高血圧・動脈硬化

息切れは高血圧悪化のサインかも?

階段、坂道、長めの歩行…今まで問題なかったのに、息苦しさを感じるようになった…

ということはありませんか?

ついつい「年齢のせいかな」と思いがちですが、実は高血圧が原因の「息切れ」かもしれません。

放置すると重病になる危険なサイン”の場合もあるのです。

ここでは、息切れを起こす原因と高血圧との関係、考えられる合併症改善の方法について紹介しています。

 

息切れの原因

一般的には「ゼェゼェ」「ハァハァ」といった息苦しさを伴う状態を「息切れ」と呼んでいますね。

医学的には“呼吸困難”という用語を用い、日本薬学会では

「呼吸するという生理的運動に、苦しさや努力を要する状態」と定義していますが、

ここでは馴染みのある「息切れ」という用語を用いて説明していきましょう。

走るなどの運動の後はもちろん、重い風邪や呼吸器疾患などで咳き込んだ場合にも、

息が切れることはよくあります。

息切れとはこのような呼吸がしにくい状態を指しますが、では、そもそも“呼吸”とは何でしょうか?

 
厳密にいうと、呼吸には体外から酸素を取り入れる「外呼吸」と、

細胞の中で酸素を消費する「内呼吸」に分類することができます。

日常会話で交わされる“呼吸”とは外呼吸を指しているわけですが、

ここでは単に“呼吸”と表現することにしますね。

さて、呼吸とは、人間の場合は肺を膨らませて外気を取り込み、

体内で発生した二酸化炭素を放出する“ガス交換(換気)”を行うことです。

ガス交換は、肺にある「肺胞」と呼ばれる組織に張り巡らされた毛細血管を介して行われています。

体に必要な酸素は、血液の成分である赤血球のヘモグロビンと結びつき、

心臓のポンプ機能によって全身の細胞に供給されるのです。

各細胞では内呼吸によって酸素を消費し、エネルギーを生成しています。

このエネルギーは生命活動の源ともいえる物質で「ATP」と言いますが、

これを消費することによって私たちの体は活動できるのです。

呼吸によって酸素を取り込む目的は、エネルギーを生成することにあったわけですね。

しかし、運動などをするとATPがたくさん必要なので、体では大量の酸素が消費されることになります。

すると、酸素が欠乏した状態になるので、

呼吸によって多くの酸素を血液中に取り込む必要が出てくるわけです。

これをコントロールしているのが脳幹の下部「延髄」にある呼吸中枢で、

酸素や二酸化炭素の濃度を感知する化学受容器(大動脈小体と頚動脈小体)の情報によって

呼吸の調節をしています。

私たちが無意識に呼吸を行ったり、運動などで消費量が増すと自然に呼吸が早くなったりするのは、

このメカニズムがあるからなんですね。

 
では、息切れとは何でしょうか?

何らかの理由によって血液中の酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇すると、

呼吸中枢が刺激され、速く呼吸をするように指示が出ます。

呼吸を早めた結果、これらの濃度が正常になり、全身へ供給できれば呼吸のスピードも元に戻るわけです。

しかし、正常にならないともっと呼吸を早めて換気を促そうとします

このように呼吸をせわしなく行い、きつくなった状態が「息切れ」です。

息切れが起こるのは肺ですが、原因は肺や気管などの呼吸器とは限りません

中には血液や血管、心臓に原因がある場合もあるのです。

 

高血圧との関係

では、息切れの原因が呼吸器そのものでなく、循環器によって引き起こされるとはどういうことでしょうか?

考えられるのは、換気に必要な量の血液が肺に巡ってこなかったり、

一方通行であるはずの血流がどこかで滞ってしまったりするケースです。

この場合、呼吸を速めても血管や心臓に問題があれば換気に必要な血液を肺に供給できませんから、

息切れが起きてしまうというわけです。

そして、この血液の循環の異常に、高血圧が関わってくるのです。

これには、

  1. 動脈硬化による肺循環への血流不足
  2. 心臓への負荷による心疾患

があります。

もう少し詳しく見ていきましょう。

動脈硬化による肺循環への血流不足

高血圧は血管内の圧力が慢性的に高い状態を指します。

つまり、長期間、血管が高い圧力にさらされることで、脆くなってしまうのです。

そこに傷ができたりすると、血液中のコレステロールや赤血球がその部分に沈着してしまうので、

これを取り除くためにマクロファージ(白血球)が集まってきます。

しかし、この一部も沈着してしまうため、血管の内側はこれらの沈着物によって狭まり、硬くなります。

この状態を「動脈硬化」といいますが、

血管が細く柔軟性を失っているので、血液がスムーズに流れにくくなってしまうのです。

また、沈着した赤血球により生じた固まりを「血栓」といいます。

血栓は簡単に言うと“かさぶた”のようなもので、

高血圧などにより血管壁の細胞が傷ついた際などに生じます。

これが分厚くなれば動脈硬化のように血管を狭めることになり、血圧が余計に高くなります

さらに、血栓は剥がれ落ちて血液とともに流れていき、

毛細血管などに詰まってしまうことがあるので、脳梗塞や心筋梗塞などの原因になることがあります。

 
もしも、肺へと向かう血管の途中で動脈硬化や血栓が生じていたら、どうなるでしょう?

前述の通り、肺は毛細血管を張り巡らせて表面積を増やし、

少しでも多くの血液と酸素を触れ合わせてガス交換の効率を上げようとしています。

しかし、これらが生じているということは、

水道の蛇口から出る水の量が細くなっているのと同じ状態ですから、

一定時間に肺を通過する血液量は減少するので、酸素と触れ合える量は少なくなってしまいますね。

肺には呼吸によって新鮮な空気が取り込まれているのに、血液の供給が十分でないため、

空気を取り込めていない(あるいは足りない)と勘違いして、

息切れが起こるほどに呼吸回数を増やしてしまうのです。

心臓への負荷による心疾患

息切れが起こる循環器系の障害で多いのは、心臓の疾患によるものです。

しかし、この背景に高血圧があることも少なくありません。

なぜなら、前項で説明したように、血圧が高い状態が続くと動脈硬化や血栓が生じている可能性が高く、

血液が通りにくくなり、結果的に心臓の疲労につながってしまうからです。

それでは、高血圧によって発症する心臓の疾患で「息切れ」が起こるものを紹介しましょう。

心肥大

高血圧ということは、心臓から送り出された血液が高い圧力で血管壁に押し戻されているということです。

ですから、心臓はこの高い血圧に負けないように強い力で血液を押し出し、全身に供給しようと頑張ります

いわば、心臓を構成する“心筋”が筋トレをしているような状態です。

ところが、これが長く続くと、心筋がボリュームアップしてしまい、「心肥大」になってしまうのです。

通常の心臓は握りこぶし1個分の大きさですが、心肥大では約2倍にもなるそうですよ。

高血圧が原因となる心肥大では、血液を受け入れるために心筋が心臓を広げようとするとき(拡張期)に、

しなやかさが失われているため、十分に広がれない状態が多く見られます(拡張機能不全型心不全)。

こうなると、肺から心臓へ送られにくくなるため、血液が肺に滞る(うっ帯)ようになります。

これでは血液とのガス交換が十分に行えませんね。

そのために息切れを起こしやすくなるのです。

狭心症・心筋梗塞

動脈硬化によって心臓に血液を供給する冠動脈が細くなっていると、

心臓が栄養を十分に受け取れなくなる狭心症」を発症します。

さらに、ここに血栓が詰まって閉塞してしまうと、

その部分にある心筋細胞が死んでしまう「心筋梗塞」を発症します。

心筋梗塞は急性である場合が多いので突然起こりますが、

その前段階ともいえる狭心症では心機能が低下しているため、

血液循環に影響し、肺でのガス交換などにも影響が現れるようになります。

その結果、少しの運動でも息切れや動悸などが見られるようになり、

放置すると狭心痛と呼ばれる発作を起こします。

弁膜症

心臓は左右に心房・心室と呼ばれる4つの部屋に分かれています。

心房は心臓に戻ってきた血液を受け入れる部屋、心室は全身へと血液を送り出す部屋です。

ですから血液は心房に入ってから心室へと送られ、動脈を通って心臓から出ていきます。

このとき、心臓の中で血液が滞留したり逆流したりしないように、

心房と心室の間や動脈への入り口には“弁”が設けられています。

しかし、この弁が動脈硬化などによって硬化し、狭窄や閉鎖不全を起こすことがあります(弁膜症)。

こうなると、心臓で血液の逆流や停滞が起こり、循環がスムーズに行えなくなるため、

心臓は強い力で血液を送り出そうとして大きな負担がかかることになるのです。

これによって心機能が低下した状態になると、肺でのガス交換が十分に行いにくくなるため、

息切れや動悸が起こりやすくなります

 

息切れの原因のチェック方法

前項では高血圧が原因となって息切れが起こるメカニズムを紹介してきましたが、

呼吸困難である以上、肺が原因となっている可能性も考えられますよね。

ここでは、肺と心臓のどちらに息切れの原因があるのかを見極める方法を紹介します。

【チェック方法】

  1. 15秒間の呼吸の回数を数え、これを4倍にしたものと、5倍にしたものを計算しておきます。
  2. 今度は15秒間の脈拍を測ります。
  3. 算出した「呼吸数の4倍」「5倍」の数値と、「脈拍数」を小さい順に並べたとき、どの場所に脈拍数が位置するかで次のように判定します。
【判定】
 
脈拍数<呼吸数の4倍 : 肺に問題がある可能性あり
呼吸数の4倍脈拍数<呼吸数の5倍 : 正常
呼吸数の5倍脈拍数 : 心臓に問題がある可能性あり

※ 確実な診断には医療機関を受診してください。

改善の方法

息切れが起きているということは、長年の高血圧によって血管がダメージをうけ、

心臓に大きな負担をかけている証拠でもあります。

高血圧が進行した状態ですから、息切れに気づいたら早々に医療機関を受診して症状を伝え、

心機能の低下が深刻にならないうちに治療を開始しましょう。

しかし、高血圧が改善しなければ血管や心臓への負荷を軽減することはできません

治療と並行して、今までの生活を見直していくことも重要です。

次の点に注意して、高血圧を改善し、息切れしない体に戻してあげましょう。

タバコを止めよう

タバコは“百害あって一利なし”と言いますが、特に高血圧の人には良くありません。

タバコには200種類以上の有害物質が含まれていますが、

中でも「ニコチン」は交感神経に作用して血圧を上げることで

動脈硬化を進行させてしまうのです。

この作用は15分程度持続すると言われていますが、タバコの本数が多ければ作用時間も延びるため、

リスクが増すことになりますね。

動脈硬化が進行すれば、息切れを起こす心疾患を発症・悪化させることにつながるわけです。

 
また、タバコには「一酸化炭素」も含まれています。

肺でのガス交換は赤血球中のヘモグロビンが酸素と結びつくことで行われますが、

一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、必要な酸素を血液中に取り込むことができず、

体は酸欠になってしまいます。

より息切れが生じやすくなるわけですね。

一方で酸欠となった体では、血液循環を促進させることでこれをカバーしようとして、

心臓が高い圧力をかけて血液を送り出します。

その結果、心臓にも、高い血圧を受ける血管にも、大きな負担をかけてしまうのです。

 
タバコ1本で上がる血圧はおよそ10~20mmHgと言われていますので、

もともと高血圧の人には想像以上に危険な状態になるということも覚えておきましょう。

ダイエットしよう

当然のことですが、体重が増えれば体積も増えます。

酸素の消費量も増加するということですね。

少し体を動かしただけでも息切れしやすくなるのは当然のことなのです。

一方で、血液量も増えていますから、心臓の負担も大きいので高血圧になりやすく、

動脈硬化も生じやすい状態です。

肺でのガス交換にも影響が出てくるというわけですね。

したがって、ダイエットをして血液循環を良好にし、

ガス交換の効率を上げ、余計な酸素の消費を抑えてあげれば、息切れも改善できます。

 
まずは暴飲暴食を控え、適量を決まった時間に食べるようにしましょう。

体脂肪に変わりやすい糖質の摂取を控え、タンパク質や食物繊維の豊富な食事をすると、

お腹いっぱい食べても太りにくくなります。

お酒(アルコール)も糖質ですので、控えるようにしてください。

特に、女性好みの甘いカクテルやサワー類は、

アルコールに加えて糖分も入っているので糖質たっぷりの太りやすいお酒です。

気をつけてくださいね。

運動をしよう

運動はダイエットの効果もありますが、

筋肉が伸び縮みを繰り返すことで血液循環を良くする働きがあります。

肥満でなくても高血圧の改善に効果があるので、息切れの改善にもつながります

特に、通常の呼吸に近い状態で行える有酸素運動は、体に酸素を取り込みながら行えるので適しています。

ウォーキング、自転車などのほか、最近話題のラジオ体操もおすすめの運動法です。

運動を続けていると、息切れしにくくなっていくことが実感できますよ。

ただし、既に心臓疾患や他の合併症で通院している人は、

運動の実施や強度について主治医に確認の上、行うようにしましょう。

また、運動中に辛いほどの息切れになるようでしたら、

運動の強度を下げて負担のない範囲に留めるようにしましょう。

いつもと同じ運動をしていても息切れなどが酷い場合は中止し、医療機関を受診することをおすすめします。

関連記事

  1. 高血圧・動脈硬化

    もはや常識!?牛乳が高血圧を改善する!

    「牛乳」というと、健康的だけれど「太りそう」なイメージってあり…

  2. 高血圧・動脈硬化

    運動で高血圧を改善する効果的な方法

    高血圧の治療には、「降圧剤」などと併せて「生活習慣(食事・運動…

  3. 高血圧・動脈硬化

    新常識!?高血圧と塩分の正しい関係とは?

    「塩分は控えめに」は、多くの人が知っている健康法の1つですね。…

  4. 高血圧・動脈硬化

    肩こりの怖い原因〝高血圧”との関係について

    同じ姿勢をとり続けると、すぐに肩が痛み出す…という人も少なくな…

  5. 高血圧・動脈硬化

    高血圧の予防・改善はカリウムで!

    高血圧になると必ずと言っていいほど医師から勧められる「減塩」。…

  6. 高血圧・動脈硬化

    徹底解説!コーヒーは血圧を上げる?下げる?

    今や街中に溢れるコーヒーショップは、一息つきたいときに欠かせな…

高血圧の記事一覧

最近の記事

  1. 高血圧・動脈硬化

    運動で高血圧を改善する効果的な方法
  2. 高血圧・動脈硬化

    息切れは高血圧悪化のサインかも?
  3. 更年期障害

    更年期障害に漢方薬は効果ある?
  4. 老眼

    老眼鏡をかけると疲れる原因とは?
  5. 高血圧・動脈硬化

    要注意!高血圧の薬とグレープフルーツの相性
PAGE TOP