高血圧・動脈硬化

その頭痛は高血圧のせい?原因と改善策について

高血圧頭痛

誰にでも起こる頭痛は、ありふれた症状であるだけに見過ごしてしまいがちです。

しかし、高血圧を抱えている人にとっての「頭痛」は、注意すべき症状なのです。

ここでは、高血圧で頭痛が起こる原因、特徴的な症状、頭痛を改善する方法を紹介すると共に、

高血圧の人がなりやすい頭痛を伴う病気について解説しています。

 

高血圧で頭痛がおこる原因

頭痛」は高血圧の数少ない自覚症状として取り上げられることが多いですが、

高血圧と頭痛の関係は少々複雑です。これはどういうことでしょうか?

 
一般的な頭痛は、脳の“化学的調節機能”か、“自律神経の調節機能”のどちらかの作用によって、

脳内の血管が拡張し、周囲の神経などを圧迫することで「頭痛」を感じていると言われています。

この“化学的調節機能”とは血液中の二酸化炭素の濃度が上昇すると血管が拡張する脳のシステムのことで、

この拡張により頭痛を感じるというものです。

もう1つの“自律神経の調節機能”は自律神経が何らかの刺激を受けて興奮することで血管の拡張が起こり、

これが頭痛の原因となるもので、「片頭痛」もこの1つと考えられています。

自律神経失調症のように不要な刺激を受けて頭痛が起こるのは困ったことですが、

これらの調節機能は本来、重要な器官である脳を保護するための働きです。

そして、この2つには高血圧は直接的に関与していません

 
一方で、脳には血流を自動的に調節するシステム(脳循環自動調節)があり、

一定になるよう脳の血圧をコントロールしています。

通常なら気圧や水圧のように高さ(深さ)が変化すると圧力も変化するものですが、

横たわっても立ち上がっても、脳の中は一定の血圧を保てることがわかっているのです。

驚くことに、大量の出血をして血圧が70mmHg近くまで低下しても、

脳の中は一定に保たれ、危険を回避できるんですよ。

 
しかし、この優れた調節機能も限界を超えれば機能しなくなってしまいます。

その一つが、急激な血圧上昇や長期間の高血圧です。

コントロールできないほどの圧力により脳に通常より多くの血液が流れ込み、

神経などを圧迫することで頭痛が起こるというわけです。

オムロンによると、個人差はあるものの、

収縮期血圧が210㎜Hg以上、あるいは拡張期血圧が120㎜Hgを超えるケースでは

注意が必要とされているそうです。

 
また、高血圧そのものが頭痛を引き起こしていないケースもあります。

これは、脳内に動脈硬化などの異常があり、それによって生じた血流障害が原因と考えられています。

しかし、動脈硬化を進行させる大きな要因は高血圧です。

ですから、このケースの頭痛は、高血圧が間接的にもたらした影響の結果とみることができます。

直接的でも間接的でも高血圧を抱える人が頭痛を感じるのであれば、

早急に改善に向けた対策が必要ということです。

 
さらに、高血圧が原因と勘違いをしているケースもあります。

これは“高血圧が頭痛を起こしている”のではなく、

逆に“頭痛が起きた不安感や不快感が血圧を上げている”という場合です。

頭痛が起きたことで動揺し、自律神経が刺激を受けることで血圧が上昇してしまうことがあるのです。

つまり、頭痛の結果として血圧が上がるわけですね。

 

頭痛の症状

もともと「頭痛」というのは風邪や寝不足、肩こりなどでも起こりやすい身体の不調です。

その原因を特定するのは簡単なことではありませんが、中には命に関わる危険な頭痛も隠れているのです。

安易に自己判断することは避け、医師に相談するようにしましょう。

 
…とは言っても、高血圧に見られやすい頭痛の特徴もあります。

頭痛が起こる場所でいうと、後頭部周辺であることが多いと言われています。

また、血圧が大きく変動するタイミングでも起こりやすい傾向があります。

冬場の入浴などは気温差が激しく、血圧も変わりやすいので気をつけましょう。

同様に起床直後も血圧が低い状態から高い状態へ変わっていくので、頭痛を起こす人が多いようです。

高血圧の頭痛のすべてに該当するわけではありませんが、目安にしてくださいね。

 

頭痛を起こす病気

前述の通り、長年の高血圧や急激な血圧上昇は、脳の血液循環に影響を与える場合があります。

脳は非常にデリケートな器官なので、ダメージによっては深刻な状態に陥る原因になることも少なくなく、

このような病気には、頭痛を伴うことが非常に多いのが特徴です。

具体的にみていきましょう。

脳出血

 
高血圧の状態が長く続くと、脳内の血管は内側の壁にダメージを受け続け、

その結果、壁を構成する細胞が壊死してしまいます。

すると、そこの血管が破れて脳内出血を起こし、血の塊である“血腫”を生じます。

これを「高血圧性脳内出血」といいます。

出血量が多ければ血腫も大きくなり、

これが脳を圧迫することで頭痛や意識障害などを起こすのです。

さらに、ここに高い血圧がかかって破裂すると脳出血がおこり、脳の機能は甚大なダメージを受けます

その結果、一命をとりとめても、

手足の麻痺や視覚・言語障害、寝たきりなど様々な後遺症をおこすケースも少なくないのです。

ですから、脳出血の前段階である血腫が引き起こす頭痛などのサインを

早期に発見することは非常に重要なのです。

 
高血圧は脳出血の原因の60~70%を占めると言われています。

血腫形成の要因となる高血圧を、初期の段階で改善することも忘れてはなりません。

特に40歳以降は動脈硬化が進みやすいので、注意するようにしましょう。

 
現在は高血圧の初期治療が進み、

かつての死亡原因トップ3の常連だった脳出血による死亡率は減少傾向にあります。

このことからも、高血圧をコントロールすることの重要性がよくわかりますね。

クモ膜下出血

脳はデリケートな器官であるため、頑丈な頭蓋骨で守られています。

この頭蓋骨と脳の間には硬膜・クモ膜・軟膜という3層の膜があり、

クモ膜と軟膜の間にある隙間はクモ膜下腔と言います。

クモ膜下腔には脳へ血液を送る血管が通っており、同時に脳脊髄液を分泌・吸収する働きをしています。

しかし、長年の高血圧などにより動脈硬化が起こっていたり動脈瘤があったりすると、

急激に血圧が上昇した時に血管が敗れてしまうことがあり、

クモ膜下腔に血液が流れ出してしまうことがあります。

これが「クモ膜下出血」です。

症状は、“突然の経験したことがないような”頭痛後頭部や首の付け根に現れ、吐き気・嘔吐が起こります。

出血量が多かったり、軟膜が破れて脳内に血液が流れ込んだりすると、命に関わることもあります。

脳梗塞

脳梗塞」は血管が詰まったり、そのために行き場を失った血液によって

血管が破裂したりすることで発生します。

血管が詰まる理由として多いのが、

  • 長年の高血圧による動脈硬化によって脳の血管自体が細くなり詰まりやすくなるケース
  • 別の部位で生じた動脈硬化による血栓などが血流によって流されてきて脳で詰まるケース

などです。

血管が詰まったり出血したりすると、

その先にある脳細胞に血液を送り届けることができなくなってしまいますね。

このため、脳梗塞が起こると、血流が途絶えた脳の場所によって次のような症状がみられます。

《脳梗塞に多い症状》

  • 手足の力が抜ける
  • 舌がもつれて話せない
  • 視界が悪くなり、よく見えない

これらの一方で、頭痛などの症状は出にくいと言われていますが、

脳梗塞は高血圧が起因する血流障害として発生しやすく、後遺症を伴うことが多い疾患なので、

十分な注意が必要です。

これは脳が血液を大量に必要とする器官であるためで、

体に占める質量の割合は2%程度ですが、酸素の消費量は20%にものぼっているのです。

その上、とてもデリケートで、日本救急医学会によると

“脳への酸素供給が途絶えると意識は数秒以内に消失し、3~5分以上では再開しても脳障害を生じる”

とのことです。

一度ダメージを受けた脳の機能を元に戻すことはできないわけですね。

そのため、これらが後遺症となって、長期にわたるリハビリが必要になるなど、

その後の生活が一変する可能性も大きいのです。

また、梗塞に気づかずにいると脳浮腫などによって頭蓋内圧が高まった結果、

頭痛を起こすこともあります

これについては併せて次項もご覧ください。

高血圧性脳症

症例数としては少ないですが、治療が遅れると重篤な症状を起こすものに「高血圧性脳症」があります。

名前が示すように高血圧を原因として発症する脳症で、

慢性高血圧の人の管理不良(降圧剤の飲み忘れ、食生活の未改善など)や、

妊娠高血圧症候群などでおこります。

主な症状は頭痛、悪心、嘔吐、視力障害(両目が多い)、けいれん、意識障害ですが、

発症したときの血圧が高い(収縮期血圧220、拡張期血圧110mmHg以上)ことが多いのも特徴的です。

脳症を起こす理由は、高血圧による脳血液循環の不良などによって代謝異常を起こし、

脳の本体部分に水分が溜まって脳がむくむ脳浮腫”になるところにあります。

むくみが起こって膨らんでも、脳は硬い頭蓋骨で覆われているため逃げ場がありません。

そのため、内圧が高まって神経が刺激され、頭痛が起こるのだと考えられており、

特に早朝に頭痛が起こりやすい傾向があると言われています。

速やかに入院して適切な処置を受ければ回復しますが、

中には心臓や腎臓にも影響して命に関わるケースや、後遺症が出るケースもあります。

高血圧と診断されても医師の指示に従って適切な改善策をとれば防げることですから、

きちんと治療を受けましょう。

 

高血圧による頭痛の解消法

高血圧を改善するには降圧剤の服用、食生活の見直しなどが欠かせませんね。

しかし、頭痛が起こらなくなるほどに回復するには時間がかかるかもしれません。

そこで、ここでは高血圧治療と並行してできる“頭痛が起きにくいようにする予防策”や

頭痛が起きたときの対処法”などを紹介しましょう。

予防策

高血圧の人の頭痛が起床時に起こりやすいということは、すでに触れましたね。

このとき、急に起き上がると、さらに頭痛が起こりやすくなったり酷くなったりします

目覚めたら、ゆっくりと起き上がることを心掛けましょう。

できれば、まずうつ伏せになり、四つん這いの姿勢をとって、

頭を下げたまま腰からゆっくりと立ち上がるようにしましょう。

最後に頭を引き上げるようにするのがポイントですよ。

一度座って休憩するのも効果的です。

 
また、高血圧を改善し、血圧が下がれば頭痛も起こりにくくなりますね。

医師から処方された降圧剤は決められた量とタイミングできちんと飲むことが大切です。

降圧剤が効きすぎている場合は、必ず医師に相談して、適切な量や種類に調整してもらいましょう。

加えて、降圧剤を徐々に減らしていけるよう、食生活も改善していきましょう。

食べ過ぎ・飲み過ぎを避け、減塩を心掛けた食事にすることが大切です。

 
そして、意外と頭痛の原因になりやすい習慣が「喫煙」です。

タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があるため、

脳への血流が悪くなり頭痛を起こしやすくします。

また、血液中の一酸化炭素の濃度が高くなり、

酸素を供給しにくくなることも頭痛の原因と考えられています。

厚生労働省の“最新たばこ情報(2017年)”によると、男性の喫煙率は減少傾向にあるものの、

女性はほぼ横ばいといった状況で、喫煙率が一番高い年代は40歳代の13.7%となっています。

この世代の女性は更年期を迎え、血圧が高くなり始める頃と重なります。

できれば禁煙して、体の負担を軽くしてあげた方が良いでしょう。

対処法

血圧を下げる努力を続けていても、頭痛も血圧も体調の影響も受けやすいため、

起きてしまうこともあります。

そのようなときは、どうすればよいでしょうか?

 
もし、休める状況であれば休憩しましょう。

可能であれば、頭を高くして横たわると痛みが取れやすくなります

ただし、そのまま眠ってしまうと肩こりなどによって余計に頭痛が酷くなってしまうので、

注意してくださいね。

 
一方、“休憩できない”・“頭痛が治まらない”などの場合は、頭痛薬を飲むという方法があります。

主治医に相談して予め頭痛薬を処方してもらっておく飲める市販薬を確認しておくのが一番ですが、

ない場合は解熱鎮痛剤として市販されている「ロキソニン」など高血圧でも使用可能な薬を利用しましょう。

降圧剤を服用中の人は薬の飲み合わせなどにも注意を払わなければなりませんが、

ロキソニンは特に問題ないとされています。

ただし、肝機能障害・腎機能障害・心機能不全などがある人は服用できません。

他の薬を服用中の人は主治医に確認するか、薬剤師に相談してみましょう。

なお、解熱鎮痛剤には種類がいろいろあり、中でも非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一部に

重篤な高血圧症には禁忌とされているものがあります。

これは、腎臓の血流量を減少させ塩分(ナトリウム)や水分を体に貯留する性質があるためで、

結果的に血圧を上昇させる恐れがあるからです。

同様に、片頭痛用とされている薬には血管を収縮させる作用があり、

血圧を上昇させてしまうことがあるため、避けるようにしてください。

いずれにせよ、やむを得ないときを除いては安易に市販薬の常用をせず、

医師に相談して問題のない頭痛薬をもらっておくようにするのが一番です。

我慢するのもストレスがかかって血圧を上げてしまう可能性がありますから、

頭痛薬を適切に利用するようにしましょう。

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