更年期障害

市販薬を利用した更年期障害との向き合い方

薬局

風邪をひいたとしても病院へは行かず、そのまま回復するのを待つことが多いですよね。

でも、咳や鼻水、熱などの症状が気になる時は、市販薬に手を伸ばすことでしょう。

更年期障害も同じで、気になる症状が出始めると、手軽な市販薬を飲むことを考え始める人が増えてきます。

では、市販薬にはどのような種類があり、何に注意して選べば良いのでしょうか?

ここでは、更年期障害の市販薬について詳しく解説し、

これを利用した更年期障害との向き合い方についてお伝えしていきます。

 

購入時の注意

病院と異なり、市販薬を買うときは自分の症状を自分で診断しなければなりません。

そして、自分の症状に合った薬を自分で選ばなければならないのです。

そのため、市販薬はとても簡単に入手できる一方、十分に注意しなければならない点もあります。

更年期障害の場合、注意すべきポイントは2つあります。

自己診断

最大のポイントは「本当に更年期障害かどうか」です。

実は更年期障害と似た症状をもつ病気はたくさんあるのです。

例えば「のぼせ・ほてり・めまい・不正出血」などは更年期症状として多く見られるものですが、

「のぼせ・ほてり」は高血圧甲状腺機能障害、「めまい」はメニエール病

「不正出血」は子宮筋腫子宮がんなどでも起こる症状です。

さらに精神症状の場合は判断がつきにくく、

「憂うつ感・無気力感」などは更年期障害によるものなのか、うつ病によるものなのかは

素人には難しいものがあります。

 
このような症状で病院へ行った場合、

血液検査で女性ホルモンの分泌量を調べたり問診したりしたうえで更年期障害か否かを診断しますが、

市販薬を買い求める際には自己判断に頼らざるを得なくなってしまいます。

ですから、病院で治療を受けるかどうかは別にして、

診察を受けて「更年期障害である」と明らかにしておくのも1つの方法です。

もし別の病気が隠れていたのなら、医師の指示に従って治療を開始することもできますね。

他に目立った症状がなく、

明らかに月経の乱れや閉経の兆候がある場合には更年期障害の可能性が高くなりますが、

念のため定期的な健康診断は受け、

万が一、違っていた場合でも早期発見できるように手は打っておく方が良いでしょう。

サプリメントとの違い

もう一つ大切なことは、サプリメントと薬の違いをしっかりと認識しておくことです。

どちらもドラッグストアなどで簡単に入手でき、

健康に関する文言が並んだパッケージなど類似点も多いことから勘違いしてしまう人もいますが、

両者には次のような決定的な違いがあります。

サプリメント

決定的な違いとは、サプリメントは“食品”であるということ。

つまり、“大豆”・“ゴマ”・“人参”などの食材に手を加えた「加工食品」に過ぎないのです。

もちろん更年期障害やその他の症状に効果がないわけではありません。

極端な言い方をすれば、

サプリメントとは“健康効果がある食品含有成分を(濃縮などして)多く含んだ食品”であって、

それにより症状が改善することは保証されていません

ただし、その成分が健康効果を持つことは科学的(中には経験的なものもありますが)に実証されています。

ですから、そのサプリメントの成分がその人に不足していることによって発症してるものならば、

補給することで症状が改善することは十分に考えられますが、必ず効くとは誰にも言い切れないものなのです。

この点に関しては、

更年期障害の改善効果で有名な“イソフラボン”、“エクオール”、“田七人参”などのサプリメントも同様です。

しかし、中にはエクオールのように医学的な根拠のあるものだったり、

ビタミン類のように医療用で用いられるものと同じ成分の食品グレード(精製されていないものなど)を

使用しているものもあったりします。

「薬を飲むほどではない」、「薬に抵抗がある」などの場合は

症状に合わせて正しく選んだサプリメントを利用するのも良いでしょう。

市販薬(一般用医薬品)

一方の市販薬は、手軽に購入できても、その名の通り「」です。

多くの市販薬は「第2類医薬品」「第3類医薬品」に属し、医師の処方箋が無くても入手できます

ちなみにこの「第〇類」という分類は、

簡潔にいうと含有する成分のリスクによって決められているもので、効果の高さによるものではありません。

第1類医薬品は最もリスクが高いため、

ドラッグストアなどでも棚の上段や薬剤師がいるカウンターの後ろなどに置かれていて、

薬剤師に相談した上で購入するようになっていますが、

第2・3類などは相談しなくても購入できる所が多いです。

このような販売システムになっていることから、市販薬はOTC医薬品(over the counter)と呼ばれます。

どの分類であっても厚生労働省の認可を受けた成分を含み、

パッケージに表示された「効能」については医学的に根拠があります。

このことから、食品扱いのサプリメントと違って

「○○に効く」という症状への直接的な表現が許されています。

ですから、更年期障害の症状が辛いと感じているけれど、

「病院に行くほどではない」「自分で治したい」と考えるなら、

サプリメントよりも市販薬を試してみる方が良いでしょう。

 

更年期障害の市販薬とは

更年期障害は更年期世代を乗り越えれば症状が落ち着いてくる人が多いものの、

その期間は数年に及び、閉経後も長く症状を抱えるケースもあります。

更年期は自然の摂理であり、いずれ快方に向かうことと思いますが、

だからといって辛さを我慢することもありません

病院に行って相談するのが確実ですが、その必要がないのであれば市販薬を試してみることをおすすめします。

前述の通り、市販薬に含まれる成分は更年期症状の改善に対して効果が確認されているものです。

問題は、自分の症状に合う薬を選び出すことができるかどうか…です。

以下に主な市販薬を紹介しますが、できれば薬剤師に相談の上、購入するようにしましょう。

デリケートな問題なので人に話したくない…という人は、

必ずパッケージをよく読み、自分に合っているかを確認しましょう。

 
さて、ドラッグストアなどで更年期障害用の薬を探すと

漢方薬やそれを主体としたものが大部分であることがわかります。

実は、更年期障害は漢方薬の最も得意とする分野なのです。

…というのも、西洋薬が原因の明らかな症状の改善に向いているのに対し、

漢方薬は原因が特定できない不調に対して効果を発揮するからです。

また、西洋薬は一般的な病気の場合、男女の別なく薬が処方されますが、

漢方薬は性別はもちろん、その人の体格体質などもみて多種多様な処方の中から適切な薬を選びます。

こういった点から、漢方薬は複雑な要因から発症する更年期障害に向いていると言われるんですね。

どのようなものがあるか具体的に見ていきましょう。

1種類の漢方処方からなるもの

漢方薬は中国の古典医学を元に、日本人に合わせて日本で発展しました。

長い年月をかけて、副作用が少なく最も効果が発揮される生薬の組み合わせを編み出してきたものなので、

1種類の漢方薬でも複数の症状に対して効果が現れるという特徴もあります。

民間療法的なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、

医学的にも多くの研究がなされ、特に更年期障害に関しては多くのエビデンス(科学的証拠)が報告され、

その効果が評価されています。

西洋薬に比べ、即効性のないものも多くありますが、

体質などを細かくみて選ぶため、副作用が起こりにくいという利点もあります。

このような点が医学的に見直され、多くの病院で医療用の漢方薬を処方してもらえるようになりました。

こちらは診察を受けなければなりませんが、保険適用となります。

同じ処方のグレード違いのものが

ドラッグストアなどで販売されている一般用漢方薬になるわけです(保険は適用されません)。

特に婦人科系の疾患に効果が高い「婦人科三大処方」と呼ばれるものがあり、

更年期障害にもよく処方されるので紹介しましょう。

いずれも「ツムラ」、「クラシエ」などから販売されています。

選ぶときは別項も参考にしてくださいね。

 

《婦人科三大処方》
名称証・効能生薬数
当帰芍薬散
(とうきしゃくやくさん)
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり
疲労しやすい人の更年期障害、むくみ、冷え症など
6種
桂枝茯苓丸
(けいしぶくりょうがん)
比較的体力があり、肩こり、頭痛、めまい、
のぼせて足冷えなどのある人、
更年期障害、肩こりなど
5種
加味逍遥散
(かみしょうようさん)
体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、
疲れやすく、精神不安やいらだちのある人の
更年期障害、不眠症など
10種

その他

上記の単一処方以外の一般薬はほとんどが漢方をベースにした製剤で、

2種以上の漢方処方を組み合わせた製剤や、その他の成分と組み合わせた複合薬として販売されています。

前者は武田コンシューマーヘルスケア㈱「ルビーナ」、

後者は佐藤製薬「神恵」が有名です。

また、既存の漢方処方を元に生薬を組み合わせた独自の製剤もあり、

これには小林製薬㈱「命の母A」・ツムラ㈱「ラムールQ」があります。

いずれもパッケージに「更年期障害」の文言が明記されており、

錠剤タイプで飲みやすく、第2類医薬品に分類されています。

ただし、ベースになっているのは漢方ですから、

」と呼ばれる自分の体質(次項参照)に合致しているものを選ばなければ意味がありません。

以下に各薬品の添付文書を元に特徴をまとめておきますので、参考にしてくださいね。

 

《漢方をベースにした主な市販薬》
商品名主な成分証と効能
ルビーナ連珠飲
(れんじゅいん)
=四物湯(しもつとう)
+苓桂朮甘湯
(りょうけいじゅつかんとう)
体力中等度またはやや虚弱で、ときにのぼせ、
ふらつきがあるものの次の諸症:更年期障害、
めまい、立ちくらみ、どうき、息切れ、貧血
命の母A13種類の生薬
(婦人科三大処方に
使われているものが主体)、
ビタミンB群、ビタミンE、
カルシウム、タウリン
どんな「証」でも使用可。
更年期障害、更年期神経症、血の道症(※)、
のぼせ、生理不順、生理異常、生理痛、肩こり、
冷え症、肌荒れ、めまい、耳鳴り、動悸、貧血、
にきび、便秘、ヒステリーなど
神恵四物湯(しもつとう)、
ビタミンEコハク酸
エステルカルシウム、
イノシトール
ヘキサニコチン酸エステル、
ビタミンB12
末梢血管障害、四肢冷感症、冷え症、しもやけ、
しびれ感、月経困難症、動脈硬化による 循環障害、
肢端チアノーゼ、レイノー氏病、
めまい・のぼせ・頭重・耳鳴・動悸・動脈硬化・
全身倦怠・肩こり・腰痛・不眠等の更年期諸症状
ラムールQ中将湯(ちゅうじょうとう)、
エンゴサク、カノコソウ、
センナ、
ビタミンEコハク酸
エステルカルシウム、
ビタミンB群、カルシウム
更年期障害、血の道症(※)、月経不順、冷え症
およびそれらに随伴する次の諸 症:月経痛、
腰痛、頭痛、頭重、のぼせ、肩こり、耳鳴り、
めまい、動悸、 息切れ、不眠、ヒステリー、
疲労感、血色不良

※女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状

 

更年期障害用市販薬の選び方

さて、実際に売り場へ行くとたくさんの種類があって、

どれを選べば良いのか迷ってしまう人も多いかと思います。

病院で処方される薬なら医師が診察したうえで適切な漢方薬を選んでくれますが、

市販薬の最も難しく、最も良い点は“自分で選ぶ”ということです。

薬が効いているかどうかは誰よりも自分が一番わかります。

命に関わる病気ならともかく、更年期障害は“不定愁訴”と呼ばれる原因が特定できない不調です。

医学的な数値で健康を判断するのではなく、、

自分自身が「楽になった」「違和感がなくなった」と感じられれば“改善効果あり”なのです。

この点、市販薬にはある程度続けてみても効果がなければ、誰への遠慮もなく薬を変えられる良さがあります。

専門的な文言が並ぶパッケージを読むのは面倒かもしれませんが、ここは大切なところです。

次にあげるポイントを押さえて、自分に合った薬を選びましょう

「証」を選ぶ

漢方薬がベースになっている更年期障害用の市販薬を選ぶ際に最も重要なのは、

と呼ばれる体質の見極めです。

漢方薬には必ずパッケージの「効能」の部分に、

「体力虚弱で〜」「比較的体力があり〜」「体力中程度以下で〜」などの表記があります。

これが「証」にあたる部分です。

証が合致していなければ、その漢方薬の効果が十分に発揮されなかったり、副作用を生じたりしてしまいます。

ですから自分で選ぶときは必ずこの部分を確認しましょう。

ただし、製剤化された薬には証が明記されていないものもあります。

こういった市販薬は証を選ばずに使用可能と解釈できますが、

ベースになる漢方処方があればそれを調べてみると安心ですよ。

効能・効果を確認する

当たり前のことですが、証が合っていてもその漢方薬が自分の症状に対して効果がなければ意味がありません。

多くの漢方薬は複数の症状に効くことが多いですが、

漢方処方を複数組み合わせたものはさらに多くの症状に対応しています。

更年期障害は非常に複雑で、ホットフラッシュやめまいなどの身体症状だけでなく、

イライラや憂うつ感などの精神症状も現れることもありますね。

ですから、選ぶときは自分が一番つらいと感じている症状をメインに、

他の症状も多く合致する薬を選ぶと良いでしょう。

例えば、ホットフラッシュやそれにまつわる不調(例:不眠)の症状だけなら「桂枝茯苓丸」などの漢方薬、

ホットフラッシュの他にイライラにも悩んでいるのなら「加味逍遙散」「ラムールQ」「神泉」などが

精神症状にも効果があるので適していると言えるでしょう。

もちろん、証もきちんと確認してくださいね。

サポートする成分で選ぶ

製剤化された漢方薬には生薬以外の成分を含むものもあります。

配合される成分には、

  • ビタミンB群(特にB1、B2):新陳代謝、疲労回復
  • ビタミンE:血行改善、抗酸化作用
  • ビタミンB12(シアノコバラミン):神経作用の円滑化
  • カルシウム:骨の材料

などが多く見られます。

これらを生薬と組み合わせることで、より効果が高まることが期待できるわけですね。

例えば、ホットフラッシュは血管の収縮・拡張がうまく調節できていないわけですから、

ビタミンEの配合によってより効果を高めようという具合です。

また、閉経後はカルシウムの代謝が低下してしまうため骨密度が低下する傾向にあります。

将来の骨粗しょう症予防を考えるなら、

カルシウム配合のものを選べばわざわざサプリメントなどを購入しなくても良いかもしれません。

 
いずれにしても、1か月飲み続けても改善の兆候が見られない場合は、

薬が合っていない可能性が考えられます。

別のタイプのものに変えてみると良いでしょう。

ただし、中には更年期障害ではない病気が原因であるために薬が効いていない可能性もあります。

症状が改善しない、悪化するなどの場合は医療機関を受診することをおすすめします。

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