高血圧・動脈硬化

その食事が危ない⁉血圧に悪い食事とは?

高血圧に悪い食事

生きていくために欠かせない食事も、グルメな現代人にとっては趣味の延長。

たとえ食に興味がなくても、美味しいものを食べれば幸せな気分になりますよね。

でも、心は満足しても体には危険という食事が、高血圧の人にとってはたくさんあるのです。

ここでは、高血圧の人が注意すべき“血圧に悪い食事”について解説した上で、

どうしても食べたいときのリスク軽減法もあわせて紹介しています。

 

血圧を上げる原因

ほとんどの高血圧の患者は、治療を受けているといっても血圧を下げる薬(降圧剤)を飲んでいるだけで、

高血圧を“治す”薬や治療を受けているわけではありませんね。

これは、他の疾患や薬の副作用よって高血圧を発症する「二次性高血圧」の場合を除き、

なぜ高血圧になるのかの根本的なメカニズムが解明されていないため、治療法も確立できていないからです。

この原因不明な高血圧を「本態性高血圧」といい、日本人の高血圧患者の85~90%を占めています。

本態性高血圧の要因は、以前は「遺伝(体質)」と「生活習慣」が半々と考えられていましたが、

最近の研究では「生活習慣」の方が血圧を上げる影響力が大きいと言われています。

そのため、根本的な治療法はないものの、降圧剤を使用して血圧をコントロールしつつ、

生活習慣を改善していくという方針がスタンダードになっています。

そして、生活習慣の中でも重要とされているのが「食生活」と「運動」です。

特に食事は体とエネルギーを作り出す毎日欠かさない行為ですが、

現代人のライフスタイルの中で乱れがちなものでもあります。

しかも、気づかぬうちに高血圧にとって良くない食事を摂っていることも少なくありません。

まずは、どのような成分がどんなふうに高血圧に悪い影響をもたらしているのかを知っておきましょう。

食事による高血圧への悪影響には、主に次の3つがあります

  • 塩分による血液量の増加
  • 動脈硬化の促進
  • 肥満による心臓への負担
  • それでは詳しく見ていきましょう。

    塩分による血液量の増加

    塩分に含まれる「ナトリウム」には体液の量を調節する働きがあります。

    体液とは血液やリンパ液、血管の外の細胞間を満たす組織液、および体腔内の体腔液などを指しますが、

    中でも全身を巡って酸素や栄養素を供給し、老廃物を運び出す血液は重要です。

    簡単に表現すると、この体液の量はナトリウムなどのイオン濃度によって決まります

    濃度を一定に保つためには、ナトリウムまたは水分の量で調節する必要がありますね。

    例えば、しょっぱいものを食べた後、喉が渇いた経験は誰もが持っているでしょう。

    これは、食事によって体液中のナトリウム濃度が高くなってしまったため、

    濃度を適正に保とうとして水で薄めようとする生理現象なんです。

    特に血液は消化管で吸収された成分が早期にたどり着くところなどで、

    ナトリウム濃度が変化しやすい傾向にあります。

    そこで、水を飲んでナトリウムの濃度を下げることになりますが、

    その反面、摂った水の量だけ体積が増えてしまうことになりますよね。

    実は、これが血圧を上げる要因になっているのです。

    なぜなら、血液量が増えても、その入れ物である血管の容積は変わりませんから、

    満員電車のようにパンパンになりますよね。

    すると、血液が“血管を押す力”が大きくなる…つまり血圧が高まることになるのです。

    こうなると血液が流れにくくなりますから、心臓は頑張って高い圧力で血液を送り出そうとします。

    しかも、血液の量が増加するということは、

    これを送り出す心臓を余計に働かせることにもなってしまいます。

    この結果、心臓に負担を掛け、血圧が上がりやすくなる悪循環に陥ってしまうのです。

    動脈硬化の促進

    健康であれば血液はサラサラですし、血管も弾力に富み、

    構成する細胞の分泌物によって守られていますので、血流が滞ることはありません。

    しかし、動脈硬化になると血液が流れにくくなるため、血圧が上がってしまいます

    そして、この動脈硬化を発生させる要因に食生活が深く関係しているのです。

     
    動脈硬化とは、血管の内側に付着した物質によって血管壁が厚く硬くなり、

    内径が細くなった状態を指します。

    加齢により生じるものではありますが、

    それ以上に動脈硬化を進行させる“危険因子”がいくつか特定されていて、

    その中でも特に問題視されるのが、LDL(悪玉)コレステロールです。

     
    コレステロールとは細胞の膜やホルモンを構成する重要な成分で、

    私たちの体にとって必要な脂質の一種です。

    比重によって分類されており、

    小さなLDLコレステロールは血液を介してコレステロールを細胞に届ける働き、

    大きなHDLコレステロールは余分なコレステロールを回収する働きをしています。

    実は、血液の流れ方は川と同じで、カーブがあるとその内側に小石が堆積していくように、

    血管でもカーブの内側は比重の小さいLDLコレステロールのような物質が堆積しやすくなっています。

    このため、ゆっくりとですが加齢によっても動脈硬化が進行していくわけですね。

    しかし、LDLコレステロールが増えると、さらに血管内に堆積しやすい状態になります。

    加えて、LDLコレステロールが血管壁を傷つけ、その中に入り込んでしまうことがあります。

    血管壁に入り込んだLDLコレステロールは体にとって異物なので、

    免疫細胞であるマクロファージが取り除こうとして集まってきます。

    そして、マクロファージは自分の中にLDLコレステロールを取り込み、その部位に沈着していきます。

    そのため、血管の内径は狭まり、血管は硬くなってしまうのです。

     
    このように血管が細くなると、血流はどうなるでしょうか?

    例えば、水の出ているホースの先をつまむと、

    出てくる水の量は少なくなりますが、勢いは強くなりますよね。

    これはホースを狭めることで水圧が高くなっているからです。

    動脈硬化がおきると同じことが血管内でも起こり、血圧が上がってしまうことになるんですね。

    肥満による影響

    近年、高血圧の原因として注目されているのが「肥満」です。

    東京都病院経営本部によると、肥満は高血圧の大きな危険因子であることが明らかになっており、

    特に、内臓脂肪型肥満は血圧上昇と関連が深く、減量すると血圧が下がるという報告があるそうです。

    実は、肥満の人に発達している“脂肪細胞”から分泌されるレプチン」という物質に、

    交感神経を刺激して血圧を上げる作用が認められており、

    これが高血圧患者では明らかに増加していることが確認された、

    と日本内科学会誌に掲載されています(平成23年4月)。

    また、心臓から送られる血液の量は体重に比例して増加するため、

    大量の血液を体の隅々へ届けようとして、高い圧力をかけて送り出すことにもなるのです。

    肥満が高血圧の原因を作り出しているわけですね。

     
    では、なぜ肥満になるのでしょう?

    もちろん食べ過ぎれば肥満になりますから、摂取カロリーに気をつけることも大切です。

    特に脂質を多く含んだ食材はカロリーも高いので、気をつけたい成分ですね。

    しかし、近年、肥満の原因として注目されているのは「糖質」です。

    特に高血圧にスポットを当てた場合、糖質には血圧を上げる2つの大きな要因があるのです。

    1つは「中性脂肪に変わりやすいこと」、もう1つは「インスリンを分泌させてしまうこと」です。

    この点について解説していきましょう。

    中性脂肪に変わりやすい

    肥満は体に脂肪がつくことなので、

    以前は同じ成分である脂質を含む食品が太りやすいと考えられていました。

    もちろん、脂質は高エネルギーなので太りやすい物質であることに変わりはありません。

    しかし、内臓脂肪や皮下脂肪のもとになる“中性脂肪”に変化しやすいのは「糖質」であるとして、

    摂取エネルギーだけでなく糖質の量にも注意することが、近年、推奨されているのです。

     
    私たちの体は、食べ物を分解してできるブドウ糖をエネルギー源として利用し、

    余った分は万が一の飢餓状態に備えて中性脂肪として蓄えるというシステムを基本にしています。

    栄養素の1つ「タンパク質」もブドウ糖に変換されることがありますが、アミノ酸を経てからのことなので、

    代謝に時間がかかる上にアミノ酸としてそのまま利用されることが多いため、

    中性脂肪まで辿り着きにくいのです。

    その点、糖質は少し分解しただけでブドウ糖を作ることができるので、

    ブドウ糖を作り過ぎやすい栄養素です。

    特に農耕民族として生きてきた日本人は糖質中心の食生活を送ってきており、

    遺伝的に糖質から脂肪を作り出して溜めこみやすい体になっています。

    摂取カロリーだけでなく、糖質の量にも気をつけて食事するようにしましょう。

    インスリンを分泌させる

    糖質が消化されてブドウ糖になると、「血糖」となって血液と共に体を回り、全身に供給されます。

    しかし、過剰に供給されるとブドウ糖が体に悪影響を与えることがあるので、

    血糖を一定に保つため「インシュリン」というホルモンを分泌して

    ブドウ糖をグリコーゲンという貯蔵用の物質に変えることで、血糖値を下げていきます

    しかし、過食や肥満などによって常に血糖値が高い状態が続いていると、

    体がインスリンに対する抵抗性を持つようになってしまいます(インスリン抵抗性)。

    こうなるとインスリンが分泌されているにも関わらず血糖値が下がらないので、

    体はインスリンが不足しているのだと勘違いして、さらに分泌量を増やしていきます

    ところが、インスリンには交感神経を刺激し、腎臓でのナトリウム排出作用を抑制する働きがあります。

    加えてブドウ糖の濃度も高い状態ですから、

    血液を薄めようとしてさらに水分を引き留めるため血液量が増え、血圧を上げてしまうのです。

    さらに、インスリンには血管壁の細胞の成長を促進する作用もあるため、血管が広がりにくくなります。

    ブドウ糖とナトリウムの増加によって血液量は増えているのに、

    柔軟性を失うことで、より血圧が上がりやすくなってしまうのです。

     

    血圧に悪い食べ物

    このように、「塩分」「コレステロール」「糖質」は血液量を増やしたり、血管を塞ぎやすくしたりし、

    肥満になることでホルモンのバランスを乱したり、心臓に負担を掛けたりして、

    結果的に“血圧を上げる”という現象を引き起こします。

    しかし、これらの栄養素は私たちの生活にありふれたものばかりです。

    知らず知らずのうちに、積極的に摂取していたかもしれませんね。

    そこで大切なのは、高血圧に悪い栄養素を多く含んだ食事が何かを知り、できるだけ節制することです。

    ここで紹介する食品には注意して、食べ過ぎないように心掛けていきましょう。

    塩分を多く含む食事

    塩分を多く含む代表的な食事とその量は、1食あたり次のようになっています。

     

    《塩分を多く含む食事と塩分量の目安》
    メニュー塩分量(1食あたり)   
    ラーメン・うどん 5~6g
    カツ丼・牛丼 4~5g
    焼きそば・スパゲティ 4~5g
    ハンバーガー・ピザ 2~3g
    スープ類・みそ汁 約2g

    日本高血圧学会では、高血圧の人に対して1日6g未満の減塩を推奨していますから、

    これらの食事は1食でかなり多くの塩分を摂ってしまうことがわかりますね。

    自宅や外食でもよく食べるメニューですので、1日の組み合わせを考えると良いでしょう。

    また、加工食品は塩分の含有量が多い傾向にあります。

    漬物や干物などはわかりやすいですが、練製品も塩分が多く、例えば焼ちくわ一本で2gもあります。

    他にもハムやソーセージ、カップラーメンやインスタントラーメンは多く、

    女性が好む“生ハム”などは2枚食べただけで1~2gも摂取してしまう商品もあるので、気をつけましょう。

    コレステロールを含む(上げる)食事

    血液中のLDLコレステロール量は、食事から摂取したコレステロールや飽和脂肪酸の影響を大きく受けます

    コレステロールは鶏卵・魚卵(イクラ、タラコなど)に、

    飽和脂肪酸は魚以外の動物性脂肪(肉の脂身、乳脂肪など)に多く含まれます。

    また、特に加工食品には多く含まれているので注意してください。

    中でもカップラーメンやインスタントラーメンは多く、

    ショートニングやマーガリンを原料に使ったものも高くなりがちです。

    菓子パンなども摂り過ぎないように気をつけましょう。

    さらに、食事ではないですが、スイーツ好きの女性ならバター・生クリーム

    お酒好きならつまみのチーズ類も食べ過ぎには気をつけましょう。

    スナック菓子も飽和脂肪酸を多量に含んでいますので、できるだけ控えましょう。

    糖質を多く含む食事

    糖質は主食である白米やパスタ・うどんなどの麺類

    デンプン質のジャガイモなどのイモ類に多く含まれているので、注意が必要です。

    また、カロリーオフが表示されていないジュース類やお菓子には糖質である砂糖が多く含まれていますし、

    自然な甘さであっても果物にも多量の糖分が含まれています。

    アルコール類も糖質ですから、油っこいおつまみの摂取と共に気をつけましょう。

     

    それでも食べたいときの対策

    前項で上げた食事や食材は、どれも美味しく感じやすいものばかりですね。

    このようなしっかりした味付けの食品や甘い物

    こってりしたものが大好きという人も少なくないことでしょう。

    長年の食習慣の結果、身についてしまった嗜好性と体脂肪は、一朝一夕では解決しにくいものです。

    ですから、その改善には“積み重ね”が必要ということを理解することが第一です。

    …とはいっても、好きな物を食べる幸せを失うのは辛いですよね。

    そこで、どうしても食べたいときに高血圧への悪影響を少しでも軽減する方法を紹介しておきましょう。

    次の点に気を付けながら、食生活を改善してくださいね。

    塩分

    • 汁物(みそ汁・スープなど)は半分以下にするか毎日飲む習慣を止めましょう
    • 麺類を食べるときは汁を残しましょう
      なお、麺自体にも食塩が含まれており、うどんやパスタでは1食1g程度になります。
    • 調理するときは事前に味付けをするのでなく、表面にまぶすと味を強く感じることができ、少量で済みます。醤油なども「かける」のではなく「つける」ようにしましょう。
    • 酢・香辛料・薬味などで薄味を補いましょう。
    • ナトリウムの排出を促進するカリウムに富んだ食品(生野菜、海藻、豆類など)を一緒にたっぷり摂りましょう(腎疾患の人は不可)。

    コレステロール

    • コレステロール濃度を下げる不飽和脂肪酸を多く含む食品を一緒に摂りましょう。
      飽和脂肪酸(動物性脂肪)1に対して不飽和脂肪酸(植物性油や魚類の油)2の割合でとるのが望ましいとされています。
    • 肉類は脂身を残すか、焼く・蒸すなどの調理法で油を落としましょう

    糖質

    • 主食は量を少なめにし、できれば加工度の低いもの(白米でなく玄米、白パンでなく全粒粉パンなど)を選びましょう。
    • 甘い物が欲しいときはカロリーオフ表示のあるものを選びましょう。
    • 糖質の吸収を抑制できる食物繊維をたっぷり摂りましょう。
    • 夜間は体脂肪に変わりやすいので、日中の明るい時間帯を選んで食べましょう。

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