高血圧・動脈硬化

徹底解説!コーヒーは血圧を上げる?下げる?

今や街中に溢れるコーヒーショップは、一息つきたいときに欠かせない存在になっています。

職場や自宅でもコーヒーを手放せないという“コーヒー党”の人も少なくないですね。

そんなコーヒーが血圧に影響を与えることを知っていますか?

ここでは、コーヒーの成分と、それらがもたらす血圧への作用の各説

また、コーヒーを利用するにあたって気を付けたいことについて解説しています。

 

コーヒーの成分

深みのある香りと苦みが特徴的なコーヒーは、もともと薬として利用されていた飲み物です。

どんな成分が私たちに影響を与えているのか、見ていきましょう。

カフェイン

コーヒーの成分として最も有名な「カフェイン」には神経を興奮させる作用があるため、

眠気覚ましや集中力・運動能力のアップなどの効果が知られています。

また、「コーヒーを飲むとトイレが近くなる」といわれるように利尿作用もあります。

一方で、 “コーヒー中毒”なる言葉が生まれるほど習慣性があるとされてきましたが、

実際の飲用レベルではそれほどの常習性はないことがわかっており、

安心して飲めるドリンクと言えるでしょう。

最近では、コーヒーに体脂肪の燃焼効果があるという報告もあり、更なる研究が注目されています。

ポリフェノール(クロロゲン酸類)

抗酸化作用を持つポリフェノールは、植物が種子や葉を紫外線などから守るために作り出す成分です。

コーヒーの産地は赤道を挟んだ南北に分布していますから、

強い紫外線からコーヒー豆を守るためにたくさん生成するようになったのでしょう。

ポリフェノールにはたくさんの種類があり、植物によって生成する物質は異なっています。

ワイン(ぶどう)・ブルーベリー・緑茶のポリフェノールは有名で、

それぞれ「レスベラトロール」、「アントシアニン」、「カテキン」などを含んでいますが、

コーヒーにも特異的なポリフェノールが9種類あり、

これらを総称して「クロロゲン酸類(コーヒーポリフェノール)」と呼んでいます。

 
驚くべきことに、最近の調査によると、

すべての飲食物から日本人が摂取するポリフェノールの約半分がコーヒー由来だそうですよ。

実は、ポリフェノールはあまり吸収率が良くない物質なのですが、ネスレ日本によると、

コーヒーのポリフェノールは緑茶よりも有意に吸収量が多いことがわかったそうです。

コーヒーを飲む機会が増加していることに加え吸収率が良いことも、

コーヒー由来のポリフェノールが多い理由になりそうですね。

 

コーヒーと血圧の関係

カフェインやクロロゲン酸類など、コーヒーの成分が私たちの健康に及ぼす効果は、

まだまだ研究途上です。

血圧に関しても「下げる」「上げる」など様々なデータが飛び交っており、

専門家の間でも厳密な結論は下されておらず、国立循環器病研究センターでも

コーヒーと高血圧の関係についてははっきりしないとしています。

一方で、データを誤解して間違った結論を導き出しているサイトも多く見られる現状もあります。

ここでは、双方のデータを解説しつつ、科学的根拠が明らかな見解を紹介していきたいと思います。

全ての人に当てはまるとは限らないことをご了承下さい。

「血圧を上げる説」・「効果なし説」

コーヒーの成分「カフェイン」には交感神経を刺激する作用が知られています。

眠気覚ましの効果も、その1つです。

交感神経は主に活動時に中心となって働く神経系で、心肺機能を上げるために血圧も上昇します。

これらの影響で、

コーヒーを1杯飲むと収縮期血圧は約10mmHg上昇するが、

効果が持続するのは通常1時間以内の一時的なもの

という報告があります。

また、コーヒーを繰り返し飲むことでカフェインに慣れて耐性が生じるため、

血圧が変動しにくくなることもわかっています。

 
その一方で、いくつかの研究結果をまとめて解析する方法(メタアナリシス)によると、

1日平均で5杯のコーヒーを飲むことを8週間続けると、

収縮期2.4mmHg、拡張期1.2mmHgと軽度ではあるものの血圧が上がる

というデータが導かれる例もあります。

このケースでは24時間血圧を調べた研究でも軽度の血圧上昇が認められたとのことですから、

効果が持続していることになりますね。

 
また、クロロゲン酸類の効果を調べた研究も盛んに行われており、

こちらは「血圧を下げる」作用があることが確認(次項)されていますが、

クロロゲン酸類の効果を失わせる成分もコーヒーには一緒に含まれているため、

血圧を下げる効果が減少するという報告が花王㈱からなされています。

これは、動物実験において、

クロロゲン酸類には一酸化窒素と関与して血管内皮機能を改善し、血圧を下げる効果があるが、

コーヒーを焙煎した時に生じる酸化成分「ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)」がこの作用を阻害する。

というもので、HHQが活性酸素を発生させることと関係していると示唆されています。

 
また、高血圧が発症する大きな要因に「動脈硬化」があり、

血中コレステロールが上昇するとなりやすいことがわかっています。

ところが、

コーヒーを飲むと血中コレステロールが増える

という報告があり、

「コーヒーを飲むと動脈硬化を起こしやすくなる=血圧が上がる」とされたものが見られます。

確かに血中コレステロールの上昇は動脈硬化のリスクを増すことがありますが、

それは血中コレステロールの1つ「LDL(悪玉)コレステロール」が上昇した場合です。

血中コレステロールはLDLとHDL(善玉)コレステロールの総量として表されるのですが、

コーヒーが増やすコレステロールはHDLの方で、総量としてのコレステロールは増加しますが、

この点については全く問題ありません。

なぜなら、HDLは余分なコレステロールを回収し、動脈硬化のリスクを下げる作用を持っているからです。

以前は健康診断でも総コレステロールで動脈硬化のリスクを判定していましたが、

LDLとHDLの作用が明らかになってからは総コレステロールでの判定ではなく、

両者のバランスで行うようになっています。

ですから、

コーヒーを飲むとHDLコレステロールが増えるため、総コレステロールも増えるが、

動脈硬化のリスクは減少する

というのが正しい解釈です。

「血圧を下げる説」

コーヒーを飲むと体が冷える…と思っている人、多いですよね?

これは、東洋医学では南方の食べ物を“体を冷やす食べ物”に分類するため、

赤道付近で収穫されるコーヒーも同様に扱われていることが影響しているのかもしれません。

「体を冷やす=血行が悪い=血圧を上げる」といった認識が広まったのでしょう。

しかし、赤道付近と言ってもコーヒーは山地に生息するため、

平均気温20℃と気候的には熱帯とは言えませんから、この分類には強引な面があります。

さらに、科学的な根拠として、琉球大学で行われた実験を紹介しましょう。

これは、

カフェイン“入り”と“抜き”のコーヒーを飲むグループに分かれてそれぞれ1杯飲んでもらい、

その後、レーザドップラー流速計にて指先の血流を測定したところ、

カフェイン入りグループでは血流が30%増加していた。

というものです。

指先の血流増加は毛細血管の拡張作用によるもので、

これにより血管抵抗性が下がるので、血圧は低下しやすくなります。

一説にはこの効果は2時間ほど持続すると言われています。

さらに、カフェインには利尿作用があります。

高血圧の原因には、塩分の多い食事により血液中のナトリウムが増加することも上げられますが、

排尿によって体内のナトリウムを減少させることができます。

コーヒーの利尿作用によって、ナトリウムの排出を促進することができ、

血圧を下げるのに役立つわけですね。

 
また、コーヒーの香りや飲用シーンが持つリラックス効果によって、

副交感神経が刺激されることもわかっています。

副交感神経は交感神経と逆の働きを持ち、血管を拡張させて血圧を下げるように作用しますので、

こういった効果も血圧には関係しているわけですね。

さらに、コーヒーを飲むと空腹感が抑えられるとの報告もあり、

高血圧の大敵である肥満を改善することにも利用できそうです。

 
次に「クロロゲン酸類」にスポットを当ててみていきましょう。

強い抗酸化作用を持つクロロゲン酸類には、LDLコレステロールの酸化を防止することで、

これらが血管内に沈着することによる動脈硬化の発生を抑制する効果があることが報告されています。

さらに、花王㈱の研究によると、

クロロゲン酸類やその代謝産物には、

血管内皮細胞に由来する一酸化窒素を介した血管を弛緩させる作用があり、

それによって血管内皮機能改善の効果があることがわかった。

そのメカニズムは、

  • クロロゲン酸類自体の活性酸素を除去する作用
  • 血管内皮の一酸化窒素合成酵素を活性化する作用
  • 活性酸素生成酵素を阻害する作用

が確認されている。

というものです。

血圧は血管が緊張して細くなっていると上昇してしまいますね。

しかし、クロロゲン酸類を摂取することで血管拡張作用を持つ“一酸化窒素”が増加する条件が整い、

血管が緩んで血流が良くなれば血圧が低下するというわけです。

これは、血行が良くなると血管の細胞も活性化し、

血管壁にLDLコレステロールなどが沈着するのを防いだり、柔軟性を保ったりする血管内皮機能が改善され、

動脈硬化を起こしにくくなるからです。

前述の通り、動脈硬化は高血圧の大きな要因でもあるので、

これを防ぐことは高血圧の改善にもつながるといえます。

ただし、前項で触れたような阻害物質“HHQ”が焙煎されたコーヒーには含まれているため、

これらの効果が100%発揮されるかは難しいかもしれませんね。

一つの結論として

ここで紹介したデータや見解は学術発表されたものばかりなので、

現在の科学技術においてはどれも真実といえます。

しかし、専門家の結論が1つにまとまらないのには、どの食品成分にも言えることですが、

  • 食べ合わせや食習慣、生活習慣の影響を考慮しきれないこと。
  • 各種成分に対する感受性には個人差が大きいこと。

が挙げられます。

加工した豆の抽出物であるコーヒーには、300種類もの成分が含まれていると言われています。

これらの含有量をすべて均一にすることは不可能ですし、

体内で代謝するときに働く酵素の量は人によって差がありますから、

他の食品以上に「体によい・悪い」を複雑にする要因がコーヒーには多いのではないでしょうか?

 
コーヒーは医薬品ではなく、あくまで嗜好品の1つです。

コーヒーに血圧を上昇させる作用があることは明らかですが、

血流改善やりリラックス作用によって血圧を下げる効果はこれを上回っていると捉えることもできます

コーヒーが苦手な人が頑張って飲む必要はありませんが、

コーヒーが好きな人なら飲むだけで血圧の改善が期待できるわけですから、

神経質にならず適度に飲み続けることをおすすめします。

国立循環器病研究センターでも悪影響よりも改善が期待できるとして、

コーヒーの飲用制限を勧める記述はありません

もちろん、飲み過ぎは厳禁ですが、

リラックスタイムや食後の一服として上手に利用していくのが良いと思います。

 

脳血管障害への効果

血圧改善に関してははっきりしない面が多いのは上記の通りですが、

高血圧から発症しやすい「脳血管障害」に対してはコーヒーの予防効果が認められる

というデータが数多く揃っています。

以前は「脳卒中」とも呼ばれた脳血管障害は、

血圧の大きな変動、高血圧や糖尿病などの患者に多発する「動脈硬化」、

それによって生じやすくなる「血栓」などによって、

脳内で出血が生じたり、血管が詰まって酸素や栄養が届けられなくなったりする病気の総称で、

部位や症状により、

脳出血 ~ 脳内出血およびクモ膜下出血
脳梗塞 ~ 脳血栓および脳塞栓 

に分類されます。

このうち、特に発症率の高い脳梗塞においてコーヒーの予防効果が高いことが報告されており、

全日本コーヒー協会によると、

コーヒーを「飲まない」グループを基準にすると、

コーヒーを飲む頻度によって脳梗塞になるリスクの低下率は「週1~2回」が13%、

「週3~6回」が17%、「毎日1杯」が22%、「毎日2杯以上」が20%であることがわかった。

ということです。

しかし、過去には、

1日に7杯以上のコーヒー摂取は脳卒中との関連性が見られない

という報告もあるそうです。

これらのデータから推測すると、コーヒーをたくさん飲めば良いというわけではなく

「毎日1杯程度のコーヒー」が脳梗塞のリスクを下げるのに良いということになりますね。

この理由として強力な抗酸化作用を持つ「クロロゲン酸類」が関与していると見られていますが、

何よりもコーヒーのもつリラックス作用が効果的だという意見もあります。

ちなみに、脳出血に対してもコーヒーを「毎日1杯」または「毎日2杯以上」飲む人では

リスクが20%程度低くなるという結果が出ているのですが、

スウェーデンで行われた研究では

女性の脳梗塞に効果は見られても、脳出血には影響なし」という結果が出ているそうです。

 
コーヒーのどの成分が有効なのかは断定できませんが、

多くの先行研究やコホート研究(特定の集団における一種の追跡調査)から、

 
(女性にとっては)少なくとも毎日1杯のコーヒー

脳血管障害(特に脳梗塞)のリスクを下げる
 

ということは現段階で否定できないということです。

血圧が高ければ高いほど脳血管障害を発症するリスクが高いことは統計的に明らかですし、

死亡率が高く、助かっても後遺症に悩まされることが多いのがこの病気の特徴です。

これを回避できるコーヒーの可能性を侮ることはできませんね。

ぜひ、毎日1杯のコーヒーを楽しみ、リラックスするひとときを持つようにしましょう。

 

気を付けたい点

血圧を改善する効果が期待できるコーヒーですが、間違った摂り方をしては逆効果ですね。

ここでは注意したい点について触れていきましょう。

カロリーに気を付けよう

一番注意したいのが、この点です。

「コーヒーは好きだけれど苦さが気になる」という人は、たいてい砂糖とミルクを入れて飲んでいます。

また、人気の「ラテ」などにはクリームが大量にトッピングされたものもありますね。

砂糖やミルクを入れたからといって成分が変化することはほとんどありませんが、

気になるのはこれらが持つカロリー(エネルギー)です。

コーヒーミルクやクリームは脂肪分が高く、砂糖は糖質の塊ですから、

これらを入れすぎると、せっかく0kcalのコーヒーを肥満の元にしてしまう可能性があります。

肥満はそれ自体が血圧を上げる要因になってしまうので、気を付けなければなりません。

砂糖は抜くかダイエットシュガーにし、ミルクやクリームは少量もしくは牛乳に変えましょう。

また、冷たいものは甘みを感じにくいので、ついつい砂糖の使用量が多くなってしまいます

アイスコーヒーを飲むときは特に気を付けてくださいね。

 
一方で、コーヒーを間食と一緒に楽しむ人もいると思います。

特にスイーツは苦みのあるコーヒーと相性が良く、欠かせないという女性も多いでしょう。

しかし、コーヒーをブラックで飲んでいても、

一緒に食べる物が高カロリーだと肥満につながることになりますね。

コーヒーの効果を得るためには、コーヒー以外の食品にも気を配るようにしましょう。

血圧上昇作用が気になってしまう

コーヒーに含まれるカフェインには、少しですが血圧上昇作用が確認されています。

いくらコーヒーの血圧改善や脳血管障害のリスク軽減効果があると言われても、

不安を抱えながらコーヒーを飲んでは逆効果ですね。

どうしても気になるという人は、カフェインレスのコーヒーを選んで飲むと良いでしょう。

最近では本格派のドリップタイプも手軽なレギュラータイプも豊富に揃っていますから、

お気に入りのコーヒーを探してみてくださいね。

妊娠・授乳中は避けるべき?

多くの女性が認識している「コーヒーは赤ちゃんに良くない」という情報。

しかし、コーヒーの世界的メーカー「ネスレ」によると、

「コーヒーの飲用による、妊産婦や胎児への影響を示す信頼に足る研究結果は報告されていない

とのことなんです。

コーヒーが好きなのに飲みたいのを我慢する方が、

心身ともにストレスが溜まってしまう方が弊害がありそうですね。

適正量の飲用であればそれほど神経質になることはない」とのことなので、

健康効果が期待できる「1日1杯程度」なら、いつも通りに飲んでも問題ないといえるでしょう。

それでも“万が一”を考えてしまうのが、プレママやママの心理というものです。

気になる人は前述の「カフェインレスコーヒー」を選んでくださいね。

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