高血圧・動脈硬化

血圧を下げる飲み物はどうして効果があるの?

テレビCMや新聞、雑誌などの広告では、頻繁に“血圧を下げる”といった商品を見かけますね。

中でも“飲み物”は、

サプリメントのようにわざわざ飲まなくても喉が渇いたときに水分として摂取できるので、

最も抵抗なく利用できる血圧を下げる商品”ではないでしょうか。

でも、なぜ血圧を下げる効果があるのか、本当に下がるのか気になりますよね。

ここでは、「血圧を下げる飲み物」について、

その作用と効果を科学的なデータに基づいて解説し、商品の紹介をしていきます。

 

高血圧に効果のある成分と代表的な商品

高血圧に効くと言われる成分は色々ありますが、

“なぜ血圧が上がるのか”ということを理解しておくと、成分を選ぶときに役立ちますね。

そこで、「血圧が上がるメカニズムと主な要因」について、説明しておきましょう。

 
血圧とは“血管の内側にかかる圧力”のことで、

血液を送り出す力(心臓の拍動)」と「血液の流れやすさ(血管の状態)」で決まります。

このうち、前者には心機能の良し悪し、後者には血管の太さや柔軟さが関係しています。

血圧は、心臓や血管の状態と、神経やホルモンの刺激によってこれらを変化させることで、

日頃から上昇・下降を繰り返しているのです。

例えば、緊張すると交感神経が刺激されて鼓動が早くなり、血管も収縮して血圧が上がるという具合です。

運動やストレスなどでも同様に血圧が上昇しますが、

これらは一時的なもので、やがて正常値に戻っていきますね。

しかし、加齢や長年の生活習慣(肥満や塩分の過剰摂取、運動不足など)により、

血管にコレステロールが沈着して血管が狭く硬くなる動脈硬化」を起こしてしまうと、

常に血圧が高い状態になってしまいます。

さらに、動脈硬化によって血液が流れにくくなると、

心臓はより強い力で血液を送り出さなければならなくなり、余計に血圧が上がってしまうのです。

 
そこで、こういった“血圧を上げる要因”のいずれかの過程をブロックしたり拮抗させたりすることで、

血圧の上昇を抑制する成分が注目されています。

医薬品として用いられるものもありますが、

食品の範囲にある成分は、手軽に利用できる飲み物として販売されています。

ここでは、“血圧を下げる成分”として研究が進み、エビデンス(科学的証拠)のある

ゴマペプチド」「ラクトペプチド」「杜仲葉配糖体」の作用メカニズムと、

これを用いた商品について解説していきましょう。

ゴマペプチド

健康食品としても注目されるゴマ由来の有効成分が「ゴマペプチド」です。

ゴマペプチドとは、ゴマが持つタンパク質を酵素によって分解処理したもので、

アミノ酸がいくつかつながっています。

ゴマ由来といっても酵素処理しなければ得られないものなので、

ゴマを食べてもゴマペプチドを摂取することはできませんので、注意してくださいね。

サントリー㈱の研究所と日米の大学・機関において研究したところ、高血圧症のマウスを用いた実験で、

このゴマペプチドが血圧上昇に関与する“アンジオテンシン変換酵素(ACE)”を阻害することが

わかったのです(Bulletin of Osaka University of Pharmaceutical Sciences 1 ,2007)。

ACEは「塩分の摂り過ぎ」「運動不足」「ストレス」「肥満」「寝不足」などの要因によって、

血管を収縮させる物質を過剰に生成することで血液を流れにくくし、血圧を上昇させる酵素です。

同研究では、得られたゴマペプチドの中に主に7種のACE阻害ペプチドが関与していることが明らかにされ、

これらの作用によって血圧低下が顕著に見られたこと

連続投与によって血圧上昇が抑制されることが確認されたそうです。

 
高血圧の人は医師から降圧剤を処方されている人が多いと思いますが、

中には『カプトリル』『レニベース』『アデカット』などのACE阻害薬を服用している人も

いるかもしれませんね。

これらの降圧剤は医薬品ですが、ゴマペプチドの作用メカニズムも降圧薬と同様です。

そのため、これらの薬の副作用として知られている“空咳”が見られる可能性もゼロではありませんが、

ゴマペプチドはあくまでも食品なので、可能性としてはかなり低く、現在までに報告もないようです。

それでは、ゴマペプチド研究に取り組んでいるサントリー社の商品を紹介しましょう。

胡麻麦茶(サントリー)

血圧を下げる作用が確認された「ゴマペプチド」と大麦やはと麦・大豆をブレンドして、

香ばしい味わいに仕上げたのが『胡麻麦茶』です。

食用ゴマ約800粒から抽出されるのと同じ量の胡麻ペプチドが摂取できるそうですよ。

ゴマペプチドは、血圧高めの人に対する効果が認められ、「トクホ(後述)」として許可を得ています。

同社では、抽出したゴマペプチドだけでなく、

製品化した本品でも臨床試験を行っているので、そのデータを紹介しましょう。

血圧が高めの人(72名)を対象として試験したところ、1日1本(350ml)を毎日飲用することで、

4週間後には飲用前と比べて血圧の低下が認められ

12週間後には対照飲料と比べて血圧の低下を確認した。

この試験の終了に伴い、胡麻麦茶の飲用を中止したところ、

2週間後には試験前の血圧値に戻ることが確認された。

このことから、ゴマペプチドの降圧作用は摂取し続けなければ効果が得られないことがわかりますね。

食後のお茶や水分補給の機会を上手に利用して、毎日摂り続けるようにしましょう。

ラクトペプチド(ラクトトリペプチド:LTP)

ラクトペプチド」とは牛乳に含まれる乳タンパクを分解して得られる物質です。

このうち、“バリン”“プロリン”“イソロイシン”というアミノ酸の

いずれか3つが結合してできる「ラクトトリペプチド(LTP)」に血圧を下げる作用が確認されており、

  • VPP(バリン、プロリン、プロリ)
  • IPP(イソロイシン、プロリン、プロリン)

の2種類があります。

前項のゴマペプチドもペプチドの一種ですが、人為的に酵素処理されたというのに比べ、

LTPは乳酸菌『ラクトバチルス・ヘルベティカス』の発酵によって得られますので、

より天然に近い成分といえるでしょう。

 
では、「ラクトトリペプチド(LTP)」の血圧降下作用はどのようなメカニズムによるのでしょうか?

実はLTPを作り出す乳酸菌は、あの有名な『カルピス』を生み出す菌の1種です。

1992年にはLTPもACE阻害ペプチドであることが確認されていましたが、

さらにLTPには

「動脈硬化」の原因となる“血管の詰まり”や“硬さ”を改善する効果もあることがわかってきました。

動脈硬化は、血管の内壁に生じた傷などにLDLコレステロールが沈着し、

これを取り除こうとして集まってきた白血球が変性して溜まってしまうことで発症します。

この塊が血管を硬く狭くしてしまうために血液が流れにくくなり、血圧の上昇を招いてしまうのです。

これを改善する作用がLTPに見られたというわけですね。

同社研究所と東京医科歯科大学との共同研究により、

そのメカニズムが日本栄養・食糧学会で発表(2008年)されていますので、紹介しましょう。

血管に接着しやすく処理した単球(白血球の一種)と血管の内壁を用い、

実際の血流と同じ速さに調節して流し、血管壁への付着を観察した。

次に、LTPと一緒に24時間培養してから同じように接着しやすく処理した単球を流し、

同様に観察した。

その結果、血管壁への単球の接着数は、LTPと一緒に培養しないときと比べて有意に減少していた。

※ 本実験ではLTPのうちの1つ“VPP”が使用されています。

つまり、LTPには血管内壁に単球が付着するのを防ぎ、血管を詰まりにくくすることで、

動脈硬化を予防する効果があるということですね。

では、なぜLTPが存在すると単球が付着しにくくなるのでしょうか?

同研究では、単球内の情報伝達や接着に関わる酵素の活性をLTPが抑制することが確認されており、

この作用によって血管壁に付着しにくくなる可能性が示唆されています。

それでは、LTPが含まれる商品を紹介しましょう。

「カルピス酸乳/アミールS」

カルピス社が所有する独自の乳酸菌が発酵によって生み出す成分「LTP(ラクトトリペプチド)」は、

同社の『アミールS』に含まれており、

血圧が高めの人に適した食品として、1997年にトクホの許可を得ています。

LTPを飲料に用いた臨床試験が公表されていますので、紹介しましょう。

血圧が高めの人30名を、LTPを含む飲料を1日120㎖飲むグループと、

含まない飲料を飲むグループに分け、12週間の血圧変動を測定した。

その結果、LTPを摂らなかったグループに比べてLTPを摂ったグループでは、

最大血圧が10mmHg、最低血圧が5mmHg低くなったことが確認された。

このことから、『アミールS』が血圧降下作用を持つことは明らかですが、

LTPには動脈硬化を抑制する作用も確認されていますので、

高血圧の発症や悪化の予防にも効果が期待できそうですね。

なお、LTPは血圧が正常な人や軽度~中程度の高血圧の人が飲用しても安全性が確認されていますので、

動脈硬化が進行しやすい40代以降の人におすすめしたい成分です。

おまけに、乳性飲料はカロリーや脂肪分が気になるものも多いですが、

本品は脂肪分ゼロ、カロリー控えめとなっているのも嬉しいポイントです。

甘いドリンクが欲しいときに、代わりに飲みたい一本ですね。

杜仲葉配糖体(ゲニポシド酸、アスペルロシド)

植物には薬理作用を示す天然成分を含むものが多くあり、古くから薬として珍重されてきましたが、

科学が発達した現代ではその成分が特定され、医薬品として認められているものも少なくありません。

その1つに中国原産の「杜仲(とちゅう)」という木があります。

この葉には杜仲葉配糖体と呼ばれる物質が含まれていて、

主な成分として「ゲニポシド酸」「アスペルロシド」が知られています。

日本杜仲研究会によると、杜仲葉配糖体には血管内皮由来の血管弛緩因子を活性化し、

さらに、副交感神経に作用して平滑筋を弛緩させることで血流を促進し、

血圧を下げる効果が確認されており、

特にゲニポシド酸の高い効果が報告されています。

この働きは、他の血圧に良いとされるトクホ成分とは全く違った作用メカニズムですから、

他の成分では効きにくい人も試してみる価値がありそうですね。

また、杜仲葉配糖体には肥満を改善する効果もあります。

これに関与するのはアスペルロシドで、胆汁酸の分泌量を増やすことで脂肪の代謝を活発にし、

基礎代謝を高めることで内臓脂肪を減らすことができます。

高血圧の発症や悪化には肥満が深くかかわっているので、

肥満の改善は高血圧の改善にもつながると言えますね。

 
「ゲニポシド酸」も「アスペルロシド」も普段の食生活からは摂取できない成分であるため、

この葉を煎じたものが「杜仲茶」として利用されています。

杜仲茶としての効能は

日本杜仲研究会・定期大会において国内の企業・大学の研究者らにより発表されており、

脂質とコレステロールの高い食事をさせたラットに杜仲茶を飲ませ、

杜仲茶を飲まなかったラットと比較したところ、血液中の脂質もコレステロール値も大幅に減少
⇓ ⇓ ⇓
血液中の脂質や内臓脂肪を杜仲茶によって燃焼させ、メタボ予防のほか、

生活習慣病(高血圧など)のリスクを抑えることが期待できる

とされています。

他に、不要な水分や塩分を排出する働きもあるそうなので、

過剰な塩分摂取によって血液量が増加し血圧が高まるのを防ぐ効果も期待できます。

加えて、杜仲茶はノンカフェインなので、妊娠中でも安心して飲むことができますよ。

 
気になる摂取量ですが、同研究会によると、

杜仲茶葉6gを1日で飲みきれる量で煮出して飲用することが大切だそうです。

この場合、目安として、

  • ゲニポシド酸 85㎎
  • アスペルロシルド 30㎎

を摂取できるそうなので、参考にしてくださいね。

『小林製薬の杜仲茶』シリーズ

杜仲茶は一般の茶葉として広く販売されていますが、

ここでは詳細なデータがある

小林製薬㈱の杜仲茶シリーズ品(煮出しタイプ、ペットボトル)について紹介します。

煮出すタイプには、最もスタンダードな『小林製薬の杜仲茶』、

これよりも杜仲茶の有効成分を豊富に含む『小林製薬の濃い杜仲茶』があります。

後者には、ゲニポシド酸やアスペルロシド、クロロゲン酸などいろいろな健康成分が多く含まれており、

『小林製薬の杜仲茶』と比較するとゲニポシド酸は8倍にもなっています。

国際的な品質評価機関モンドセレクションで品質と味が認められ、

2010~2014年の5年連続で金賞を受賞した実績もあります。

どちらも茶葉1パック(3gの場合)を1~1.5ℓの水で加熱して煮出しますが、

好みの濃さに増減できる点が煮出しタイプのメリットです。

しかし、煮出すのが面倒という人は、

手軽なペットボトルタイプの『小林製薬の杜仲茶』を購入する方法もあります。

こちらはスタンダード品の5倍量のゲニポシド酸が含まれているそうですから、

外出先でもすぐ飲める健康茶として利用できますね。

 

飲み方についてのまとめ

今回紹介した商品はいずれも“食品”ですので、薬のように用法・用量が定められているわけではありません。

でも、成分が効果をもたらす目安量というのはありますし、

他の特徴メリットがあるのなら知りたいですよね。

そこで、これらの商品について比較しやすいようにまとめてみました。

高血圧で悩んでいる人は、ぜひ下表を参考にして自分にあった飲料を選んでみてください。

ただし、降圧剤などで治療中の人は、主治医に確認しておくと安心ですよ。

また、これらの飲用により血圧が下がったとしても、自己判断で降圧剤を中止するのは危険です。

必ず医師の指示に従いましょう。

 

《血圧を下げる飲料の特徴》
 胡麻麦茶アミールS小林製薬の杜仲茶
関与成分ゴマペプチドラクトトリペプチド杜仲葉配糖体(ゲニポシド酸、アスペルロシド)
1日の目安量1本(350㎖)1本(200㎖)
茶葉3g程度
飲むタイミング指定なし
(お茶替わりに)
指定なし
指定なし
(お茶替わりに)
副作用なしなしなし
特記事項・加熱OK
・カロリーゼロ
・1ℓタイプあり
・トクホ
・日本人間ドック協会推薦
・牛乳やヨーグルトに混ぜてもOK
・1本34Kcal
・1ℓタイプあり
・トクホ
・加熱OK
・ノンカフェイン
・茶葉、ペットボトル、高濃度タイプなどあり
・正常血圧者の飲用OK
・降圧剤を併用しても過度の血圧低下は起こらないが、医師に確認の上、飲用のこと。

 

トクホ(特定保健用食品)とは

さて、テレビCMなどでもおなじみの「トクホ」という言葉。

これは、消費者庁に特定の保健の用途を表示することを認められた食品である

特定保健用食品」の略称です。

わかりやすく表現すると、薬ほどの確実な有効性はないものの、

ある特定の症状に対して多くの人に効果が見られる食品ということです。

“食品”ですから当然副作用はありませんが、食物アレルギーを持つ人は注意してくださいね。

有名なところでは、「ブルガリアヨーグルト」「ビヒダス」などの整腸効果のあるヨーグルト、

「キシリトール」などの虫歯になりにくい甘味料などが表示を許可されています。

トクホ商品はパッケージに“トクホマーク”の表示が許されるので、

これがあれば「ある程度のエビデンスがあり、多くの人に効果が期待できる」ということですから、

消費者の安心感につながるというわけです。

 
似たものに「機能性表示食品」があり、

こちらは確認済みの科学的根拠のある成分を有効量含んでいれば表示できますが、

「トクホ」の方は商品ごとにエビデンスが必要なため、審査を通るまでに多額の費用と時間がかかります

ただし、トクホとしての実績が十分な成分に関しては

“同様の効果が得られる”として認可されるものもあります。

いずれにせよ、トクホの取得には企業側も大変なエネルギーを必要とするわけです。

このため、最近は自社で蓄積したエビデンスを公表し、

トクホを申請せずに機能性や効果のある成分を含んだ商品を発売するケースも増えています。

この最たるものが『明治R-1ヨーグルト』です。

トクホには安心感がありますが、トクホでないからといって効果が得られないわけでもありません

消費者として賢く選び、血圧の改善に役立てたいですね。

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