更年期障害

更年期障害と腹痛 考えられる原因とは?

女性なら月経に伴う腹痛を感じたことがある人も多いと思います。

でも、更年期にさしかかると月経とは違うタイミングで痛みが生じることも増えてきます。

そう、腹痛も更年期障害の1つなんですね。

ここでは更年期に現れる「腹痛」について、その原因や隠れた病気改善策などを紹介していきます。

 

更年期に腹痛をおこす原因

体質にもよりますが、月経時に辛い腹痛に悩まされてきた人も少なくないと思います。

この腹痛は月経周期と連動して起こるので、原因も月経や排卵によるものだと想像がつきますね。

しかも、その時期を過ぎれば腹痛は治まるという周期性を持っています。

 
ところが、閉経前後の更年期(約10年間)には、月経周期と無関係に腹痛がおきたり、

月経そのものがなくなっているにも関わらず下腹部痛を感じたりすることがあります。

なぜ、更年期にこのような腹痛がおこりやすくなるのでしょうか?

便秘・下痢によるもの

「便秘は更年期と関係ないのでは…」と思うかもしれませんが、実はそうでもありません。

更年期には女性ホルモン「エストロゲン」の低下によってホルモンバランスが崩れ、

これが自律神経の働きを乱しやすくしているという状態になっています。

自律神経は体の様々な機能をコントロールしている神経ですが、腸の蠕動運動もその1つ。

蠕動運動とは腸などの壁にある筋肉がリズミカルに収縮することで、

この動きによって消化管内の内容物が肛門に向かって移動していきます。

その間に消化されたり吸収されたりするわけですね。

この蠕動運動は腸にある神経(腸管内在神経系)と自律神経の二重支配を受けています。

このため、自律神経の調子が狂うと、蠕動運動がスムーズに行えなくなるのです。

蠕動運動によって移動できなくなった内容物は、腸内に滞留してしまいます。

すなわち、便秘です。

便秘になると腸内に棲みついている悪玉菌が増殖し、ガスを発生させます。

このガスや溜まった便が腸壁を圧迫し、

周囲の神経に与えた刺激が「腹痛」として脳に伝達されるのです。

人によっては、自律神経の失調が蠕動運動を加速させ、下痢になるために腹痛を感じることもあります。

 
また、更年期世代の女性は親子・夫婦・舅姑関係などで多くのストレスを抱えています。

このストレスも自律神経を乱す大きな要因になることが知られていますので、

下痢や便秘を引き起こし、腹痛が生じやすくなっている可能性も考えられます。

子宮に関係するもの

もう1つ、腹痛の原因として考えられるのが「子宮」です。

成熟した女性では、子宮はニワトリの卵くらいの大きさで、膀胱と直腸の間にあります。

更年期はエストロゲンが急激に減少することで始まるので、卵巣の機能低下がクローズアップされますが、

実は子宮でも老化が始まっています

では、〝子宮の老化”とはどういうことでしょうか?

 
子宮はいくつかの組織から成り立っていますが、それぞれの老化が子宮全体の老化につながっています。

例えば、子宮筋などを構成する筋線維はエストロゲンの減少によって委縮したり変性したりし始めます。

これによって子宮も小さくなっていき、

50歳を過ぎると成熟期の女性の30~50%程度の重さになってしまいます。

また、筋線維の変化と共に子宮内膜も委縮して薄くなり分泌物が減少するなどの老化がおこります。

同時に、子宮を支える靭帯なども衰えて、子宮を正しい位置にキープできなくなってきます。

こうなると子宮は下垂して、他の臓器や神経を圧迫することになります。

このような更年期におこる子宮の収縮や下垂が周りの神経に刺激を与え、

それを痛みや張りとして感じるというわけです。

人によっては子宮の下垂が腸を圧迫し、便秘の原因になっていることもあります。

 
さらに、更年期には「プロスタグランジン」の分泌も不安定になるため、

月経痛のような痛みを生じやすくなっていると言われています。

プロスタグランジンとは様々な器官や組織に分布する生理活性物質で、数種類が存在しています。

種類によって働きは異なりますが、主な作用として血圧低下、発熱、痛みの伝達、子宮の収縮などがあります。

鎮痛剤にはプロスタグランジンの生成を抑制することで痛みを鎮めるものもあり、

私たちの体の痛みと深い関係にある物質といえます。

プロスタグランジンは、月経時には子宮を収縮させて子宮内膜を剥がし出血させたり、

出産時には陣痛を起こさせたりする物質ですから、女性にとっては厄介ながら馴染み深いともいえますね。

しかし、更年期になると分泌が不安定になってしまうため、

月経と無関係なのに月経痛のような痛みを感じさせる原因になると言われているのです。

ですから、腹痛といっても上の方ではなく、子宮周辺の下腹部に痛みを感じることが多いようです。

更年期に入っていても前半は月経があるので、

こういった下腹部痛は月経の前触れ(PMS)とも考えられますが、

更年期に見られる他の症状(のぼせ、ほてり、多汗、イライラなど)もあるならば

更年期障害によるものと見て良いでしょう。

ただし、下腹部痛は更年期障害やPMSだけが原因とは限りません。

次項も併せてご覧ください。

 

更年期と婦人科系の病気

更年期には卵巣や子宮の機能が低下するため、様々な症状が現れ、体調にも変化が見られます。

こういった症状のほとんどは、エストロゲンの急激な減少に脳が適応できないために起こるものなので、

約10年間かけて順応できるようになると治まってきます。

更年期の症状には、のぼせ・ほてり・多汗などのホットフラッシュや、

イライラ・憂うつ感などの精神状態の変化などのほか、

月経の周期の乱れやそれに伴う不正出血、腹痛などもあります。

いずれも似た症状を伴う全く別の病気が存在するため、

すべてを「更年期障害だから」と決めつけてしまうのは危険です。

特に、更年期のきっかけとなるエストロゲンは、卵巣や子宮と深い関りをもったホルモンです。

エストロゲンの減少によって、これらの臓器に病変を発症させる可能性もあるので、

更年期にはリスクが高まる場合もあります。

卵巣や子宮の病気は腹痛を伴うことも多いので、痛みが続くなどの異変がある場合は病院へ行きましょう。

腹痛が更年期障害によるものであればホルモン補充療法漢方薬などを処方してもらえますし、

別の病気であれば適切な治療を受けることが大切です。

以下に腹痛を伴う女性特有の代表的な病気について紹介しておきますので、参考にしてくださいね。

子宮下垂・子宮脱

腹部には肝臓、膵臓、腎臓など多くの臓器が収まっていますが、

これらが自由に動いてしまっては大変なことになりますね。

そこで、臓器は筋肉や靭帯などで支えられ、大きく動いてしまわないように定位置にほぼ固定されています。

女性の場合は下腹部に子宮も存在しますが、これも“骨盤底筋”や“基靭帯”などで支えられています。

しかし、前述の通り、老化によって子宮を構成する組織が委縮したり、

これらの筋肉や靭帯も弛緩したりして、子宮を定位置で支え続けることができなくなり、

いわば”垂れさがった状態“になってしまうのです。

これを「子宮下垂」といい、悪化して膣から飛び出してしまった状態を「子宮脱」といいます。

軽度の場合は、下腹部や外陰部に不快感や圧迫感、腰痛などがありますが、

重症になると常に子宮が飛び出した状態となり、

下着との摩擦で皮膚が破けたり細菌感染をおこしたりして痛みを生じます。

老化のほか、出産回数が多い人、3500g以上の赤ちゃんを出産した人がなりやすいと言われていますが、

肥満などでもおこります。

軽度のうちに骨盤底筋を鍛えると進行を抑えることができますが、重度の場合は手術するのが一般的です。

子宮筋腫

子宮にできる良性の腫瘍で、すぐに治療が必要でない場合もありますが、

若い世代では不妊や流産の確率が高まることもあります。

成人女性の5人に1人が発症すると言われ、30~40歳代に多く見られる病気です。

子宮筋腫は、子宮を構成する筋肉細胞がエストロゲンの影響を受けて増大することで発症します。

症状としては月経痛が酷い、経血量が多かったり期間が長かったりするなどがありますが、

筋腫の大きさや個数などによって異なります。

子宮内膜症

女性の10人に1人に見られるといわれていますが、

最近では低年齢化が進み、10~20歳代にも多くみられる病気です。

子宮内膜とは本来は子宮の内側に存在する組織ですが、

子宮内膜症では同じような細胞組織が

子宮以外の部分(腹膜、卵巣、直腸など)に生じたり癒着したりすることで発症します。

この組織は子宮内膜と同じように月経で周期的に剥がれ落ち、出血を繰り返します。

しかし、子宮以外の場所で増殖した組織は膣から排出することができないため腹腔内にとどまり、

炎症や癒着の原因になります。

排出できなかった組織はその部位にたまり、小さい血の固まり(血腫)を作ります。

これが卵巣に生じ、

チョコレート色の血液でいっぱいになったものを特に「チョコレート嚢腫(のうしゅ)」といいます。

子宮内膜症の症状には月経痛や経血量の増加などがありますが、

癒着していると月経痛が悪化する傾向にあります。

チョコレート嚢腫の場合は性交痛もあり、月経痛は寝込むほどの状態になる場合もあります。

まれにですが、チョコレート嚢腫が破れて中身が腹腔内に漏れてしまうことがあり、

こうなると激痛を生じ、緊急手術が必要となるケースもあります。

 
子宮内膜症は40歳代に発症のピークを迎えることと、月経時以外にも下腹部痛がおこることがあるため、

更年期症状と間違われることがあり、注意が必要です。

子宮腺筋症

以前は子宮内膜症の1つとして分類されていましたが、

発生の機序が異なるため、別の病気として扱われるようになりました。

子宮腺筋症とは、子宮内膜の組織が隣り合っている子宮筋層にもぐりこんでしまう病気です。

そのため、子宮壁が少しずつ厚くなり、子宮そのものも大きくなっていきます。

症状は子宮筋腫と似ており、激しい月経痛と経血量の増加などが見られます。

卵巣嚢腫(のうしゅ)

卵巣にできる良性の腫瘍です。

発症の原因はよくわかっていませんが、

卵巣に水や脂肪などが溜まってコブのように腫れ、大きなものではニワトリの卵ほどになります。

卵巣嚢腫そのものには自覚症状がほとんどなく、気づいた時には悪化しているケースも少なくありません。

症状が出るのは、卵巣の根元がねじれたり破裂したりした場合で、こうなると激しい腹痛が見られます。

健康診断などで発見されることもあり、

小さい場合は経過観察となることが多いのですが、大きくなったら手術で取り除きます。

 
卵巣嚢腫は、中身によって次の4種類に分けられます。

 

《卵巣嚢腫の種類》
種類説明
漿液(しょうえき)性嚢腫卵巣から分泌される透明の液体(漿液)が溜まったもの。思春期以降に発症する一般的な嚢腫。
粘液性嚢腫ゼラチン状の粘液が溜まったもので、肥大化する。閉経後の女性に多く見られる。
皮様嚢腫
・成熟嚢胞性奇形腫
胎児が発生するときに細胞が卵巣の中で腫瘍を作ってしまうことが原因となって発症し、歯や毛髪などの組織を含んだドロドロの物質が溜まったもの。20~30代の女性に多く見られる。
チョコレート嚢腫子宮内膜に似た組織が卵巣内に生じ、剥がれ落ちたものが溜まったもの。20~30代の女性に多く見られる。(「子宮内膜症」の項も参照ください)

子宮がん・卵巣がん

子宮または卵巣に生じた腫瘍のうち、悪性のものを指します。

子宮がんは「子宮体がん」と「子宮頚がん」に分けられ、

多くの場合、子宮体がんは女性ホルモンの影響、

子宮頸がんはヒトパピローマウイルスへの感染が原因とされています。

子宮頸がんは性交渉があれば年齢に関係なく発症する可能性がありますが、

日本産科婦人科学会によると、子宮体がんは比較的高齢で発症するので、

閉経後あるいは更年期での不正出血がある時には特に注意が必要とのことです。

なお、婦人科系の病気の中には放置するとがん化するケースもあり、

例えば子宮内膜症では、

50歳以降のがん化率は20~25%、60歳まで放置すると約半数ががん化するという報告があります。

通常の健康診断だけでなく婦人科系の検診も併せて受け、早期発見に務めるようにしましょう。

関連記事

  1. 更年期障害

    運動で更年期障害を予防・改善する方法

    「運動」というとダイエットや体力増進のイメージがありますね。…

  2. 更年期障害

    生理が遅い!止まらない!更年期障害と月経(生理)について

    今まで規則的だった生理周期がずれてきた…。それが40代…

  3. 更年期障害

    更年期障害で虫歯・歯周病になる!その理由と改善策

    近年では予防歯科の重要性が広く認知され、毎日の口腔ケアに時間を…

  4. 更年期障害

    胸が痛い・張る 更年期世代の乳房トラブルについて

    月経の周期と共に胸の「痛み」や「ハリ」を感じる女性は多いと思い…

  5. 更年期障害

    更年期との上手な付き合い方

    40歳前後になると現れてくる様々な不調に、人知れず悩む女性も少…

  6. 更年期障害

    トイレが近くなるのは更年期障害?

    「夜中に何度もトイレに起きる」「トイレに困るので思うように…

更年期障害に関する記事

最近の記事

  1. 老眼

    こんなに不便!少しでも老眼を予防するには
  2. 更年期障害

    更年期障害はプラセンタ注射で改善する!
  3. 更年期障害

    更年期障害で虫歯・歯周病になる!その理由と改善策
  4. 高血圧・動脈硬化

    新常識!?高血圧と塩分の正しい関係とは?
  5. 老眼

    疲れ目・眼精疲労による頭痛や吐き気の原因は老眼にあり!?
PAGE TOP