更年期障害

更年期障害はプラセンタ注射で改善する!

美容などのCMや広告でもよく耳にする「プラセンタ」。

これが辛い更年期障害にも効くことを知っていますか?

実は、プラセンタ注射には更年期症状に対して高い効果があり、

健康保険が適用されるというメリットがあるんです。

でも、副作用費用など気になる点もありますよね。

これらの点にスポットをあて、

ここでは更年期障害におけるプラセンタを用いた治療法について詳しく解説していきます。

 

更年期障害と症状

女性なら誰でも閉経を迎える50歳前後になると卵巣の機能が低下し、

女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が急激に低下してきます。

エストロゲンの分泌には脳にある視床下部が関与しているのですが、

ここからの指示があっても卵巣から必要量の分泌が行われないため、脳が混乱してしまいます。

実は視床下部は体の様々な機能を調節する「自律神経」とも密接な関係にあり、

脳の混乱が自律神経にも影響を与えてしまうため、

体の調節機能が失われ、更年期障害が発症すると考えられているのです。

さらに、自律神経は体だけでなく心や精神のバランスも保つ働きをしています。

これらの複合的な不調が、更年期障害として次のような身体的・精神的な症状を起こしているのです。

 

《主な更年期障害の症状》
身体的症状月経異常、のぼせ、ほてり、発汗、手足の冷え、血圧の変化、頭痛、
めまい、尿漏れ、肩こり、腰痛、関節痛、子宮脱など
精神的症状記憶力・集中力の低下、不眠、イライラ、孤独感、憂うつ感など

 

プラセンタとは?

プラセンタとは「胎盤(placenta)」のことです。

正常分娩での出産経験がある人は、

赤ちゃんを産んだ直後に「後産(あとざん)」と称して胎盤したことを覚えているかもしれません。

胎盤は子宮の中の赤ちゃんと“へその緒”を介して、栄養や酸素、老廃物、免疫などの受け渡しを行う器官です。

さらに内分泌器官としてプロゲステロンやエストロゲンなどのホルモンの産生も行っています。

これらの働きにより妊娠を継続し、

わずか0.1ミリほどの受精卵を40週間のうちに3000gの赤ちゃんにまで育て上げることができるのです。

こういった胎盤の機能は科学が発展してから解明されたものですが、

多くの哺乳類が出産後に本能的に胎盤を食べるように、

紀元前の古代ギリシャやクレオパトラの時代から多くの地域で健康的・美容的価値が認められていました。

古くから医薬品として重用されてきたそうですから、驚きですね。

 
現代では処理して胎盤から抽出したエキスを「プラセンタ」と呼ぶのが一般的になっており、

医療や美容、保健目的などで利用されています。

プラセンタの製造法と安全性

プラセンタの原料になる胎盤には

タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、核酸、酵素、ホルモンなどの

栄養素や生理活性物質、成長因子などが豊富に含まれています。

医療用のプラセンタは、これを塩酸加水分解法によって101℃以上・1時間以上の塩酸加熱処理

および121℃・30分間の高圧蒸気滅菌をし、ウイルス等の不活性化処理が行われたものです。

医療用のプラセンタはすべてヒトの胎盤を原料にしていますが、

市販のサプリメントや健康食品はヒトの胎盤から作ることが許されていないため、

豚・馬・羊などの哺乳類の胎盤から製造されています。

さらに、医療用のプラセンタ原料については厳しい基準が設けられており

日本国内の妊婦より出産時に排出された胎盤であること、提供者の海外渡航歴等の問診のほか、

血清学的検査によってウイルス・細菌の感染症スクリーニング検査などが実施され、

合格したものだけを使用することができます。

医薬品としてのプラセンタ

日本国内で更年期障害の治療にプラセンタを用いる場合、

どこの病院でも『メルスモン』という注射薬を用います。

これは現在厚生労働省が認可する医療用プラセンタが『メルスモン』と『ラエンネック』の2種類しかなく、

後者は肝機能障害の治療でのみ保険適用が認められている薬だからです。

 
『メルスモン』とはメルスモン製薬㈱が製造・販売し、

更年期障害と乳汁分泌不全にのみ保険が適用される皮下注射用の胎盤製剤です。

黄色味のかかった透明な液体で、1アンプル(容器)に2㎖入っており、これを1回分として使用します。

この中には“ヒト胎盤繊毛分解物の水溶性物質(胎盤エキスの主要成分)”が100㎎含まれており、

有効成分としてはリジン、アラニン、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、グリシン、バリン、セリン、

チロシン、 フェニルアラニン、スレオニン、アルギニン、プロリン、イソロイシン、メチオニン、ヒスチジン

といったアミノ酸が理化学的に分析されています。

 

プラセンタ注射が効果的な理由

実は、プラセンタ注射がなぜ更年期障害に効くのかは解明されていません。

メルスモンの有効成分としては前述の通りアミノ酸しか報告されておらず、

「アミノ酸で更年期障害を治療できるのか」というと、それだけでは困難という判断もあるわけです。

つまり、アミノ酸以外の成分の更年期障害への作用機序は不明なのです。

しかし、作用機序を特定できないことと、効果の有無については別問題と捉えることもできます。

事実、プラセンタのもつ可能性を追求・利用することを目的に日本胎盤臨床医学会も設立されており、

研究の成果も多数報告されています。

では、プラセンタ注射の効果とデータに関して見ていきましょう。

更年期障害への効果

プラセンタを皮下注射すると、卵巣の働きを助け、ホルモンバランスが整うという効果が見られます。

この結果、体の状態が更年期を迎える前に近くなり、自律神経の調節機能が改善される結果、

更年期障害の多くの症状が緩和されるのです。

具体的には、

ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・多汗)、不眠、手足の冷え、頭痛、肩こり、めまい、

月経不順、疲労などの他、イライラなどの精神症状にも効果があるとされています。

 
また、プラセンタ注射は美容目的でも用いられていますね。

もちろん、更年期障害の治療で利用しても美容への効果が得られます。

例えば、シワ、ニキビ、美白、肌荒れ、乾燥、アンチエイジングなど肌の改善にも効くのです。

女性にとっては嬉しいオマケといえるでしょう。

他にも、免疫改善によるアレルギー性疾患(花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息など)、

肝炎、高血圧、糖尿病などへの効果が報告されています。

臨床データ

更年期障害の治療に用いられるプラセンタ注射「メルスモン」には、

更年期障害の患者31名を対象にした臨床データがあります。

メルスモン1回1アンプル(2ml)を週に3回、2週間継続して合計6回の皮下投与を行ったところ、

効果があったとする患者が24名(有効率77.4%)に上った…というものです。

更年期治療として有名な「ホルモン補充療法」も約8割の患者に改善がみられるとされていますので、

これに匹敵する効果が得られていると言えるでしょう。

 

費用や期間について

前述の通り、メルスモンは厚生労働省の認可を受けた処方薬なので、保険が適用されます。

ただし、これには次の要件を満たす必要があります。

  1. 医師の診察により更年期障害の診断が下されていること(保険適応年齢は概ね45~59歳であるが、女性ホルモンの低下による若年性更年期障害が認められる場合などは適応となる)。
  2. メルスモン1回1アンプル(2㎖)まで

つまり、更年期障害以外…例えば美容目的でプラセンタ注射を受ける場合は保険適応となりません。

※肝機能障害もプラセンタ治療に保険が適応されますが、メルスモンではなくラエンネックが使用されます。

また、更年期障害の治療だとしても2アンプルを超える場合は保険適応外です。

自由診療(自費)になりますので、注意してください。

 
また、注射の回数ですが、前述の臨床データのように高い効果を得るためには、

一週間に2~3回が必要と言われています。

体調を見ながら治療間隔を調整していきますので、

このペースでの注射をずっと続けるというわけではありませんが、

少なくとも治療開始後2か月くらいは数日おきの通院が必要になるでしょう。

そのあとは自分の体調を医師に相談した上で、注射のペースを考えていくと良いと思います。

効果には個人差がありますが、2か月くらいで体調に改善がみられる人が多いようですよ。

 
また、メルスモンの費用は保険3割負担の人で500円くらいです。

初診時は検査なども受けますので、その分も加算されます。

さらに、病院によっては定期的に女性ホルモンなどの血液検査をしたり、

医師が必要とする検査を受けたりすることがあります。

“更年期障害のプラセンタ治療にはメルスモンが使われる”というのは日本全国どこの病院でも共通ですが、

使用ペースや治療期間、診察料などの治療費は病院によって差があります。

治療を開始する前にしっかりと確認しておくと良いでしょう。

 

メリット・デメリットについて

ここまでプラセンタ注射について効果や治療の実態について触れてきましたが、

更年期障害の他の治療法と比べるとどうかなど、気になるところですね。

この項では、プラセンタ注射のメリット・デメリットについてまとめてみました。

治療法を選択するときの参考にしてくださいね。

プラセンタ注射は特定生物由来製品のため、

投与前にリスクを含めた患者へのインフォームドコンセントが必要であることが法律で定められています。

不安があれば担当医に遠慮なく相談し、説明を求めるようにしましょう。

メリット

更年期障害の積極的な治療法として選択される「ホルモン補充療法」は更年期障害への高い効果を示しますが、

一方で子宮体がんの発生リスクを高めるという報告もあり、

この副作用を考慮した治療法(エストロゲンとプロゲステロンの併用)などが行われています。

その点、プラセンタ注射では同程度の効果を有していながら、今のところ大きな副作用は報告されていません

安心して使えるというのは選択時の大きなポイントといえるでしょう。

また、子宮筋腫や血栓症、重い肝臓病の人などはホルモン補充療法を受けることができませんが、

プラセンタ注射にはこのような制約はありません。

既往歴があっても積極的な治療ができるという点も魅力でしょう。

また、漢方薬などの内服剤と併用することもできるので、本人が望めば幅広い治療を受けることも可能です。

デメリット

プラセンタ注射を受ける際の主なデメリットは次の3つです。

病院でしか受けられない

プラセンタによる治療は何度も述べているように「皮下注射」によって行われます。

このため、貼り薬や塗り薬の「ホルモン補充療法」や、飲み薬の「漢方薬」のように、

自宅で行うことができません。

つまり、週に数回、注射のたびに通院する手間がかかるということが一番大きなデメリットです。

副作用がゼロではない

大きなリスクとしては、アレルギー反応を起こす可能性が指摘されています。

具体的には注射を打ったところが赤くなる、発疹が出る、発熱するなどの症状が

出る可能性があるということです。

でも、この反応は予防注射などでも起こる一般的な副作用です。

外界から異物…特にタンパク質を取り込む時には起こりうる反応なのです。

ですから必要以上に心配する必要はありません。

ただし、アレルギーを持つ人はこの反応が強く起こって“ショック症状”を起こすケースも考えられます。

メルスモンの添付文書にもアレルギー体質の患者には慎重投与する注意喚起がありますので、

体質に不安がある人は事前に医師に対して正しく申告しておくことも大切です。

なお、1956年に国に認可されて以来、今のところ重大な副作用の報告はありません

献血ができなくなる

プラセンタの原料となるのはヒトの胎盤です。

前述の通り、感染のない健康な人の胎盤を原料とし、

ホルモンやタンパク質、病原体を含まないように加水分解・滅菌を行っていますが、

もし、未知の病原体が含まれていても、排除できているかどうか確認することは不可能です。

つまり、理論的に胎盤の提供者から感染症の疑いを100%除外することができないのです。

これにより、2006年、厚生労働省は

プラセンタ注射を1度でも投与したことがある人は献血をしてはならない”との通達を出しました。

血液製剤で問題になった薬害肝炎や

人への感染が認められたBSE(原因とされるプリオン含有)のようなリスクを回避し、

輸血血液の安全性を最優先するためです。

しかし、これを聞いた人の中には「プラセンタが危険だから輸血できなくなった」と考える人も出てしまい、

プラセンタ注射への正しい理解が得られなくなった残念な弊害もあります。

提供者は感染危険地域への渡航歴などの調査も受け、

現在考えられるリスクを排除した胎盤からプラセンタは製造されており、

リスクは限りなく低いと考えられますが、献血ができなくなるのも事実です。

注射を一度でも受けると献血不可能になってしまいますので、よく考えてから治療を開始しましょう。

 

サプリメント・健康食品について

プラセンタというと注射だけでなくサプリメントや健康食品なども販売されていますね。

しかし、これらの原料にはヒトの胎盤を用いることができないため、

日本では安定供給と組成の面から豚や馬の胎盤が使用されています。

しかし、製造工程が医療用ほど厳しくないため、

製品中から動物の性ホルモンや薬物が検出されたという報告もあり、安全性に疑問が残ります。

実際のところ、プラセンタの健康食品・サプリメントの中には、

薬剤性肝炎、薬剤性肺炎、接触性皮膚炎、全身性斑状強皮症などの健康被害が報告されたものもあります。

 
また、これらの製品はおもに飲み薬のように経口投与しますが、

消化管を経由するうちに分解されてしまうので、

栄養素の補給以外の効果があるとは考えにくいと言われています。

一般的にプラセンタのサプリメントや健康食品は

「更年期障害によい」「美容によい」などと言われていますが、

科学的な臨床試験でヒトにおける有効性は確認されていないのです。

ただし、化粧品などの皮膚に塗るものでは皮膚炎症の改善、メラニンの生成抑制、ターンオーバー促進

といった効果の可能性が示唆されていますので、期待できるかもしれませんね。

 
一方、全くの根拠に乏しい製品も世の中に溢れています。

その代表的なものが「海洋プラセンタ」「植物プラセンタ」などです。

そもそも、プラセンタは「胎盤」です。

胎盤は哺乳類(カンガルーなど一部をのぞく)にのみ存在する器官なので、

卵や種子から生まれる動植物からプラセンタは取れません。

更年期障害にプラセンタの利用を考えるのであれば、

メリット・デメリットを理解したうえで、プラセンタ注射を受けるのがおすすめです。

安全性に疑問が残る製品には手を出さないようにしましょう。

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