾向があり、

1日のうちに何度も発症したり、不規則だったりします。

中には朝から夜まで起き上がれないほど重症なケースもありますが、

個人差が大きく、軽いめまいだけで更年期を終える人もいます。

いずれにせよ、更年期が終わる頃には症状も落ち着くことが多いようです。

 
では、なぜ更年期にめまいが起こるのでしょうか?

詳しいことは解明されていませんが、次の3つが関係していると言われています。

  • 自律神経の混乱
  • 感覚器官の異常
  • カルシウム不足

それぞれ見ていきましょう。

自律神経の混乱

めまいに限らず、更年期障害がおこる原因の一番大きな要素が「自律神経の混乱」です。

これは、脳の視床下部が、女性ホルモン“エストロゲン” を卵巣から分泌するように指示を出しても、

加齢によって分泌量が不足するという事態になったときに、

指示通り分泌されないので混乱してしまうため、と言われています。

この混乱が視床下部だけなら良いのですが、

視床下部は体の様々な機能を調節する自律神経と深い関りを持っています。

そして、その調節機能の1つに血圧のコントロールがあります。

このため、エストロゲンが分泌されないことで生じた視床下部の混乱が自律神経に伝わり、

血圧の調節がうまくいかなくなって「めまい」を生じやすくなると考えられています。

また、自律神経の大元である脳幹は、心拍・血圧・呼吸・嘔吐反射・平衡感覚などの神経が

並んで存在するところです。

自律神経がうまく機能しないために脳幹に影響し、

平衡感覚が狂いやすくなることもふらつきの要因となります。

感覚器官の異常

40代半ばの更年期に入ると、卵巣だけでなく様々な器官も老化してきます。

体の平衡を司る器官にはいくつかありますが、その中の1つ「三半規管」も例外ではありません。

三半規官は耳の中にあり、内部はリンパ液で満たされています。

体を動かすと中のリンパ液も一緒に動き、

これによって体の向きが変わったことを三半規管の神経が察知します。

しかし色々な原因でリンパ液が多くなりすぎるなどの異常があると、

体の向きと無関係にリンパ液が移動してしまい、神経は「体が動いている」と勘違いをします。

これが「めまい」として認識されるわけです。

三半規管にリンパ液が溜まる原因の1つに、自律神経の調節機能の低下があります。

エストロゲンの低下が三半規管に影響する可能性もあるわけですね。

なお、三半規管の異常によるめまいは「回転性」であることが多く、

隣に位置する“蝸牛”という器官に影響すると“耳鳴り”を伴うことがあります。

カルシウム不足

私たちの耳の中には「耳石」というカルシウムの粒がありますが、

この一部が剥がれ落ちて三半規管の中に入ってしまうことがあります。

前述の通り、三半規管ではリンパ液の移動によって平衡を感知していますが、

耳石が入り込むことによってリンパ液の移動が正常でなくなり、

平衡感覚が誤作動することがあります。

これが「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」というめまいの原因です。

急に頭を動かしたときに「回転性」のめまいが発症し、30秒から1分程度で治まるのが特徴です。

また、40代以降の女性に多発する傾向(男性の約3倍)があります。

この年代の女性たちはカルシウムの吸収を促進する“エストロゲン”の分泌量が減っているので、

体がカルシウム不足になっていることが原因の1つと考えられています。

カルシウムは耳石の主成分なので、不足するともろくなり、

はがれやすくなってしまうというわけです。

それ以外の原因

エストロゲン低下による更年期障害以外でもめまいを発症することがあります。

中には全く別の病気が原因となっていることもありますので、更年期障害と決めつけないようにしましょう。

更年期障害以外でおこるめまいには

     

  • 貧血(起立性貧血、鉄欠乏性貧血など)
  • 血圧・うつ病などの薬やアスピリンを含む薬
  • 脳の病気(脳出血、脳梗塞など)
  • 耳の病気(メニエール病など)
  •  

などがあります。

激しいめまいや吐き気・頭痛などを伴う場合は病院を受診するようにしましょう。

めまいの対処法

中には体を横たえていてもめまいを感じる人もいますが、

更年期障害のめまいは体を動かしたことによって誘発されるケースが多いといわれています。

ですから、急激に体を動かすようなことを避けるのも、めまいを防ぐ方法です。

特に回転性のめまいの場合は、頭の位置を大きく変えないよう静かに動くようにしましょう。

 
もし、めまいがおこったら、そのまま立っていたり、無理に歩いたりするのは危険です。

転倒による骨折などの二次災害を防ぐため、

近くのものにつかまったり静かにしゃがんだりして、めまいが治まるのを待ちましょう

再び歩き始めるときなども、急に動き出さず、ゆっくりと行動してくださいね。

 

改善策

更年期の間には、頻繁にめまいに襲われる人もいると思います。

しかし、更年期障害によるめまいなら、

症状が酷い、本人が辛さを感じているなどがなければ、特に治療の必要はありません

更年期を過ぎると発症しにくくなる人が多いので、

めまいがおこっても自然に治まるのを待ちながら、体が安定するまでやり過ごしましょう。

でも、辛い場合は医師に相談したり、

生活習慣の改善やサプリメントなどを試してみたりするのも良いですね。

ここでは手軽にできる改善策を紹介しましょう。

食事

めまいの原因の1つに“脳への血流の不安定さ”があります。

これを促進させる物質として、

コーヒーや緑茶に含まれるカフェインや、過剰な塩分水分の不足などをあげることができます。

いずれも血圧を変動させる原因になりますので、適量を守ることが大切です。

特に、加齢によって味覚が鈍る人もいるので、気づいたら味付けが濃くなっていたということもあります。

気をつけるようにしましょう。

 
また、めまいを予防・改善する効果を期待できる栄養素もあります。

《めまいに効果的な栄養素》
栄養素効果多く含む食材
ビタミンB1
ビタミンB12 
自律神経の調節に関与する。
更年期のストレス対策にも有効。
B12は一部のめまいの治療薬にも含まれる。
B1:豚肉、レバー、玄米、豆類など、
B12:アサリ、牡蠣、豚肉など
ビタミンE血流を改善し、自律神経を整える。カボチャ、アボカド、ナッツ類など
大豆イソフラボン原因である“エストロゲン不足”を補うことができる場合がある。大豆やその製品
(納豆、豆乳、豆腐など)

食事に取り入れてみてくださいね。

生活

日常の何気ない行動がめまいを起こりやすくしている可能性も無視できません。

例えば、血圧の不安定さがめまいを誘発させることもあるので、

循環器系や血流の乱れに配慮した生活を送ることも改善策になります。

 
もし、喫煙の習慣があるのなら、やめることをおすすめします。

タバコに含まれるニコチンは中枢神経に作用して

毛細血管を収縮させて血圧を上げることがわかっています。

また、煙に含まれる一酸化炭素は、

本来なら酸素と結びついて体に運ぶ“ヘモグロビン”と結合し、酸素の供給を妨げます

こういった血圧の上昇や脳の酸素不足がめまいを引き起こす原因になってしまうのです。

さらに、喫煙者の閉経は非喫煙者に比べて1~2年早いという報告もあります

(Women and Smoking: A Report of the Surgeon General)。

このようなリスクは自分自身が吸っていなくても周囲に吸っている人がいれば同じです。

気づかぬうちに受動喫煙による影響を受けていることも考えられますね。

家族に喫煙者がいる場合は、配慮してもらうようにしましょう。

 
また、急激な気温の変化によっても血圧が変動し、めまいを誘発することがあります。

特に冬の寝起きや入浴時などは温かい寝床や部屋から寒いところへ移動するので、

場合によっては10℃以上の気温の変化が起こります。

できればあらかじめ気温差が小さくなるように調節しておくといいですね。

エアコン付属のタイマー機能を利用してもいいですし、

入浴前に浴室や脱衣所に湯気を充満させておくことも簡単にできる対策です。

 
一方で、運動により循環器系をサポートしたり、ストレス解消したりすることも大切です。

運動は血液循環がよくなって自律神経の調子を整える効果がある「有酸素運動」がおすすめです。

ウォーキング、ランニング、サイクリング、スイミング、エアロビクスなどが効果的で、

疲労度も少なめですよ。

家事や仕事の合間に取り入れて、リフレッシュするのもいいですね。

サプリ・薬

めまいの症状が気になる場合は、もう少し積極的に緩和する方法を試してみましょう。

これにはドラッグストアなどで簡単に入手できるサプリメント市販薬と、

医師の処方箋が必要な処方薬があります。

それぞれ見てみましょう。

サプリメント

めまい改善に適したサプリメントの成分は、

  • エストロゲン不足を補うもの
  • 自律神経や血圧の安定化を図るもの

が中心となり、商品によって単体あるいは複数の成分が配合されています。

代表的な成分や素材として、

前者は「大豆イソフラボン」「エクオール」「マカ」、

後者は「サポニン」「高麗人参」「ローヤルゼリー」「ビタミンB1、B12」「ビタミンE」などがあります。

サプリに使われる原料や成分は様々ですし、効果には個人差もありますが、

いちばん手軽なので試してみるのも良いでしょう。

なお、「プラセンタ」は病院での治療に使われることもありますが、

サプリメントのように経口摂取での効果は確認されていないので、個人的にはおすすめしません。

医薬品

一方の医薬品ではサプリメントと同じ成分でも、

より純度の高いグレードのものが使用されていたり高濃度に含まれたりしています。

サプリメントは食品扱いなので中には効果効能が怪しいものもありますが、

医薬品はある程度のエビデンス(科学的根拠)があるので、より高い効果を期待できます。

女性の更年期の不調を総合的に捉え、改善することを目的とした医薬品も販売され、

利用者も増えています。

これらの市販薬の成分は、

女性の不調に特化した漢方薬を配合したもの(生薬製剤)や、

漢方薬にビタミンをプラスしたもの(複合薬)などが主体で、錠剤が多いようです。

更年期にはめまい以外にも症状が現れることが多いので、複数の症状を改善したい人におすすめです。

 
また、市販タイプの漢方薬もあり、東洋医学に基づいた考え方によって各種生薬が配合されています。

粉末が多く、更年期障害によるめまいに効果的な漢方薬には

  • 桂枝茯苓丸(けいしぷくりょうがん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

などがあります。

漢方薬に使われる“生薬”には強い成分を持つものもあるので、

使用時は服用中の薬などを伝えて薬剤師に相談するようにしましょう。

処方薬

確実なエビデンスがあり、高純度に精製された成分が高濃度で含まれるため、

かなりの効果が期待できるのが処方薬です。

その反面、成分の強さや副作用などに注意が必要な場合もあり、

医師による処方箋によって調剤薬局で受け取ることになります。

医療機関まで足を運び、医師の診察を受けなければならないため手間はかかりますが、

症状が重い人にはおすすめしたい対処法です。

 
めまいに限りませんが、更年期障害の治療として一般的なのは「ホルモン補充療法」です。

これは更年期障害の一番の原因である「エストロゲン」の補充と、

それによる副作用を出さないための「プロゲステロン」といったホルモンを投与するものです。

投与の方法には飲み薬、パッチ薬、注射などがあります。

 
また、漢方薬にも処方薬があります

前述の漢方薬が「一般漢方薬」と呼ばれるのに対し、処方薬は「医療用漢方薬」と言い、

使用する生薬は同じですが、有効成分の量が医療用の方が格段に多いです。

そのため、処方薬の方が高い効果が得られます。

また一部の漢方薬には保険が適用されます。

ホルモン補充療法に抵抗がある場合は、担当医に漢方薬の利用を相談してみるのもいいですね。

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