更年期障害

「冷え」が更年期障害を悪化?その理由と改善方法

世代を問わず、多くの女性が抱える悩みに「冷え性」があります。

しかし、更年期にさしかかると「夏でも冷える」「冷えていてものぼせる」など、

同じ“冷え”でも変化が見られるようになります。

そして、この冷えが更年期障害の悪化につながることもあるのです。

ここでは更年期障害で冷えやすくなる理由と、他の症状を悪化させる原因

冷えの改善方法について紹介しています。

 

冷えの原因と更年期障害

まず女性の体がなぜ冷えるのか、またそれが更年期障害にどのような影響を与えるのかを見てみましょう。

冷えの原因

私たちの体温は主に筋肉で発生しています。

ですから、男性に比べて筋肉量が少ない女性は、もともと冷えやすい身体をしているといえますね。

さらに、女性は骨盤の中に直腸や膀胱・尿道に加えて子宮・卵巣・卵管があり、

男性よりも窮屈になっています。

内臓にはたくさんの血管が張り巡らされていますが、いくら女性の骨盤が広いと言っても、

これだけ詰まっていれば血行不良が起こりやすくなってしまうというわけです。

 
しかし、これらは年齢に関係なく、女性全般に起こることです。

では、なぜ更年期を迎えた40~50歳代の女性で「冷え」の症状が強くなりやすいのでしょうか?

これには更年期に急激に低下する女性ホルモン「エストロゲン」が深く関係しています。

エストロゲンは脳の視床下部の指令によって脳下垂体を経て、卵巣から分泌されます。

しかし、更年期の女性の卵巣は機能が低下し始めており、

視床下部からの指令が来ていても、必要量を分泌することができません。

この「卵巣が指示に従って分泌してくれない」という状態が視床下部にパニックをおこさせ、

同じく視床下部がコントロールする「自律神経」にも影響してしまうと考えられています。

自律神経は血管の拡張や収縮などをコントロールして体温調節を行っているので、

これが乱れることが冷えにつながると見られているのです。

 
また、更年期世代の女性は、家族や高齢になった親、仕事や育児など様々な悩みを抱えることが多く、

多くのストレスにさらされています。

こういったストレスは筋肉を緊張させ、血液循環を悪くしてしまいます。

同時に自律神経も乱しますから、さらに悪化させてしまうことも多いのです。

更年期障害による「冷え」の特徴

もともと冷えやすい女性の体ですが、更年期に入ると次のような変化が見られる場合があります。

  • 手足が季節に関わらず常に冷えている。
  • 入浴などで温めてもすぐに冷えたり温まりにくかったりする。
  • 冷えの症状と一緒に汗やのぼせなどがある。

こういった冷えは更年期症状に特有のもので、女性特有の体の構造によるものだけでなく、

エストロゲンの低下と過度のストレスによる自律神経の不調が原因と考えられます。

このような冷えの中には、単に寒いというだけでなく他の症状を悪化させたり、

「痛み」として感じたりするものもあり、見過ごさない方が良いものも多くあります。

 

「冷え」が影響しやすい他の症状

東洋医学では「冷え」も病の1つとして捉えますが、西洋医学では症状として認知されるだけで、

発熱と異なり重要視されることはありません。

そのため軽視されることも多いのですが、冷えは思いのほか体に影響を与えており、

特に更年期症状との関係は深いと考えられています。

 
まず、いちばん影響するのが「ホットフラッシュ」です。

ホットフラッシュはエストロゲン低下により生ずる「ほてり」「のぼせ」「多汗」といった症状の総称で、

多くの女性に見られます。

ホットフラッシュが起きる時には突発的に上半身に血流が集まるため、

「カーッ」と暑くなることが多いのですが、

その時、下半身は血流が不足するため、冷えてしまうことがあります。

「ホットフラッシュ」と「冷え」は相反するもののように思えますが、

実は表裏一体の深い関係にあるんですね。

さらに、冷えの症状が強い人は、下半身の血行が悪いため、上半身に集中した血流がなかなか分散されず、

ホットフラッシュの症状が解消されにくかったり頻繁に起こりやすくなったりすると言われているのです。

人によっては頭や首・肩など血行の乱れが肩こり腰痛、頭痛などを引き起こしてしまうこともあります。

 
また、血液には脳や内臓・筋肉など様々な組織に新鮮な酸素と栄養を届け、

不要な物質を運び出すという役割があります。

ところが、血行不良になるとこれらを届けられなくなるため、各器官の機能が低下してしまうのです。

そのため、疲労を感じやすくなったり、免疫力の低下を招いたりすることもあり、

体力の低下無気力感につながる場合もあります。

 
さらに、血液の巡りはリンパ液にも影響します。

血行が悪くなるとリンパ液の循環も悪くなって重力に逆らえずに下半身に溜まり、

足を中心にむくみやすくなります。

このむくみが血管を狭め、さらに血行が悪くなり冷えが酷くなるという悪循環を起こす場合もあります。

 

改善策

このように「冷え」は様々な更年期症状に影響し、さらに悪化させる可能性があります。

ですから、冷えにくいように工夫したリ、冷えにくい体を作ったりすることも、

更年期を上手に乗り切る方法なのです。

ここでは毎日の生活の中で改善できるポイントを紹介しましょう。

食事

食べ物や飲み物は気づかぬうちに同じようなラインナップになっているものです。

更年期世代の女性なら、夫や子供の好みを優先したメニューになっていることもあるかもしれません。

しかし、毎日・毎食のことですから、食事の影響は意外と大きいものです。

体の不調を感じ始めたら、女性目線でも食生活を見直してみましょう

 
その際に注意したいのが“食材の性質”です。

東洋医学や漢方では食材を「陰」「陽」とその中間に分類していて、

近年話題になった“マクロビオティック”もこの原理を用いています。

この陰陽論では、

「陰」の食物には暑い地方で育つものが多く、その土地で生活する人々の体を冷やすのに適しており、

反対に「陽」の食物は寒い地方で育つものが多く、体を温める効果があるとされています。

現代では一年中いろんな作物が収穫でき、世界中から様々な食品が輸入されているので、

食物の旬や原産地などはわかりにくくなっていますね。

ですから、その点を理解して自主的に陰陽のバランスを整えてあげることが

体の調子を整えることにつながるわけです。

 
陰の食べ物であれば、たとえ“出来立てのほかほか”であったとしても、体を冷やす作用を持っています。

ですから「冷え」を強く感じる人は、この陰の食べ物を摂り過ぎないように気をつけることが大切です。

食材の陰陽をまとめておきますので、参考にしてくださいね。

 

《食材の陰陽》
陰・陽の分類代表的な食材
陽(体を温める食材)ニンニク、生姜、ニラ、ネギ、たまねぎ・人参・蓮根・大根・カブなどの根菜、カボチャ、クルミなど
陰(体を冷やす食材)水、葉物野菜、夏が旬あるいは熱帯原産の野菜や果物、カフェイン(緑茶、コーヒーなど)、アルコール類、砂糖が多いもの(菓子類、ジュースなど)

ただし、陽の食材には刺激が強いものが多いので、摂り過ぎには気をつけましょう。

生活

快適に、そして楽に暮らせるようにコントロールされた私たちの生活は、

もともと備わっていた体の機能を低下させてしまうことがあります。

次の点に気をつけて、過ごすようにしましょう。

エアコン

「冷え」の直接的な原因は自律神経の乱れにあります。

しかし、外気温と室内の気温差が大きい生活を続けていると、

自律神経が乱れて体温調節が上手くできなくなってしまい、更年期障害を悪化させてしまいます。

室内外の気温差が7℃以上になると体温調節しにくい体になってしまうと言われているので、

設定温度に気をつけるようにしましょう。

服装

「のぼせ」や「ほてり」の症状が強い人は、ついつい警戒して薄着になりがちですが、

実は下半身が冷えているという例も多くあります。

冷えを感じる人は体温調節をしやすいようにストールや羽織れるものを重ね着して、

ホットフラッシュが起きた時だけ薄着になるようにしましょう。

首や手足の関節を露出させない方が体が冷えにくくなりますので、

ストールや着丈の長い服などでこの部分を覆うことができる服装がおすすめです。

 
また、シルエットが気になるために補正下着を着用する人もいると思いますが、

これらは血行を悪くしてしまうこともあります。

冷えの症状が強く出ている間は、補正下着など体を締め付けるものは使わない方が良いでしょう。

入浴

体を最も効率良く温められるのが「入浴」です。

できれば夏場でもシャワーではなく、ぬるめのお湯につかるようにしましょう。

先ほども触れましたが、クーラーの効いている部屋に長時間いる人は体温調節機能が低下しているため、

外気に触れても体の芯は冷えたまま…ということもあります。

一日の終わりにお風呂でしっかりと体を温めることが大切です。

入浴後は冷えやすい足元の熱を逃さないよう、すぐに靴下を履くなどして保温に努めましょう。

運動

体温は主に筋肉で発生しますから、運動をして筋肉をつけるのも積極的に冷えを解消できる方法です。

交通機関が発達し、歩く機会も減っているうえに、

普段体を動かす習慣のない女性は特に筋力が低下しがちです。

筋トレとまでいかなくても、今の筋力をキープするための運動はとても大切です。

体を動かすことで血流も良くなりますし、

習慣的に行えばエストロゲン低下に伴って進行しやすい「骨粗しょう症」にも

なりにくいそうですよ(公益財団法人 骨粗鬆症財団)。

ふくらはぎは第二の心臓ともいわれるほどポンプの働きをするので、

ここの筋肉を使うウォーキングジョギングがおすすめです。

薬・サプリ

「冷え」は病名のつきにくい症状と触れましたが、

ホットフラッシュやめまいなど他の更年期症状も強く出ている場合は、婦人科を受診すると良いでしょう。

飲み薬や貼り薬などで「ホルモン補充療法」を受けると、

個人差はありますが、ほとんどの更年期障害が改善できます。

副作用の心配があるので、必ず医師の指導のもとで行いましょう。

 
しかし、更年期障害の症状が「冷え」を中心としたもので、

他の症状があっても重症でないのなら、漢方薬をおすすめします。

食事の項でも述べましたが、

漢方は陰陽の考えに基づき、古くから様々な薬草を組み合わせることで

冷えの改善に利用されてきました。

一口に「冷え」と言っても体質によって適した漢方がありますので、

できれば専門医に相談し自分にあった薬草を調合してもらうのが一番ですが、

すでに確立された組み合わせの漢方薬もあります。

ここでは特に「婦人科3大漢方薬」と呼ばれる代表的な3つを紹介します。

成分の濃度などに違いはありますが、

病院の処方薬のほか、ドラッグストアで市販薬を入手することもできますよ。

加味逍遥散(カミショウヨウサン)

体力が中程度、または虚弱気味で疲れやすい人に向いています。

「冷え」だけでなく、のぼせ、肩こり、イライラ、などの更年期症状にも効果があると言われています。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

比較的体力がある人に向いています。

手足は冷えているのに上半身がほてるような人で、

精神的に比較的落ち着いている人に処方されることが多い漢方です。

もともと「血の巡り」を改善する効果があり、生理痛などでも処方されます。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

貧血気味でむくみなどがある冷え性の人に向いています。

血行を良くして体を温めるほか、貧血の改善、鎮痛、ホルモンバランスを整える効果などもあります。

また、水分代謝を上げるため、むくみの改善にも効果があります。

 
また、有効な食材の成分を濃縮したサプリメントも多数販売されています。

冷えはエストロゲンの低下と血行不良が主な原因ですから、

これを改善する成分を含んだサプリメントを選びましょう。

エストロゲンを補う作用がある成分は「大豆イソフラボン」「エクオール」「ローヤルゼリー」、

血流改善作用がある成分は「高麗人参」「田七人参」に多く含まれる“ジンセノサイド(サポニンの一種)”、

ビタミンE」などが有名です。

全般的に更年期症状がある場合は前者を、

特に冷えの症状で悩んでいる場合は後者を中心にサプリメントを選ぶと良いでしょう。

 
なお、サプリメントは薬ではなく食品ですので、効果がすぐに現れるというものではありません。

個人差も大きいので、1か月~数か月は様子を見て、自分に合っているか判断するといいですね。

ただし、パッケージに記載された1日の目安量を必ず守りましょう

食品扱いとはいえ、漢方薬に含まれる成分を多く含んでいるものもあるからです。

また、薬を服用している人は、主治医にサプリメントを利用しても問題がないか確認しておきましょう。

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