更年期障害

更年期障害の予防や改善に効果的な食事とは?

数年間…あるいはもっと長く付き合っていかなければならない“更年期の体”。

薬を飲む方法もありますが、「副作用が心配」という人や、

「更年期は自然の摂理だから、できるだけ自然に予防や改善をしたい」という人は、

食事の見直しをしてみてはどうでしょうか?

ここでは、更年期障害の予防や改善に有効とされる“食事”について、

ポイントとなる栄養素注意すべき点をまとめて紹介しています。

 

更年期障害と症状

更年期障害は卵巣の老化によって必要量のエストロゲンが分泌されないことが引き金となっておこります。

本来ならもっと分泌されていなければならないのに、少なくなってしまうことが脳を混乱させ、

自律神経を上手くコントロールできなくなるために、様々な不調が訪れるのです。

さらに、更年期世代の女性は子供や夫に関する悩み、両親の介護、仕事など

多くのストレスがいっぺんに訪れるタイミングでもあります。

このストレスがエストロゲンの低下と重なって自律神経の不調を悪化させることも、

更年期障害を重くする原因になっていると考えられています。

 
更年期障害の症状は人により様々で、どれもエストロゲンの低下によって引き起こされますが、

自覚症状として現れる直接的な要素は下表のように分類することができます。

(参考:弘前大学教授 水沼秀樹 日本産科婦人科学会誌55巻9号)

 

《更年期障害の自覚症状と主たる要因》
自覚症状の例主たる要因 
ほてり、のぼせ、多汗、頭痛
血管系(運動系との関連あり)
不眠、頭痛、めまい、イライラ、憂うつ感、不安感
精神・神経系(複合的な影響が大きい)
肩こり、腰痛、関節痛
運動系(血管系との関連あり)
疲労感、めまい、消化管の不調、皮膚の乾燥
その他(複合的な影響が大きい)

これらの自覚症状の主体となる要素は表の通りですが、更年期障害の厄介なところは原因が1つに特定できず、

複数の要因が複雑に絡み合って症状を引き起こすことが多い点にあります。

例えば「肩こり」は血液循環の悪さが引き起こすものですが、

そもそも血液循環が悪くなっている理由に冷えやイライラ、体の緊張などがあり、

その根底にエストロゲンの低下や更年期世代の抱えるストレスなどがあったりするのです。

ですから、複数の更年期障害を抱える人は、

根底にある「エストロゲン不足」を改善する方法が近道となりますが、

気になる症状が限られる人ならば、

その「直接的な要素」を改善するだけの手軽な方法で体調を整えることもできるわけです。

 

食事で補給したい栄養素

食事によって更年期の不調を改善しようとする場合、

原因となる直接的な要素に働きかける食材を選ぶことが大切です。

症状が重かったり、多くの症状に悩んでいたりする場合は病院に行くことをおすすめしますが、

軽度であれば自律神経の不調によって失われた機能を補う栄養素を摂ることで、

症状が改善できるケースもあります。

私たちの体はすべて食事から摂った栄養素を元に作られたものなので、

体の不調も適切な食事によって緩和できると考えるわけです。

更年期障害の場合も足りない“何か”を補うことで、機械に油を指すように不調が改善できることもあります。

ただし、症状によって補うべきものが違いますので、正しく選択することが重要になるわけですね。

ここで紹介する栄養素は更年期障害の多くの症状に適したものなので、

これらが豊富な食材をメニューに取り入れると効率よく改善につながると思います。

いわゆる「バランスの良い食事」を実践していれば自然に補給できるものですが、

乱れがちな食生活を送っていたり、思うように改善しなかったりする場合は、

足りていないのかもしれません。

意識的にプラスしてみてくださいね。

ビタミン

体に必要な量はごくわずかですが、ビタミン類は欠かすことのできない物質です。

なぜなら、ビタミンの多くは体内で合成できず、

特に水溶性のものは蓄積することもできないため、毎日補うことが重要となるからです。

種類によって働きは異なりますが、

多くは体内の化学反応で用いられる“酵素”の働きをスムーズに行うための「補酵素」として機能しています。

そのため、ビタミンが不足すると化学反応が促進されず、

必要な物質を生成したリ分解したりすることができなくなってしまいます

その中には更年期障害を悪化させる要因になるものもあります。

特に関りが深いビタミンを紹介しましょう。

ビタミンB群

ビタミンB群とはビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの総称で、

水に溶けやすい性質(水溶性)を持っています。

このうち、ビタミンB1とB12は脳神経系を正常に保つ作用があり、

自律神経の不調による症状を緩和する効果があると言われ、多くの更年期症状の改善が期待できます。

ビタミンB6も神経伝達物質の合成に関わるため、イライラ・無気力などを軽減し精神の安定に役立ちます。

また、ビタミンB群はそれぞれが作用しあって、

糖質・脂質・タンパク質といった3大栄養素の代謝に深く関わっています。

そのため、更年期障害で見られる疲労感や体力低下時の栄養補給にも不可欠なビタミンです。

ビタミンB1、B2、B6、B12はレバーや豆類、ナイアシンは魚類や豆・果実類、

パントテン酸は乳製品や卵、葉酸は緑黄色野菜、ビオチンはレバーや豆類に多く含まれています。

ビタミンE

ビタミンEは女性ホルモンの分泌と関わりがあり、

ホルモンバランスの乱れによっておこる更年期症状を改善する効果があります。

さらに、血管の収縮を促す神経伝達物質の生成を抑えて毛細血管を広げ、

血流をよくする働きや、血液をサラサラにする効果もあり、

これらによって血行不良が原因となる冷え、肩こり、腰痛、頭痛などの更年期症状を改善することができます。

特に、血流の改善によって全身の新陳代謝が促進されるため、

皮膚のターンオーバーもスムーズになり、お肌のハリ・艶も改善されます。

女性には嬉しい成分ですね。

ビタミンEを多く含む食材には、かぼちゃ、アボカド、ナッツ類、植物油、ウナギなどがあります。

ただし、油溶性(油に溶けやすい)ビタミンのため、過剰に摂取しても排出されにくい傾向があります。

食事から摂る分には問題ありませんが、過剰症が起こる可能性もあるので注意しましょう。

ビタミンC

抗酸化作用がある物質として有名なビタミンCには、

ストレスによっても発生する活性酸素などから体を守る働きがあります。

また、ビタミンCは神経伝達物質であるドーパミン、アドレナリンなどの合成や、

抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンの合成に関わっています。

更年期世代の女性は、抱えているストレスや自律神経の不調から、

イライラや不眠などの精神症状が現れる人も多く見られますが、

これらのストレスを軽減するのにも役立つわけですね。

ビタミンCを多く含む食材には、

キウイフルーツ、柑橘類、イチゴ、ほうれん草、ジャガイモ、ブロッコリーなどがあります。

ミネラル

微量元素であるミネラルは体内では作ることができない物質なので、

必ず食事などから補給することが必要です。

中には更年期障害と深い関りを持つものもあるので、過不足なく摂りましょう。

亜鉛

更年期にはホルモンバランスが乱れやすくなりますが、亜鉛の不足はこれを促進すると言われています。

もともと亜鉛は卵巣に多く蓄えられているミネラルで、

女性ホルモンの働きにも影響しますから、不足しないように心掛けましょう。

また、更年期症状として「物忘れ」が激しくなる人もいますが、

亜鉛は脳内での情報伝達に深く関わる物質ですので、物忘れ防止にも有効ですよ。

亜鉛を多く含む食材には、牡蠣やホタテなどの貝類、レバー、玄米や卵などです。

ただし過剰摂取すると他のミネラルの吸収を妨げ、中毒症状をおこすなどの副作用もあります。

通常の食生活では過剰摂取の心配はありませんので、これらの食材をバランスよく摂り入れていきましょう。

鉄分

女性に不足しがちなミネラルの上位にランキングされる「鉄分」。

鉄分は赤血球を構成する大切なミネラルですので、欠乏すると貧血などの症状だけでなく、

血行不足になって冷えや肩こり、頭痛などの更年期障害を悪化しやすくするので注意が必要です。

特に、“冷え”はほてり・のぼせ・多汗といった「ホットフラッシュ」を

起こりやすくすると言われているため、鉄分の摂取はホットフラッシュの予防にもなりますよ。

中には「めまい」が起こるので更年期症状かと思っていたら、

鉄分不足による貧血だった…というケースも少なくないそうです。

更年期にはホルモンバランスが乱れるため、月経周期も不規則になりますね。

28日周期で訪れていた月経が2~3週間周期になれば、

短い期間で失われる血液が多くなり、鉄分も不足しやすくなるというわけです。

閉経後は経血で血液が失われることはなくなりますが、

鉄は吸収率の低いミネラルなので積極的に摂っていきましょう。

レバー、赤身の肉や魚、アサリ・シジミなどの貝類、豆類などに多く含まれています。

脂肪酸

 
更年期障害には血流の悪化による影響が見られるものも多くあるため、

血行を良くするだけでも軽快する可能性が十分にあります。

ω3(オメガ3)系脂肪酸に分類されるEPA(エイコサペンタエン酸)には

血液をサラサラにする効果があり、

冷えを解消することでホットフラッシュを防ぎ、頭痛・肩こりなどの緩和に効果が期待できます。

動脈硬化の予防にも役立ちますよ。

また、DHA(ドコサヘキサエン酸)には

更年期に起こりやすい物忘れなどを改善する効果があると言われています。

DHA・EPAは青魚(イワシ、サバ、マグロなど)の脂質に含まれています。

食物繊維

人は食物繊維を消化できないため栄養はほとんどありませんが、

良い腸内環境を保つには欠かせない栄養素です。

腸内の善玉菌が食物繊維を利用することによって腸内環境が整い、

消化や免疫系を改善し、健康な体を維持することに繋がっているからです。

また、脳と腸には密接な関係(脳腸相関)があることがわかっており、精神の安定性にも寄与していますので、

腸内環境を改善することは更年期のイライラやストレスを緩和し、

それらが引き起こす頭痛などの軽減にも役立ちます。

 
食物繊維はゴボウや海藻などにも多く含まれますが、特におすすめしたいのは納豆です。

大豆には豊富な食物繊維と良質なタンパク質が含まれていますが、

これを発酵した納豆ではより吸収しやすい形になっています。

さらに、大豆に含まれるイソフラボンは植物エストロゲンとして女性ホルモンと同じように働くため、

更年期障害の改善に有効ですが、納豆ではさらに利用しやすい形に変化しています。

毎日1パック食べると必要量のイソフラボンを摂取できますよ。

 

食事で気をつけること

栄養素の中には、

適切な方法で摂らないとせっかく食べても失われてしまったり吸収できなかったりするものもあります。

例えば、ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミン

水で洗ったり、茹で汁を捨ててしまったりすると溶けだした分を摂取できません

また、DHAやEPA脂を摂取しなければ、補給することはできません。

煮たり焼いたりすると脂が溶け出して調理中に失われてしまうことがあります。

できれば脂ののった旬の魚をお刺身で食べると効率よく摂取できますよ。

 
さらに、鉄分の種類によってはタンニンと結合すると吸収しにくくなってしまうものがあります

肉や魚から摂取する場合はあまり問題になりませんが、

それ以外から摂る場合はタンニンを含むコーヒーや緑茶などを一緒に飲まないようにしましょう。

逆に、ビタミンCは鉄分の吸収を促進する効果があります。

肉や魚を食べるときは野菜をたっぷり摂るといいですね。

 
また、ビタミンB群は栄養素の代謝に補酵素として使われています。

そのため、大量の食事を摂ると、ビタミンB群が多く消費されてしまい、

更年期障害の改善に用いる分がなくなってしまいます

ですから、適切な食事量を守ることも大切なのです。

 
これらの栄養素は相互に関わり合うことで様々な役目を担っています。

ですから、1つの栄養素ばかりを摂取するのではなく、多くの食材から様々な栄養素を摂ることが一番です。

主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを整えて、更年期障害を軽くしていきましょう。

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