更年期障害

更年期障害に効くのはイソフラボン?エクオール?

不意に訪れる更年期障害の症状に、毎日辛い思いをしている女性も少なくありません。

それを改善してくれるのが「イソフラボン」です。

ところが、イソフラボンを摂取しても効果が低い人がいることがわかってきました。

ここでは、更年期障害とイソフラボンの作用について、

その代謝物である「エクオール」を含め、効果の有無や上手な摂り方を紹介します。

 

更年期障害の症状

更年期とは閉経を挟んだ10年間を指し、日本人ではだいたい45~55歳くらいが該当します。

この時期には、分泌を司る脳の視床下部から指示があっても、

卵巣の老化により必要量の女性ホルモン「エストロゲン」を分泌することができなくなっています。

すると、指示を出した視床下部ではその通りに分泌が起こらないため混乱し、

それが体を調節する「自律神経」に影響して以下のような不調が現れてきます。

  • ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・多汗)
  • めまい・耳鳴り
  • 冷え
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 消化器系の不調(胃のむかつき・便秘・下痢など)
  • 頻尿
  • イライラ
  • 憂うつ感
  • 倦怠感

 

更年期障害とサプリメント

これらの症状は、病的な異常がないにも関わらず起こるので「不定愁訴」といわれています。

しかし、更年期の場合、病的ではないものの主要な原因として、

この“エストロゲンの低下”が引き金になっていると考えられています。

そのため、医療機関で更年期障害と診断されると

エストロゲンを外部から補う「ホルモン補充療法」が選択されることが多いのです。

8割以上の女性で症状が改善するほど効果がある治療法ですが、

その反面、定期的な通院の手間や、不適切な使用をすると発がんリスクが増すなどの副作用もあるため、

使用を望まない人もいます。

このため、リスクと効果の問題やQOL(生活の質)との問題もあるので一概には言えませんが、

比較的軽度な更年期障害であるならば、

まずは手軽に始められる「サプリメント」を試してみるのも方法かと思います。

 
更年期障害を改善するサプリメントは、とてもたくさん販売されています。

その作用の仕方には“自律神経を安定させるタイプ”、“冷えなどを改善するタイプ”などがありますが、

最も直接的に更年期障害を改善してくれるのが“エストロゲンを補うタイプ”です。

前述の「ホルモン補充療法」をサプリ(=食品)で行うわけですね。

このうち、定評があり、多くの科学的データが揃っているのが「イソフラボン」というわけです。

イソフラボンがなぜ効くか?

イソフラボンはポリフェノールの一種で、大豆に多く含まれますが、

ヒヨコ豆やピーナッツなど、他のマメ科の植物にも見られます。

エストロゲンとは異なる物質ですが、同じように作用するため「植物エストロゲン」と呼ばれています。

 
イソフラボンには2つの型があり、1つは「グリコシド型イソフラボン」で吸収されにくいのですが、

もう1つの「アグリコン型イソフラボン」は吸収されやすい構造をしています。

さらにアグリコン型イソフラボンは次のように分類され、作用も異なっています。

 

《アグリコン型イソフラボンの分類と特徴》
種類  エストロゲン様作用
グリシテイン ない
ダイゼイン 弱い
ゲニステイン 強い

では、なぜイソフラボンがエストロゲンと同じような働きをするのでしょうか?

私たちは体内で多くの種類のホルモンを分泌しています。

しかし、特定のホルモンが特定の部位に作用してくれないと大変なことになってしまいますから、

“このホルモンはこの場所にだけくっつくことができる”という鍵のような分子構造を持っています。

そして、鍵穴はそのホルモンを必要とする組織に備わっています。

これをホルモンの「受容体」といいます。

エストロゲンも同じで、エストロゲンだけが持つ鍵と、エストロゲンだけを受け取る受容体があるわけです。

ところが、このエストロゲンの鍵とよく似た形の鍵(分子構造)をもっている物質があると、

受容体と結合できてしまいますね。

それがイソフラボンの1つ「ダイゼイン」が代謝されたときにできる「エクオール」なんです。

効きやすい人は「イソフラボン」でもOK

ダイゼインのままではエストロゲンの受容体に結合できませんから、

代謝してエクオールに変えなければなりませんね。

ここで重要なのは、ダイゼインを代謝するのは人ではなく、人の腸内に棲む細菌という点です。

人が大豆などを食べて摂取したダイゼインが消化されて腸までたどり着くと、

そこで腸内細菌によって代謝されて、初めてエクオールに変わるわけです。

この代謝を行う腸内細菌は10種類ほど発見されており、総称して「エクオール産生菌」と呼んでいます。

 
腸内細菌によって生じたエクオールは、エストロゲンの受容体と結合することができるため、

受容体のある部位ではエストロゲンを受け取ったものと解釈します。

ですから、実際のエストロゲンは分泌されていなくても、

脳での混乱は起こらず、自律神経にも影響が及ばないため、更年期障害も起こりにくいのです

このことは科学的にも確認されており、

更年期の女性を対象として尿中のイソフラボンの種類による排泄量と更年期症状について調べたところ、

エクオールが多い人では症状が軽い傾向があるという結果が出たそうです。

他方、尿中のダイゼインやゲニステインの排出量に関しては症状の重症度に関係が見られなかったそうです。

イソフラボン類は腸から吸収されて尿に排出されるため、

尿中に多く見られた人は体内にたくさん保有しているといえます。

それが更年期障害の改善に深く関わっていると考えられるわけですね。

 
イソフラボン類は体内に蓄積することができないため、エクオールを補給し続けるには

大豆などイソフラボンを豊富に含む食品を毎日継続的に食べ続ける必要があります。

幸い私たち日本人の食生活に大豆製品は深く関わっています。

豆乳、豆腐、味噌、納豆などの加工食品にも多く含まれていますから、

意識的にメニューに取り入れていくと良いでしょう。

特に発酵食品にはアグリコン型イソフラボンが多く含まれているのでおすすめですよ。

ちなみに、大塚製薬㈱によると、エクオールの1日の摂取目安量は10mgとのことで、

これは大豆食品に換算すると、納豆1パック、木綿豆腐2/3丁に相当するそうですよ。

大豆製品から手軽に摂ることができますが、毎日となると大変なのでサプリメントを利用する人も多くいます。

効きにくい人は「エクオール」を

ところが、大豆製品やイソフラボンのサプリメントを摂っても更年期障害が改善しない女性もいます。

なぜかというと、その人の腸内に「エクオール産生菌」が棲みついていないか、その活性が低いからなんです。

 
名古屋大学発のベンチャー企業「ヘルスケアシステムズ」では

エクオールの検査ができるキットを開発しており、

その1849名のデータによると、体内でエクオールを作れる人は43%だったそうです。

大塚製薬㈱でも「日本人の約半数がエクオール産生菌を保有していない」としています。

日本人の半数しか産生できないと言われるとがっかりしますが、

アジア圏全体を見てもだいたい同じくらいで、世界的に見ればこれでも産生菌の保有率は高い方なんです。

欧米人の保有率は3割程度という低い数値が報告されており、

大豆製品やその発酵食品をよく食べるアジア圏で産生菌が優勢となっているのでは…と推測されています。

そうはいっても、エクオール産生菌を保有していない人は、直接的にエクオールを摂取するしかありませんね。

そこで今、注目されているのが「エクオール」のサプリメントなんです。

サプリメントならエクオール産生菌がいなくても、1日の目安量を手軽に摂ることができますね。

加えて、現代人は腸内環境が悪化しているため、

エクオール産生菌がいても十分に活動できなかったり数が減ってしまっていたりして、

1日にエクオールを3.0mg程度しか作れていないとも言われています。

エクオール産生菌がいる人でも、サプリメントを利用すれば不足分を補え、

更年期障害の改善に役立てることができますね。

 
ただし、「エクオール産生菌は誰の腸にでも存在する」という研究報告もあります。

腸内細菌学の権威・辨野先生によると、

検査でエクオールを作れないと判断された人達に納豆を取り入れて食生活を改善してもらったところ、

1年半で作れるようになった人が何人もいるという実験データがあるそうです。

つまり、腸内に棲みついているものの、

有効な量のエクオールを作り出せるほど活性化していない(元気がない)ために、

大豆の効果が得られていない可能性があるということなんですね。

食生活の改善により腸内環境が良くなればエクオール産生菌が活性化するようになるということですから、

次項を参考にして、諦めずに努力してみる価値はあります。

活性化するまでに少々時間がかかるので、サプリメントを併用するのがおすすめです。

気をつけたい習慣

大豆摂取量の多いアジア圏でエクオール産生菌の保有者が多かったり、

納豆で食生活を改善すると菌が活性化したりと、

「大豆」はエクオール産生菌と深い関係にあることが伺えますね。

これらの例から考えると、エクオール産生菌を保有しているかいないかに関わらず、

大豆製品を多く摂ることが重要であることがわかります。

特に納豆のような発酵した大豆にはアグリコン型イソフラボンが多く含まれるので、

最適な食材といえるでしょう。

また、大豆にはイソフラボンだけでなく、腸内環境の改善に欠かせない食物繊維が多く含まれています。

食物繊維は善玉菌を増やし、腸内フローラを改善してくれるので、

エクオール産生菌にとっても住みやすい環境に整えてくれます。

 
大豆だけでなく、食物繊維に富んだ食材や納豆以外の発酵食品にも、

同じように腸内環境を整える効果があります。

ゴボウや海藻類、ぬか漬けやキムチなどを進んで摂るようにしましょう。

ただし、漬物類は塩分が多いので、むくみや高血圧の原因となり、

更年期障害を悪化させることもあるので気をつけましょう。

また、アボカドには水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれており、

アボカド1/2個と納豆1パックを混ぜた「アボカド納豆」は

エクオール産生菌を目覚めさせるのに効果的なレシピとして紹介され、話題になっています。

 
他にも食事や生活上の習慣とエクオール産生菌の活性には因果関係があると推測されており、

はっきりとしたことはわかっていませんが、エクオールを産生できる人には、

  • 緑茶を良く飲む人
  • タバコを吸わない人
  • 乳製品の摂取量が多い人

などが多いそうです。

また、世代別にエクオールを産生できる人を調べると、若い人ほど少ないことがわかっています。

これには食の欧米化が関係していると考えられており、

昔ながらの魚・野菜中心の和食を多く食べる方がエクオール産生に適していると見られています。

注意点

通常の食生活で摂取したものや体内で産生される分だけならともかく、

サプリメントでまとまった量を摂るとなると、気になるのは副作用ですね。

 
大豆イソフラボンには更年期障害の改善をはじめ、

骨粗しょう症、乳がんなどの予防効果が期待されていますが、

農林水産省では、「過剰に摂取しすぎると、乳がん発症や再発のリスクを高める可能性も考えられる」とし、

明確な有効性と安全性については言及していません。

同様に、内閣府・食品安全委員会でも閉経後の女性が5年間150㎎/日の大豆イソフラボンを摂取した例で

子宮内膜増殖症となったケースが目立ったことなどをあげ、

多量かつ長期連用時における有害作用の可能性」を示しています。

これを受け、『大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方』の中で、

「日常の食生活に加えて、特定保健用食品により摂取する大豆イソフラボンの摂取量が、

大豆イソフラボンアグリコンとして30 mg/日の範囲に収まるように

適切にコントロールを行うことができるのであれば、

安全性上の問題はないものと考えられる。」としています。

大豆イソフラボンに植物エストロゲンと呼ばれるほどの作用があることは確実ですが、

ホルモンと同じような挙動をする以上、体に大きな影響を与えることは容易に推測できますね。

サプリメントで摂る際には、パッケージの目安量を守るようにしましょう

 
一方、エクオールのサプリメントは開発されてから日が浅いため、

国立健康・栄養研究所では平成21年度の時点で

エクオール含有食品の安全性については、引き続き検討する必要がある」としています。

前述のイソフラボンの代謝物がエクオールですから、

過剰に長期にわたって摂取すれば同じようなリスクを生ずることは否定できません。

副作用などは報告されていませんが、やはり目安量を守って飲み続けることが大切ですね。

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