更年期障害

不眠と更年期障害の関係 その理由と改善方法

不眠に悩む人は多く、ある調査によると成人の約3割が何らかの不眠症状を持っていると言われています。

中でも40代以降に睡眠に関する悩みを訴える女性は多く、

これには更年期が関係しているケースも珍しくありません。

ここでは、不眠と更年期障害の関係について原因改善法を紹介するとともに、

睡眠の正しい知識について紹介しています。

 

不眠の原因

ストレスが多い現代人にとって、不眠は大きな問題です。

睡眠が妨げられると、疲れが取れなかったり注意力が散漫になったりと、

翌日の生活に支障が出てしまいますね。

このように不眠が続いて身体的にも精神的にも不調が現れる状態を「睡眠障害」といい、

症状によって次の4つに分類されています。

 

《睡眠障害の分類》
分類症状
入眠障害横になってから入眠するまでに時間がかかり、寝つきが悪いもの
中途覚醒入眠後、翌朝起きるまでに何度も目が覚めるもの
早朝覚醒通常の起床時間より2時間以上早く目が覚め、再入眠できないもの
熟眠障害睡眠時間が十分にも関わらず、深く眠った感覚が得られないもの

「不眠」といっても様々な症状があるわけですね。

では、なぜこのような睡眠障害がおこるのでしょうか?

原因別にみていきましょう。

更年期障害によるもの

実は、男性よりも女性の方が年齢に関係なく睡眠に関する不満を持ちやすいと言われています。

これには、女性ホルモンの周期的な変動や、

家族全員と深く関わりがあるために生じる妻・母としてのストレスなど、

女性の方が男性よりも睡眠を妨げる複雑な要素が多いため…と考えられています。

 
加えて、40代になると閉経による更年期障害の影響も出てきます。

更年期障害は卵巣の機能低下に伴う「エストロゲン」の減少により自律神経が乱れることで

色々な体調不良を引き起こしますが、これが脳にある睡眠中枢にも影響を及ぼしてしまいます。

自律神経には主に活動時に働く「交感神経」と休息時に働く「副交感神経」がありますが、

これが乱れている更年期世代の女性では、

正常ならば睡眠の時間が近づくと優位になるはずの副交感神経が機能せず、

眠りが訪れにくくなってしまうという現象がおこっているのです。

さらに、更年期障害の症状であるホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・多汗)が就寝中に起こると、

その不快感から目が覚めてしまったり、

イライラやストレスなどの精神状態から眠りにつきにくくなったりもします。

また、月経がある時期に主に働く「プロゲステロン」には眠気を強める働きがあることが知られています。

月経中にどうしようもないほどの眠気を感じたり、

朝起きるのが辛くなったりした経験を持つ女性も多いことでしょう。

しかし、閉経するとこの分泌量にも変化が生じるため、今まであった周期的な眠気は訪れなくなります。

 
更年期の女性では、こういった複数の要因が重なってしまうこともあり、

特に睡眠障害になりやすい傾向があるのです。

しかし、相互に関係しあっているため、更年期障害か睡眠障害のどちらか一方が改善すると、

もう一方も改善するケースが多いという特徴もあります。

改善策については後述しますので、自分にあった方法を探して、体の負担を軽くするようにしましょう。

他の原因によるもの

不眠の原因が更年期障害にあることは多いのですが、だからといって決めつけてしまうのは危険です。

不眠の症状を有する疾患は意外とたくさんあるからです。

 
特に、心にトラブルを抱えている場合は不眠の症状を訴える人が多く、

中でも“うつ病”の患者では90%の人が悩んでいると言われています。

更年期障害でも精神症状が現れることがありますから、

双方の原因で睡眠障害を起こす可能性もあるわけですね。

 
また、“糖尿病”の患者では多尿・のどの渇き・痛みなどによって睡眠が妨げられるため、

約3割に症状があると言われ、

泌尿器系疾患”の患者も頻尿のためにトイレに起きることになるため、睡眠不足になりがちです。

また、“高血圧”の傾向がある人の半数近くも不眠症であると言われています。

さらに“アトピー性皮膚炎”やいわゆる乾燥肌などによる湿疹を持つ人も睡眠障害になりやすいです。

就寝時は体温が上がるので、余計に痒みが増し、なかなか寝付けなくなるわけですね。

他にも、睡眠中に呼吸が止まってしまう“睡眠時無呼吸症候群”や、

睡眠中に足の筋肉が連続して痙攣(けいれん)する“周期性四肢運動障害”なども

睡眠障害を引き起こす病気です。

更年期障害の他の症状があると不眠の原因も更年期障害と思いがちですが、

全く別の原因のために起きていることも考えられるので、

改善が見られない場合は医師に相談してみましょう。

 

眠りの質について

このような病気や要因によって、自分の睡眠に満足できないという人はたくさんいます。

そして、睡眠への不満感は思春期を過ぎたころから年齢と共に増していく傾向があります。

特に女性の場合、これが顕著に表れると言われています。

…というのも、更年期前に多く分泌されていたエストロゲンには心身の抵抗性を高める働きがあり、

多少の辛さがあってもそれに対するストレスを感じにくくしてくれていたのですが、

閉経とともに分泌量が低下することで、不眠などのストレスを感じやすくなることが一因とされています。

しかし、「本当に眠れていないのか」というと、誤解であることも多いという実態があるのです。

これを「睡眠状態誤認」と言います。

 
睡眠状態誤認とは、ポリグラフ検査などで客観的に眠れているのに、

本人が睡眠に対する満足感を持てない状態にあることです。

これにはその人の睡眠に対する“理想”と“現実”に差があることが多くあります。

そして、その理想が間違った知識や思い込みによって作られていることが大きな原因になっているのです。

具体的にいうと、「睡眠時間は8時間がよい」「夢を見る人は眠りが浅い」

「寝床に入ってから30分以内で眠れないのは入眠障害」などという情報を正しいと思い込み、

自分が睡眠障害(不眠症)だと判断してしまうことです。

ちなみに、これらの情報は医学的に言うとすべて誤りです。

 
ですから、睡眠状態誤認で不眠であると思っている人には、

まず自分の知識の偏りや間違いを知ること(認知療法)から始めます。

夢はレム睡眠の時に誰もが毎日見るけれど、それを覚えているかいないかの違いだけで、

睡眠の質とは無関係ですし、

例え横になってから眠るまでに1時間かかっても、本人が苦痛に感じていなければ入眠障害とは言えません。

また、内山真教授(日本大学医学部精神医学系)によると、

健康であれば加齢とともに必要とする睡眠時間は減少していき、

45歳で6.5時間、65歳で6時間ぐらいが普通だそうです。

もちろん、個人差があるので必ずしも6時間が理想なわけではありません。

睡眠は生活習慣や眠り方によって違ってくるものですし、

同じ人でも季節やその日の疲労度などによって変わってくるものです。

何かと比較するのではなく、あくまでも自分の体調を基準に考えましょう。

ポイントは「日中に不都合が生じるほどの眠気を感じるかどうか」です。

目覚めた時に「少し寝たりないかな」と思っても、

ほぼ快適に一日を過ごせるのであれば問題ないケースがほとんどです。

逆に「不眠症かも」と思い込むことで余計なストレスを抱え込み、

本当に睡眠障害を起こしてしまうこともあります。

現代は様々なメディアにより情報が溢れていますが、

正しい知識を得ることも自分を守る方法ですので、惑わされないように気をつけましょう。

 

改善策

睡眠は体だけでなく脳も休ませる大切な時間です。

翌日を快適に過ごすためにも、眠りに関する不満を取り除くことは重要といえますね。

ここでは、更年期世代の女性が快適な睡眠を得るための改善法を紹介します。

食事

更年期障害で夜間のホットフラッシュやイライラ・不安などの精神症状がある場合、

これが原因となって睡眠障害を起こすことがあります。

その場合はこれらの症状を改善することが第一歩です。

ホットフラッシュや精神症状はエストロゲンの減少が引き金になっているので、

代替作用のあるイソフラボンを摂取すると症状が和らぐことがあります。

イソフラボンは大豆に多く含まれるので、積極的に取り入れてみると良いでしょう。

1日の目安量は、

通常の食事に含まれる大豆製品(味噌や豆腐など)に納豆を1パックプラスしたくらいのイメージです。

人によってはイソフラボンの恩恵を受けにくい体質の場合もありますので、

後述するサプリメントなどを試すのも良いでしょう。

 
また、就寝前はアルコール、カフェイン、タバコなどの刺激物を避けましょう。

“寝酒”は入眠効果があるように思われますが一時的で、実は脳を興奮状態にしてしまいますし、

内臓(特に肝臓)を酷使することで疲れが抜けにくくなってしまいます。

 
睡眠不足で日中に眠くなってしまうために、

眠気覚ましとしてコーヒーなどのカフェインを摂る人もいると思いますが、

カフェインの効果の持続時間は意外と長く

摂取した量の半分程度まで減るのに高齢者だと4~5時間かかると言われています。

カフェインの代謝にも個人差がありますから、

就寝前に飲んでいなくても日中に摂ったカフェインの影響が残っているかもしれませんね。

午後3時を過ぎたら緑茶・コーヒー・紅茶などは控えた方が無難です。

お茶類が飲みたいときは、代わりにリラックス効果や美容効果があるハーブティー

(紅茶を併用していないもの)などにしてみるのもいいですね。

生活

女性の体は冷えやすい傾向にありますが、これが更年期障害を悪化させていることもあります。

特に肩こりや頭痛、無関係なように思えるホットフラッシュは、

冷えが酷いと症状が出やすいと言われているのです。

これらは夜中に目覚めさせる原因になるだけでなく、冷え自体が入眠の妨げになってしまいます。

ですから、心地よい睡眠を得るためには、体の中までしっかりと温めることも必要です。

この点、湯船でしっかりと温める入浴スタイルは最適です。

夏場もシャワーだけでなく、湯船につかるようにしましょう。

また、せっかく温まった体を冷やさないために、冬場は湯たんぽなどを使うと良いでしょう。

 
一方で、静かで暗い方が眠りにつきやすいので、睡眠に適した環境づくりも大切です。

ただし、室内の明るさに関しては好みがありますので、

真っ暗な方がよければ遮光カーテンを利用したリ、

薄暗い方がよければスタンドなどを点けたまま寝たり、タイマーをセットしたりするのも良いでしょう。

できるだけ暗い方が睡眠中に分泌されるホルモンへの影響が少ないと言われていますので、

ライトをつけて寝る場合は、直接光が顔に当たらないようにし、

適度な暗さを保てるように工夫してみてくださいね。

に関しても同様です。

静かすぎると眠れない人は、タイマー付きでゆったりとした音楽をかけておくのもいいですね。

お気に入りの曲だと逆に眠れなくなることもあるので、気をつけましょう。

 
また、目覚めたら必ず朝日を浴びる習慣をつけましょう。

洗濯を済ませ早めに干し始める、午前中の早い時間に買い物に出る…などは家事もこなせて一石二鳥です。

朝日を浴びることで、睡眠をコントロールするホルモン「メラトニン」が分泌されやすくなり、

快適な眠りを得やすくなりますよ。

薬・サプリ

更年期障害を持つ人が不眠で悩んでいる場合は、

更年期障害の治療を行うことで不眠が改善されることが多くあります。

この場合、ホルモン補充療法漢方薬を使うのが一般的です。

精神症状が強い場合は抗不安薬睡眠薬などが処方されることもあり、

状態によっては、更年期障害と並行して専門医による睡眠障害の治療を行うこともあります。

なお、睡眠薬は常用していると効かなくなったり中毒になったりすると心配する人もいますが、

きちんと医師の指示通りに服用していればこのようなケースはほとんど起こりません。

正しく使用して眠れるようになれば自然と体も精神状態も落ち着き、

睡眠障害による様々な弊害も軽減されるので、大きなメリットとなります。

心配であれば医師に相談して説明を受け、適切な薬を選んでもらいましょう。

 
ただし、どうしても薬が心配なら、副作用の少ない「漢方薬」を選択するという方法もあります。

漢方薬は心身のバランスを正常に戻すことが目的なので、

即効性はありませんが、穏やかに複数の改善がみられるのが特徴です。

不眠には「加味逍遥散(かみしょうようさん)」や

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」が利用されることが多いです。

どちらが良いかは体質や他の症状によって異なり、

前者は冷え症、のぼせ、月経不順、疲れやすい、肩こり、イライラなどがある人、

後者は冷え性、貧血、神経過敏な人に向いているとされます。

処方薬以外に市販薬もありますので、ドラッグストアなどの薬剤師に相談してみると良いでしょう。

 
もっと手軽に…という人はサプリメントを使ってみるのも良いと思います。

前述の「イソフラボン」も多くのメーカーからサプリが販売されていますし、

イソフラボンでは効果が得られにくい体質の人は代謝物である「エクオール」を選ぶと良いですね。

また、入眠時にリラックスできていることも大切ですから、リラックス効果のあるサプリもおすすめです。

神経伝達物質で抗不安作用があるアミノ酸の1種「GABA(γ-アミノ酪酸)」は、

脳の興奮を抑え、ストレス抑制効果があるとして知られていますし、

睡眠の質の改善や中途覚醒の減少が確認されている「テアニン」などが適しているでしょう。

テアニンは緑茶に多く含まれる成分ですが、

睡眠障害がある人にはカフェインの弊害も懸念されるので、サプリで摂る方が安心ですよ。

 

日中に眠くなったときの対策

睡眠不足だと日中に睡魔に襲われるときがあります。

体が要求していることなので、可能であれば昼休みなどを利用して、少し眠っておきましょう。

ただし、午後3時よりも前の20~30分以内の昼寝にしておくことが重要です。

これより遅い時間帯や長い睡眠は深い眠りに落ちやすく、本来の夜の睡眠を妨げることになります。

もし眠れなくても、体を横たえるだけで良い休憩になりますよ。

短時間の昼寝はそのあとの作業効率を上げるというデータもありますから、上手に活用するといいですね。

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