更年期障害

もう「イライラ」しない!更年期障害との付き合い方

自分で感情のコントロールができないのは、本当に辛いことです。

落ち着けば「なぜ、あんなに怒ってしまったんだろう」と思っても、取り返しがつきません。

周囲を傷つけ、自己嫌悪に陥るといった毎日を繰り返す…でも、それは更年期の影響かもしれません。

ここでは更年期障害の症状である「イライラ」の原因と、上手な付き合い方について紹介します。

 

イライラの原因

「女心と秋の空」とは変化しやすいものの例えですが、そう表現されるほどに女性の心は複雑です。

これには女性の体が周期的にホルモンの支配をうけること(月経)と深く関係していて、

その時に分泌されているホルモンが脳にも働きかけ、精神面にも大きく影響を与えることが一因でもあります。

更年期障害によるもの

しかし、精神に関与していた女性ホルモンが急速に減少する時期があります。

それが更年期です。

特に卵巣から分泌される「エストロゲン」が低下してきます。

これは年齢による卵巣の機能低下が原因であるため、女性なら誰にでも起こる現象なのです。

しかし、エストロゲン減少による影響は個人差が激しく、実に様々です。

一般的に更年期障害と呼ばれる症状には、

肉体面に現れるめまい・のぼせ・ほてり・多汗・冷えなどと、

精神面に現れるイライラ・うつ・無気力などがあります。

これらの症状を全く感じない人もいれば複数発症する人もいますし、

日常生活が送れないほどに重症化する人もいます。

症状の根本はエストロゲンの減少にあると見られていますが、

発症の経緯に関しては完全に解明されていません。

現段階では、肉体面への影響は主に自律神経が上手くコントロールできなることと考えられていますが、

精神面は自律神経とともに脳内物質「セロトニン」との関係性が疑われています。

 
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、私たちに幸福感を与える作用を持っています。

エストロゲンにはセロトニン系神経の機能と密接な関係があり、

脳内でのセロトニンの情報伝達を活発にしていると言われています。

つまり、エストロゲンが豊富であるほどヤル気が起こりやすく、気分も高揚し、

楽観的な積極性や精神の安定性などを保つ方向に働くのです。

逆に言うと、エストロゲンが低下する更年期には情緒が不安定になり、

いわゆる「イライラ」しやすい精神状態につながっていくと考えられています。

それ以外の原因

もともと、女性は気分の浮き沈みが激しいと言われています。

女性の生涯におけるうつ病発症率は男性の2倍とされていますが、

その他の精神疾患にかかる割合も女性のほうが多いとされています。

冒頭で触れたように、エストロゲンをはじめとする女性ホルモンは、

更年期でなくても一か月のうちに増減を周期的に繰り返しているため、その影響が大きいのでしょう。

 
また、エストロゲンの低下によっても自律神経が乱れやすくなりますが、

睡眠不足ストレスによっても不調を起こします。

これがイライラ感を増す原因になっていることもあります。

 

イライラの対処法

アメリカの国立衛生研究所によると、

更年期にうつ病やイライラなど気分の変調を訴える人は8%~38%程度と発表されており、

日本でも同程度いると言われています。

人種や国民性に関係ないとなれば、性別によるものと見ることができますね。

女性なら誰もが通る道…と楽観視することも大切かもしれません。

 
それでもイライラをコントロールすることは難しいですよね。

そんな時に気分転換やリラックスできる方法を見つけておくことも大切です。

例をあげますので、自分にあったものを探してみてくださいね。

6秒ルール

怒りやすい人のことを「瞬間湯沸かし器」と表現しますが、実は怒りのピークは6秒と言われています。

この6秒間をやり過ごすことができれば、怒りも治まりやすいというのです。

実践に当たっては、どのようにやり過ごすかがポイントですが、

例えば“自分の怒りレベルを数値で表現してみる”とか“今日の朝ごはん、何食べたっけ?”など

「怒り」そのものから離れたり、全く別のことを考えたりするのが良いようです。

この6秒間に考えることの「自分なりのルール」を決めておく…ということですね。

“意識を他に向けること”で怒りを和らげるこの方法は

アンガーマネジメント」として注目されています。

「怒り」と「イライラ」は必ずしも一致しませんが、

イライラが周囲に向かう瞬間に6秒間「待った」をかけることで、

周りの人を傷つけずに済むかもしれません。

自己嫌悪に陥ることも防止できそうですね。

立ち去る

イライラを感じたら、その場から離れることも良い方法です。

子育てを経験した方なら、育児のストレス軽減法として知っているかもしれませんね。

冷静に戻れることもありますし、他のことに意識を向けているうちに忘れられることもあります。

基本的に「イライラ」の原因となった物事は、

自分の力だけで解決できないからこそイライラするものなので、

そこにいても解決しないと割り切って、離れてしまいましょう。

リラックス法

これは人それぞれだと思いますが、気分転換ができれば何でもOKです。

運動で汗を流してスッキリするのもいいですし、熱めのシャワーを浴びてさっぱりするのもOKです。

お気に入りのフレグランスアロマキャンドルを使うのもいいですし、

用事がなくても外に出かけてしまうのも意外と落ち着きを取り戻せるものです。

趣味や日課にしていることに打ち込むのもいいですね。

 
でも、「更年期うつ」の症状も併発している場合は、活動的なことと無縁になっているかもしれません。

無理にアクティブにならなくても、SNSやインターネットなどを利用して、

誰かと悩みを共有するのも良いと思います。

でも、「リラックスしなきゃ」「気分転換しなきゃ」と思い詰めるのは逆効果です。

人それぞれですから無理をせず、「私、イライラしているな」と自分自身が受け止めることが第一歩ですよ。

 

改善策

このように自分の感情を受け止める一方で、

イライラそのものを感じたくないという気持ちがあるのも当然です。

イライラが起きてからの対処法だけでなく、イライラしないための改善策も実行してみると良いでしょう。

食事

バランスのよい食事を摂ることが一番ですが、中でも次の栄養素や食材を積極的に摂るようにしましょう。

ビタミンC

ビタミンCにはアンチエイジングをサポートする抗酸化作用がありますが、

ストレスに対抗するホルモンの材料となることでも知られています。

更年期の女性には一石二鳥の嬉しい成分です。

ビタミンCはイチゴ、キウイフルーツ、リンゴ、ホウレン草、ピーマン、ゴーヤなどの

果物や野菜に多く含まれています。

 
他にレモン、ブロッコリー・キャベツなども含有量が高いのですが、

前者の柑橘類に含まれる「リモネン」や後者のアブラナ科の野菜類に含まれる「亜鉛」などが、

エストロゲンを分解したり合成を阻害したりすると言われています。

更年期障害がある期間は、あまり積極的に摂らない方が良いでしょう。

ビタミンB1・B12

ビタミンB1とB12には自律神経の調子を整える作用があります。

そのため、主な更年期症状(めまい・のぼせ・ほてり・多汗など)も緩和する効果があるので、

複数の症状に悩んでいる人におすすめの栄養素です。

もちろん、ストレスを和らげてくれるので、イライラの軽減にも役立ちます。

ビタミンB1は玄米、小麦胚芽製品、豚肉、うなぎ、のりなど、

ビタミンB12はしじみ・アサリなどの貝類、レバーなどに多く含まれています。

炭水化物

ダイエットの大敵とされる炭水化物ですが、私たち人間の重要な栄養源でもあります。

特に日本人は欧米人よりも炭水化物の要求量が大きく、ダイエットなどで制限しすぎると良くありません。

その1つが精神面への影響です。

炭水化物は消化されるとブドウ糖となり、脳の唯一の栄養源になります。

これが不足すると正しい判断ができなくなり、情緒も不安定になってきます。

お腹が空くと怒りっぽくなるという経験は誰にでもあるでしょう。

もちろん摂り過ぎは良くありませんが、

適度に摂ることはイライラしにくい精神状態を作ることにつながります。

炭水化物を摂る時は白米や白いパンではなく、玄米や胚芽パンなど茶色っぽいものを選ぶと良いでしょう。

ビタミンB1も同時に摂れるので、おすすめですよ。

生活リズム

イライラの直接的な原因は、自律神経の乱れにあることが多いと言われています。

ですから、自律神経の調子を整えることもイライラしにくい精神状態につながるわけです。

簡単でおすすめしたいのは「朝日を浴びること」です。

辛くなければ朝6~7時には起き、すぐに体いっぱいの朝日を浴びましょう。

同じ時間に起きるのが理想ですが、頑張ろうとすること自体、ストレスになることもあります。

まずは「起きたら日光浴」を心掛けてください。

 
では、なぜ朝日を浴びることが良いのでしょうか?

人を含めた哺乳類は朝日を浴びることで「体内時計」をリセットします。

それによって活動時間が来たことを知り、

それに適した体(体温の上昇、胃腸の活性化など)に整えるべく自律神経も働き出します。

また、朝日の刺激によって「セロトニン」が分泌されることもわかっています。

前述のように、セロトニンには精神を安定させ、

興奮状態を引き起こす自律神経の1つ“交感神経”を鎮めてくれます。

さらに、朝日をしっかりと浴びて体内時計がリセットされると、

その14~16時間後くらいに睡眠を促すホルモン「メラトニン」が分泌されることもわかっています。

睡眠不足は自律神経を乱れさせ、イライラの元凶になりますから、

深く良質な睡眠を得ることは更年期症状の改善に有効な手段です。

自律神経が整えば、血液循環もコントロールしやすくなるので、

これらの不調に伴うめまいや多汗なども軽減できますよ。

薬・サプリメント

食事や生活の改善は、家族と共に暮らし家事を担う更年期世代の女性にとっては、

意外とコントロールしにくいものかもしれません。

そういう場合は、サプリメントを利用するのもいいと思います。

 
特にイライラが酷く周囲への影響が大きい人や、

その他の更年期障害でも悩んでいる人はを試してみることをおすすめします。

最も効果が高いのは、婦人科などで処方されるホルモン剤です。

これは「ホルモン補充療法」と呼ばれ、更年期障害のスタンダードな治療法です。

薬は「飲む」「貼る」「塗る」のいずれかで体内に摂り込み、

減少しているエストロゲンを補うことで症状の改善を図るものです。

個人差はありますが、8割以上の患者で有効と言われる反面、発がんリスクが心配されるため、

医師の指導の下での利用をおすすめします。

 
また、ホルモン剤の使用に不安がある人は「自律神経調整薬」や「漢方薬」を使うという方法もあります。

漢方薬は市販品もありますが、種類が多いので薬剤師に相談すると良いでしょう。

婦人科でも希望すれば処方してもらえます。この場合、保険が適用されます。

 
もっと手軽に…というのであれば、サプリメントもあります。

サプリメントは食品なので薬ほど効果テキメンというわけではありませんが、

症状や体質によっては十分な効果が得られる人もいます。

大豆イソフラボン」や「エクオール」は更年期障害の様々な症状に有効ですが、

“イライラ”に特化して考えると、自律神経を安定させる「GABA」や、

脳内に働きかけ気持ちを安定させる「DHA」「EPA」、

ストレス軽減やリラックスに効果がある「テアニン」などがおすすめです。

ドラッグストアなどでも入手可能ですので、自分に合うサプリを探してみましょう。

ただし、薬を飲んでいる人や通院中の人は医師に確認してから飲むようにしましょう。

パッケージに記載された1日分の量も守ってくださいね。

 

更年期障害の人への接し方

「イライラ」は本人だけでなく、家族や同僚など周囲の人たちを不快にしてしまうこともあります。

もし、身近な人が更年期障害によるイライラを発症している場合、どのように接すればよいでしょうか?

 
妻が更年期障害を抱えている場合は、その生活ペースを乱さないようにしてあげることが第一です。

多くの主婦は家族に併せたライフスタイルを余儀なくされています。

夫や子供が早く出かけるなら早起きして朝食を作り、

帰宅が遅ければ待っていて食事の支度・後片付けをする…などです。

当然のようにこなしてきた生活も更年期に入ると無理がきかなくなり、症状として現れやすくなるのです

その点を理解し、早朝に出発するなら前夜に簡単な朝食を用意しておいてもらう、

自分で作るなどを申し出て、帰宅が遅いなら先に休むように連絡をいれてあげることが大切です。

家族にとっても更年期のイライラで振り回されるより、

優しい対応を心掛けて負担を軽減してあげる方が建設的と言えるでしょう。

職場でも同様です。

イライラに気づいたら、休憩に誘ってみる、残業を無理にさせないなど配慮してあげられるといいですね。

 
何よりも辛いのは本人です。

イライラをぶつけられても「更年期で大変なんだな」と受け止められれば険悪な雰囲気を生まずに済みますね。

そして、大切なのは“更年期は永遠に続くものではない”ということです。

対応する側も「今の時期だけだしね」と大らかに捉えましょう。

ムキになったり無視したりするのは逆効果です。

更年期のイライラではなくてもそうですが、

「触らぬ神に祟りなし」の精神で当たり障りなく接してあげることも、

長い目で見れば良い関係につながるでしょう。

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