高血圧・動脈硬化

閉経すると高血圧になりやすい?高血圧と更年期の関係

閉経

40代頃から始まる更年期には「閉経」という大きな変化があり、

これによる不調が体のあちこちで見られるようになります。

その1つが高血圧です。

ここでは、高血圧と閉経や更年期との関係女性にもたらす影響

更年期高血圧の対策などについて詳しく紹介しています。

 

閉経・更年期とは

年齢を重ねるごとに体の様々なところに現れてくる老化現象。

肌のシワや白髪など、ついつい目の届きやすいところばかりを気にしがちですが、

老化は体の内部でも少しずつ進行しています。

特に、生殖器である卵巣は40代前後から急激に老化が進み、

機能が低下して“子孫を残す”という役目を終えていきます。

すなわち排卵の停止…「閉経」です。

日本人の閉経の平均年齢は50歳と言われていますが、個人差が大きく、

人によっては30代、60代でなることもあります。

そして、この閉経の前後5年ずつ、約10年間を「更年期」と呼んでいます。

平均的には多くの日本人女性が40代半ばから50代半ばにかけてが更年期に当たるといえるでしょう。

 

閉経によって高血圧になる理由

それでは「閉経」と「高血圧」の間に、どのような関係があるのでしょうか?

年齢による高血圧症の実態

少々古いデータですが、

2008年に厚生労働省より発表された「国民健康・栄養調査結果の概要について」に、

20歳以上の女性2,704名を調査した年齢別の高血圧有病者の統計結果が掲載されています。

このデータにおける「高血圧症有病者」とは、

収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上,または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上,

または血圧を下げる薬(降圧剤)を服用している人として集計したものです。

これによると、20代・30代の女性では有病率が数%と非常に低いものの、

40代では14.2%、50代では39.2%と急激に高くなっていき、

60代では約6割、70代では約7割と増えていきます。

この“有病率が急激に高まる年代”というのが、

多くの人が更年期に差し掛かる40代、閉経を迎える50代であるということがポイントです。

女性ホルモンが大きく減少していく時期と、血圧が上昇していく時期が一致していると

見ることができますね。

閉経と高血圧の関係

長い間、月経や排卵といった卵巣の働きによって体のバランスを保っていた女性の体は、

卵巣の機能低下によって均衡が崩れ始めます。

このバランスを保っていたのが、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」です。

エストロゲンの分泌量は、更年期に入る頃から急激に減少していくのです。

つまり、多くの女性で40代半ばにはエストロゲンの減少による弊害が現れ始めることになりますね。

 
エストロゲンには月経や排卵、妊娠の継続など生殖に関わる作用だけでなく、

脂質代謝制御、インスリン作用、血液凝固作用、皮膚薄化、

悪玉コレステロールの減少と善玉コレステロールの増加による動脈硬化の抑制などに

関係していることがわかっています。

これらの作用のうち、「動脈硬化の抑制」が血圧に関係する部分です。

つまり、予防できていた動脈硬化が、閉経に向かってエストロゲンが減少することで難しくなる

すなわち動脈硬化を起こしやすくなるというわけです。

 
では、動脈硬化とはどのような症状でしょうか?

私たちの血管は「内膜」「中膜」「外膜」の3つの層からできていますが、

心臓から高い圧力で送られてきた血液が通る“動脈”は、

血管のしなやかさを保つため内膜と中膜が発達した構造を持っています。

ところが、この2つの膜は変化を起こしやすい部位です。

例えば、内膜の中にコレステロールが蓄積すると、

徐々に脂肪分が沈着して血管が狭くなり、血栓、潰瘍をつくる原因になってしまうのです。

こうなると、血管は本来のしなやかさを失ってしまいます。

つまり、動脈硬化とは

動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きがわるくなる病変

のことを指すのです。

厳密に言えば、動脈硬化そのものは病名ではなく、血管の状態を示す言葉なのです。

そして、硬く細くなった血管は、心臓から送られてくる血液の圧力がかかっても広がることができず、

狭い血管内を大量の血液が通ろうとするため、さらに圧力をかける必要が出てきます。

これが動脈硬化によって高血圧が進行する大きな理由の1つです。

つまり、閉経によってエストロゲンが減少すると、

動脈硬化を起こしやすくなる結果、高血圧を発症しやすくなる…というわけです。

動脈硬化や高血圧は循環器系をはじめとする多くの病気を引き起こす原因になります。

特に、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤、腎臓の病気などは命に関わりますので、

早めの対策を心掛けましょう。

 
一方で、動脈硬化と無関係に起こる高血圧もあります。

これにはストレスが大きな原因となっていることが多いのですが、

このストレスに更年期が関係しているのです。

更年期の症状には身体的なものだけでなく、精神的なものもあります

この精神症状のうち、特に“イライラしやすくなる”・“怒りっぽくなる”といった感情の変化は、

日常のちょっとした出来事に対して過敏になり、ストレスを感じやすくさせてしまうのです。

その結果、増大したストレスが自律神経の1つである交感神経を活性化させるため、

大量のアドレナリンが分泌されて興奮状態になります。

こうなると、心拍数が上がり、循環する血液の量が増えて血管に負荷がかかることになり、

血圧が上昇することになるのです。

ストレスと血圧の関係は医学的に確認されており、

更年期でストレスを感じやすくなっていることも血圧が上がりやすい要因の1つと考えられています。

また、更年期世代の女性は子供の独立・夫婦関係・介護問題など家庭でのストレスも受けやすい年代です。

更年期世代の女性は心身ともに“高血圧になりやすい要因”を持ち合わせているといえるでしょう。

このように、更年期をきっかけに血圧が急に高くなり、不安定な状態になることを

更年期高血圧」と呼んでいます。

 

併発しやすい更年期障害

さて、閉経の時期を挟んだ更年期世代の女性は、今までと異なるホルモンバランスを余儀なくされるため、

体のあちこちに不調が現れてきます。

これを更年期症状といい、中でも治療が必要なほどに辛い症状を「更年期障害」とよんでいます。

更年期症状の中には月経不順や月経痛などもありますが、血圧に関係するものも少なくありません。

例えば、のぼせ・ほてりなどホットフラッシュと呼ばれる症状は、

更年期障害のうち血管系の障害として多く見られるものです。

このときに血圧を測ると、自分でもびっくりするほど高い数値になっていることがあります。

また、めまい耳鳴り動悸、頭痛、肩こりなども高血圧と関係していることが多いといわれています。

特に、のぼせ・めまい・動悸などの症状がおきると

「もしかしたら倒れてしまうかも」といった不安を感じやすく、

この感情がさらに神経を刺激して高血圧になりやすくし

身体の症状も起こしやすくするという悪循環に陥ってしまうのです。

 

更年期高血圧の対策

高血圧そのものは自覚症状が少なく、いわゆる「病気」の状態ではありません。

しかし、高血圧の状態が心臓などの臓器や組織に与える影響は非常に大きく

ダメージを与え続ければ命に関わる病気を合併する可能性が高くなります。

まずは高血圧を“病気の前ステージ”と捉え、少しでも軽いうちに改善を図るのが得策です。

決して放置せず、医療の手が必要になる前に改善させましょう。

 
しかし、女性の多くは若いうちは低血圧の傾向にあり、血圧を気にせずに過ごしてきています。

更年期を境に体が変化し、血圧が高くなり始めても、

他の症状が出るまで気づけないケースも多いのです。

ですから、こういった女性特有の血圧に関するリスクをしっかりと認識し、意識を高めておくことは、

閉経後の人生を健康的に過ごすためにも、とても大切なのです。

「気をつけよう」という意識があれば、

生活習慣の改善などによって上がり方を緩やかにすることも可能です。

日々の積み重ねになりますから、次の点を心掛けるようにしましょう。

自分の血圧パターンを知ろう

血圧は1日の中で上昇と下降を繰り返しています。

ですから、毎日同じ時間(朝食前、就寝直前など)で記録をとっておき、

加えてめまい・のぼせ・ほてり・動悸・頭痛などの更年期症状が起きたとき

測っておくようにしましょう。

これらのデータをかかりつけの医師や更年期外来の医師に見せることで、

更年期高血圧かどうかの判定がしやすくなります

運動をしよう

更年期には体調不良やうつ症状・無力感などから外出を控えるようになり、

運動不足に陥る人も多く見られます。

また、過度のストレスから過食傾向になる人もおり、

老化による基礎代謝の低下と相まって、肥満になりやすくなります。

肥満は体の体積を増やし、全身に血液を送るために血圧が高くなりやすくなるため、

肥満を軽減することも高血圧改善の方法です。

ぜひ積極的に体を動かしましょう。

運動には肥満の軽減だけでなく、血行を改善し、血圧を安定させる効果もあります。

また、更年期障害の改善にも効果があることが数多く報告されています。

1日30分程度の有酸素運動がおすすめですよ。

わざわざ運動に行かなくても、歩く距離を延ばしたり、自転車を利用したりして、

意識的に体を動かす時間に変えていきましょう。

塩分の摂り過ぎに注意しよう

味つけの濃い料理は、自然とおいしく感じますが、塩分の摂り過ぎは体に水分を引き留めるため、

血液量が増えてしまい、血圧が上がりやすくなります。

日常的に摂取量が多ければ、慢性的に血圧が高い状態になってしまうので、注意しましょう。

日本人の約半数は塩分を溜めこみやすい体質といわれており、「食塩感受性高血圧」の可能性もあります。

また、味付けの濃い料理は一緒に食べる白米などをついつい摂り過ぎる傾向があり、

全体的に食べ過ぎになります。

肥満の原因にもなり、さらなる高血圧を招くことになりかねませんので、薄味を心掛ける方が良いでしょう。

 

更年期高血圧になりやすい人とは

男女ともに年齢が上がるにつれて高血圧になりやすいことに変わりはありませんが、

女性の場合は前述のような要因から、更年期以降は特に血圧が変動しやすくなります。

しかし、特に更年期高血圧を発症しやすいといわれるタイプの人もいます。

それは、

  • ストレスを受けやすい人・感じやすい人
  • 生活習慣(食生活・運動習慣)に問題がある人
  • 睡眠不足の人

です。

毎日の生活パターンを見つめなおし、規則正しい生活を心掛け、

リラックスする時間や方法などを見つけるようにしましょう。

また、高血圧には体質・遺伝も関係していると見られます。

特に、

  • 妊娠時に高血圧になった人
  • 家族(親・兄弟)に高血圧症の人がいる人

は更年期前から血圧に注意するようにしましょう。

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