更年期障害

「汗」と更年期障害 その原因と対処法について

何の前触れもなく溢れ出す大量の汗

外出中なら人目も気になりますし、何より不快ですよね。

その汗が運動とも気温とも関係なく出てくるなら、もしかしたら更年期障害によるものかもしれません。

ここでは、更年期障害による汗の原因特徴をわかりやすく解説し、

汗が出た時の対処法改善策についてお伝えしています。

 

汗の悩みと更年期障害

汗は主に体温を調節するためにかきます。暑ければ汗をかくのは当然ですね。

でも、気温に関係なく顔や頭背中を中心に汗が止まらない…ということはありませんか?

もし月経不順など閉経の兆候があるのなら、その汗は更年期障害による可能性が高いと言えます。

個人差はありますが、多い人では“滝のように吹き出す”、“夜間にパジャマがびっしょりになる”

というくらい大量の汗をかくケースもあります。

しかも時間や場所に構わず発症します。

 
このような不自然な「汗」は、頭に血が上ったようになる「のぼせ」や、

顔や身体がカーッと熱くなって紅潮する「ほてり」と共に“ホットフラッシュ”と呼ばれ、

更年期障害の代表的な症状です。

更年期障害の汗には、

  • 時間と場所を選ばない
  • じっとりして量が多い
  • 汗をかく部位は上半身が中心

といった特徴があります。

特に顔や頭、首といった目立つところに出やすい傾向があるため、

大量の汗による化粧崩れ、脇や背中の服のシミ、周囲へのニオイなどが気になって

悩んでいるという人もたくさんいます。

 

汗をかく原因

では、ホットフラッシュによる汗はなぜ出るのでしょうか?

これには女性ホルモンである「エストロゲン」が大きく関与しています。

このエストロゲンと汗の関係について、詳しく説明しましょう。

 
女性の成熟期には妊娠・出産に備えて“排卵”と“月経”がおよそ28日周期で繰り返し起こっています。

この周期は脳の視床下部にある下垂体と卵巣の間で、

それぞれから分泌されるホルモンを介して調節されています。

しかし、更年期に入る40代半ばあたりから卵巣の機能が低下しはじめ、

下垂体の指示に従ってエストロゲンを分泌することができなくなっていき、

これが視床下部に混乱を与えます。

「エストロゲンを分泌せよ」という指示に従ってくれないので、

視床下部がパニックを起こしているようなものです。

パニックだけなら良いのですが、

まずいことに視床下部は体の様々な機能を調節する自律神経とも深い関係を持っています。

その機能の1つが血管の拡張や収縮をコントロールして体温や発汗の調整を行うことなのです。

そのため、エストロゲンの分泌量減少によって自律神経が乱れ、発汗調整がうまくできなくなるので、

気温などの変化に関わらず大量の汗が出てしまう…というわけです。

 
これらの現象は全身で起こりますが、

ホットフラッシュによる発汗は上半身…特に首から上に集中していますね。

これには汗を出す器官「汗腺」の分布が関係しています。

汗腺とは主に「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2つを指しますが、

体温調節に関わるのは「エクリン腺」です。

人間の場合、エクリン腺は体全体に存在していますが、分布の多い場所・少ない場所があります。

特に、頭部、顔の“おでこ(額)”、脇、手のひら、足の裏などに多く存在しているので、

ホットフラッシュが起こると上半身に汗が多く見られるわけですね。

 
このエクリン腺から分泌される汗の成分は99%以上が水で、

その他にナトリウム・塩素・尿素・アンモニア・アミノ酸などが含まれています。

汗自体は無臭なのですが、これらの若干の栄養分を含むため、

皮膚表面の細菌が繁殖してしまうと嫌なニオイを発します。

悩みがつきませんね。

 
また、体温調節だけでなく緊張などのストレスでも汗をかくことがあり、

エクリン腺はアポクリン腺とともに、このような“精神性の発汗”にも関係しています。

更年期世代の女性たちは夫や自分の健康面、親の介護など様々なストレスを抱える年代でもあります。

ひと昔前は40~50代になる頃には子育ても一段落を迎える時期だったのですが、

晩婚化に伴い、この年代になってもまだまだ現役という女性も少なくありません。

人によっては子育てや進学、これらに関わる金銭的な負担も上乗せされますね。

こういった精神的な不安定さがベースにあると、少しのストレスでも汗をかきやすくなると言われています。

このため、例えばちょっと人前で発言したり人の視線が気になったりといった、

本人は気づかないほどの些細なストレスが急激な発汗の原因になっていることも考えられます。

「汗をかき始めて周囲を気にしたら、ますます汗が酷くなった」などのケースは

ホットフラッシュでしばしば見られるものですが、

焦れば焦るほど大汗…というのもこの辺に原因があると考えられています。

特に、おでこ周辺は精神性の発汗が起こりやすい場所です。

 

対処法

それでは突然起こる発汗に、どのように対応すれば良いでしょうか?

難しい面もありますが、対策としてできることは、

  • 落ち着く(焦らない)
  • 体を冷やす
  • 汗を拭きとる
  • グッズなどを利用する

などです。

それぞれ見てみましょう。

落ち着く(焦らない)

まずは気持ちを落ち着けましょう。

深呼吸してリラックスし、人目を気にし過ぎないようにすることです。

それが難しいという人は、せめて慌てないように心掛けて下さい。

ホットフラッシュの汗には精神面も大きく影響しています。焦れば焦るほど逆効果になるケースもあるのです

体を冷やす

次に、首の後ろ側など太い血管が流れているところに冷たいものを当てて冷やしましょう

可能なら両脇を冷やすのも効果的です。

体温調節がうまくいかないために生じた汗なら、冷やすのが一番だからです。

濡らしたタオル、ウェットティッシュ、冷却シートなど冷たいものなら何でもOKですが、

おすすめは保冷剤です。

冷却効果が高く、ある程度の時間は持つので、体を冷ますのに適しています。

冷却シートは携帯できる利点がありますが、効果はさほど強くありません。

ただし、貼ると気持ちが良く安心できるというのであれば、

精神的な効果も期待できるので実行する価値があるでしょう。

 
なお、ホットフラッシュの場合は顔周辺は暑さを感じていても、

下半身は冷えている「冷えのぼせ」がおきていることもあります。

全身を冷やし過ぎないように気をつけましょう。

拭き取る

また、汗のニオイも気になるところですね。

汗自体は無臭ですが、皮膚表面に棲みついている細菌が繁殖すると嫌なニオイを発生させます。

ですから、汗をかいたらすぐに拭き取るのが基本です。

タオルハンカチやガーゼは小さくても吸水性があるので、通常のハンカチよりおすすめです。

背中や脇などの汗も下着の上にキャミソールやタンクトップなどのインナーを着用して、

すぐに吸い取れるようにしましょう。

最近では様々なインナーが発売され、吸水性や速乾性に優れたもの、

抗菌防臭加工が施されたものなどたくさんあります。

また、体温調節がしやすいように、

カーディガンやストールなどの「はおり物」を利用すると良いでしょう。

 
就寝中に発症すると一度起き上がって着替えたりシーツを変えたりしなければならないため、

そのあと眠れなくなってしまう人もいます

睡眠が不十分だと、頭痛やだるさなど他の症状にも影響しますね。

そこで、あらかじめ枕元に着替えを用意しておいたり、シーツの上にバスタオルを敷くなどして、

動き回らなくても済むように工夫してみましょう。

グッズなどを利用する

汗ジミが気になる人は「汗脇パッド」などを利用してもいいですね。

非常に薄型なので、使用していても周囲の人に気づかれませんよ。

 
また、汗止めのためのグッズも各種販売されています。

体温を調節するための汗は無理に抑えると危険なので、全身でなく部分的に利用するようにしましょう。

制汗剤にはジェルやローション、スプレーなどがあり、汗腺の出口を塞いで汗を出にくくする効果があります。

脇はスプレーでも構いませんが、顔は塗るタイプの方が使いやすいでしょう。

使用時はかぶれなどの肌症状に気をつけ、早めに洗い流すようにしてくださいね。

さらに、頭部の汗に効果がある「汗止めバンド(汗止め帯)」も売られています。

これは胸の上5センチくらいにある「制汗のツボ」をバンドによって刺激しておくというもので、

昔から舞妓さん女優さんなどの間で顔汗対策として利用されていたものです。

細いベルト状のものをきつめに巻くだけでも効果がありますが、

最近ではインナーウェアと一体化したものや、レースのかわいいもの、

マジックテープ付きで着脱が簡単なものなど様々で、チラ見せできるものも多く販売されています。

人によっては「かゆい」「蒸れる」「痛い」などありますが、

皮膚圧反射”という体の性質を利用しているので、バンドの位置があっていれば効果が得やすいですよ。

 

改善策

汗が出てしまうのは仕方がないとしても、

やはり大量の汗は気になるし、就寝中に起これば安眠できず、弊害も大きいというのが現実です。

もう少し何とかならないかしら…というのが本音ですね。

ここでは、ホットフラッシュの汗を改善する方法を紹介します。

不快な汗を少しでも解消できるよう、生活に取り入れてみてくださいね。

運動

前述の通り、体温調節に関与する汗腺(エクリン腺)は体中に分布しています。

しかし、全部の汗腺が働いているわけではありません。

住んでいる地域や生活習慣などによって機能している汗腺(能動汗腺)の数には大きな差があるのです。

暑い地域の人の能動汗腺は多く、寒い地域の人は少ないといった具合です。

よく発汗する人の方が能動汗腺が増えるわけですね。

これは気温に限らず、運動による発汗でも同じです。

日常的に体を動かし、汗をかく習慣がある人は能動汗腺が多いのです。

しかし、現代の生活スタイルでは空調がコントロールされているため、夏場でも汗をかく機会が減っています。

加えて運動不足の人では、さらに能動汗腺が減ってしまっている状況にあるのです。

 
これがホットフラッシュによる汗を生じた時に、

顔や頭から大量に汗をかいてしまう原因になっています。

つまり、体中のエクリン腺から汗を出そうとしても能動汗腺が少ないため、

もともと分布の多い頭部に集中して発汗してしまうのです。

逆を言えば、いろんな場所のエクリン腺から汗を出せるようになっていれば、

汗の量は全身に分散され、頭部に集中した“滝のような”汗をかかなくて済むわけです。

 
ですから、ホットフラッシュの汗で悩む人には、まず能動汗腺を増やすように運動することをおすすめします。

特にウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動

体力のない人にも負担が少なくおすすめです。

運動には自律神経を整える効果もあるので、一石二鳥ですね。

通勤や買い物、散歩などに徒歩や自転車を取り入れて、1日30分くらい行うのがいいでしょう。

無理に毎日行うことはありませんが、負担にならないように継続して行ってくださいね。

薬・サプリメントなど

体の内側…できるだけ根本から改善したいという場合には薬やサプリを利用する方法もあります。

ホットフラッシュによる汗だけでなく更年期障害の様々な症状に効果があるのは、

医師に相談し、薬の処方や指示を受けることです。

低下したエストロゲンを中心に補充する「ホルモン療法」や気持ちを安定させる「精神薬」、

専門家による「漢方薬」や「カウンセリング」などによって

80%以上に大きな改善がみられるといわれています。

副作用の心配や、診察の手間などのデメリットもありますが、

汗が酷くて生活に支障があったり他の症状でも悩んだりしている場合は、

婦人科などに相談した方が良いでしょう。

 
また、市販薬でも更年期障害用のものが多数あります。

漢方薬に使われる生薬や、これにビタミン類をプラスした製剤などがあるので、

薬剤師に相談してみるといいでしょう。

市販の漢方薬を購入する場合、症状が同じでも、

その人の体質によって適した生薬が異なったり副作用も考えられたりするので、

できれば薬剤師に相談の上、購入するといいですね。

 
この点、サプリメントは健康食品なので簡単に購入でき副作用も少ないという利点がありますが、

人によっては効果が薄い場合もあります。

体質などにもよりますし、使ってみなければ効果の程はわからないので、

手軽に購入できるものなら試してみる価値があると思います。

サプリの成分としては、エストロゲンに似た働きをする

大豆イソフラボン」や「エクオール」「マカ」などを含むものがおすすめです。

代謝をあげて発汗しやすくすることも大切ですから、

運動のサポートとして「ビタミンB群」なども適しています。

他に、自律神経を整えるサプリとして「ギャバ(GABA)」「高麗人参」「ローヤルゼリー」などがあり、

ビタミンB群」はこれに対しても効果があります。

 

病気の可能性

大量の汗をかく症状は更年期障害以外でも見られます。

よく見られるのは、「甲状腺異常(バセドウ病など)」や「糖尿病」などです。

また、部分的に過剰な発汗が見られる場合は「多汗症」も考えられます。

汗が気になる場合は医療機関を受診し、

更年期障害によるものなのか、他の病気によるものなのか診察してもらうようにしましょう。

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