高血圧・動脈硬化

高血圧とは!?気になる人の基礎知識

高血圧とは

身近な健康問題として取り上げられることが多い「高血圧」。

でも、「なぜ血圧が上がってしまうのか」「なぜ高血圧が問題視されるのか」ということを

きちんと知っているかと聞かれたら、考えてしまう人も多いのではないでしょうか?

ここでは「高血圧」を正しく理解するために

血圧の数値ガイドライン、血圧が高くなる原因をわかりやすく説明するとともに、

高血圧が恐ろしい理由についても解説しています。

 

血圧とは

「血圧」とは血管内の圧力のことです。

血圧を測る時は、通常、腕の肘より肩側(上腕部)で行いますね。

ここには“上腕動脈”という血管が通っていて、血圧とはこの血管の圧力を意味する場合が多いのですが、

本来は“心臓から流れる血液が血管を押す力”を指す言葉なので、どこの血管にも血圧は存在しています。

血圧は圧力の一種ですから、

正式には天気予報でおなじみの“Pa(パスカル)”という単位を使わなければなりませんが、

血液や体液の圧力には

“mmHg(ミリメートルエイチジ―=水銀柱ミリメートル)”の使用が認められていますので、

本サイトでもmmHgで説明していきますね。

最近では電子式の血圧計が安価で入手できるようになり、家庭でも手軽に測定できるようになりましたが、

病院などでは今でも水銀を利用した血圧計が用いられています。

数値の細かさや正確さが求められる医療現場では手動式の水銀タイプが求められていますが、

測定に技術が必要であることを考えると、日常の血圧管理には電子式の自動タイプで十分です。

特に日本製の自動血圧計は世界でもトップシェアを誇っており、科学の発展と共に精度も高くなっています。

自動血圧計には指・手首・上腕など測定部位によって何種類か販売されていますが、

少々大きく、測定が面倒になるものの、上腕部を測定するタイプの精度が高いともいわれています。

 
さて、血圧計で測定すると、数値が2つ表示されます。

1つは「収縮期血圧」といい、心臓の収縮によって血液が全身へと押し出されるときの圧力のことで、

一般的には“上の血圧”・“最高血圧”と呼んでいます。

このときの血圧が一番高い数値になります。

もう1つは「拡張期血圧」といい、

心臓が拡張して緩むため、血液にかかる圧力が最も小さくなったときのことで、

“下の血圧”“最低血圧”と呼んでいます。

このように、血圧は「心臓が血液を押し出す力の強さ」によって生まれますが、

圧力の強さは「血管内の血液の流れやすさ」と「血管が血液を押し戻す力」によって変化します。

つまり、血圧に影響する要因は大きく3つあるわけですね。

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割をする臓器なので、

ここに問題があれば血圧に影響するのは当然なのですが、

今回のテーマである“高血圧”について考えると、心臓そのものの問題というよりは、

後者の2つ「血液の流れやすさ」と「血管が血液を押し戻す力」が重要となってきます。

この2つについて、詳しく見ていきましょう。

血液の流れやすさ

血液がスムーズに流れるとはどういうことでしょうか?

例えば長いホースを思い浮かべてみてください。

これに水を流したとき、何事もなければ水は蛇口を開けた時の勢いを保ちながら先まで流れていきます。

しかし、中にゴミが詰まっていたり、どこかが折れ曲がっていたりすると、

出てくる水の流れは弱まりますね。

でも、蛇口を開いた時の勢いは同じわけですから、

ホースの中の水は行き場を失い、出口を求めて圧力(水圧)が高まっている状態になっています。

このとき、流れを妨げているゴミやホースの折れを取り除いてやると、

すごい勢いで水が飛び出してくることからも内部の圧力が高まっていたことがわかりますね。

このホースを血管、水を血液に置き換えると、水圧=血圧ということになります。

また、内部のゴミ・ホースの折れは、

血管に付着したコレステロールや、その蓄積により狭まった血管に置き換えることができます。

このように、血圧には「流れやすさ」が関係しているというわけです。

血管が血液を押し戻す力

今度は同じサイズのゴム風船とビニール袋それぞれに水を入れるところを思い浮かべてください。

口を閉じて水を入れ続けたら、ビニール袋はすぐに破れてしまいます。

つまり、内側の圧力が高くなり、そのビニール袋の強度によってその水圧を抑え込める間は破れませんが、

それを超えると破けるというわけです。

一方の風船ではどうでしょう。

もともとの風船の体積を超える水の量が入っても、その水圧がゴムを押し広げるため、

風船自体の体積を大きくすることができますから、

水が入り続けてもゴムの限界を超えるまで水圧が急激に高まることはありません。

つまり、水を入れるものの弾力性があるかないかで、内部の圧力が変化するということです。

水圧によって体積を大きくすることができれば、

水を押し戻す力が弱くなり、内部の水圧は変化しにくくなるわけです。

これと同じことが血管と血液に関しても言えます。

血管の弾力がなければ、中を通る血液の圧力に対抗して血管にかかる圧力は高くなります。

反対にみれば、血管が血液を外に出さないように押し戻していると見ることができるわけです。

しかし、弾力のある血管ならば、

血液の圧力がかかるとそれに応じて血管を広げ一次的に体積を大きくすることができるため、

内部の圧力は高まりにくくなります。

このように、血管の弾力性によっても血圧は変動を受けるわけです。

 

血圧の数値について

それでは正常な人・高血圧の人の血圧とはどのくらいなのでしょうか。

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」によると、

医療機関で測定する際の成人の血圧は次のように分類されています。

 

《血圧の分類》
分類      収縮期血圧(最高血圧)・拡張期血圧(最低血圧)【mmHg】
至適血圧<120 かつ <80
正常血圧120~129 かつ/または 80~84
正常高値血圧130~139 かつ/または 85~89
Ⅰ度高血圧140~159 かつ/または 90~99
Ⅱ度高血圧160~179 かつ/または 100~109
Ⅲ度高血圧≧180 かつ/または  ≧110
(孤立性)収縮期高血圧≧140 かつ <90

では、用語について詳しく見てみましょう。

至適血圧」とは血圧が関係する病気の発生リスクが最も低い状態のことを指します。

最高血圧が120未満かつ最低血圧が80未満となると、いわゆる「低血圧」の状態も含んでしまうので、

不健康なイメージを持つかもしれませんが、疾病リスクから考えると最適な血圧と言えます。

ちなみに、低血圧は立ちくらみなどの症状が酷くなければ、問題ないとされています。

 
これに次いでリスクが低いとされるのが「正常血圧」です。

以前は正常血圧と高血圧といった簡単な分類しかされていなかったのですが、

様々なデータの解析により、

正常血圧の範囲にあっても血圧が低い方がより疾病リスクが低くなることがわかりました。

そのため、正常血圧よりも低リスクの至適血圧を別に設定し、

正常血圧は高血圧ではないものの“一歩手前”の注意が必要とされる状態としました。

 
そして、「高血圧」は数値の低い順にⅠ度Ⅱ度Ⅲ度3段階で分類しています。

Ⅲ度はかなり重症で、疾病リスクがかなり高い状態と言えます。

厚生労働省によると、至適血圧の人の脳血管障害リスクを1とした場合、

正常高値の人で約1.7倍、I度〜II度の高血圧の人で約3.3倍、

III度の高血圧の人(≧180、≧110)は約8.5倍になるとしています。

血圧が至適だからといって病気にならないわけではありませんし、

糖尿病など他の病気などの要因も関係してきますが、

血圧を低めにコントロールするとリスクを回避できる傾向にあることがわかりますね。

また、(孤立性)収縮期高血圧とは最高血圧だけが特に高いもので、

動脈硬化の進んだ高齢者に多くみられる傾向があります。

 
なお、血圧に関するガイドラインには上記のほかに「日本人間ドック学会」が設けるものもあり、

これによると最高/最低血圧が

基準範囲は129 / 84mmHg以下、要注意は130~159 / 85~99mmHg、異常は160以上/100以上mmHg

とされています。

この数値は「健康保険組合連合会」とともに収集した

150万人分の膨大なデータの解析結果によるものと発表されていますが、

見た目は基準が緩くなったように思えますね。

緩めの基準値はヨーロッパでも採用されていますが、

このような違いは、元にしているデータや疾病リスクの捉え方の違いなどによるところが大きいのです。

高血圧と同様に、コレステロールなども学会間の違いがみられる項目です。

検査を受ける側は混乱してしまいますよね。

一般的に血圧に関しては、健康診断では「日本人間ドック学会」の数値に基づく判定が多く、

医師の診断では「日本高血圧学会」のガイドラインによるケースが多いようです。

しかし、健康の指標として血圧を捉えるのであれば、

血圧を低くコントロールする方が良いのは明らかなので、

厳しい基準値である日本高血圧学会のガイドラインに準じて判断しておけば、より安心と言えるでしょう。

 

血圧が上がる原因

では、血圧が上がる原因には何があるのでしょうか?

血圧が変化する要因には、

  • ポンプである心臓の拍動
  • 血管内の血液の流れやすさ
  • 血管が血液を押し戻す力

が関係していることはすでに触れましたが、さらにこれらに関わる要因がいくつかあります。

例えば、心臓や血管は自律神経中枢神経内分泌系(ホルモン)によって収縮したり拡張したりしますし、

腎臓など水分調節に関わる器官や、食事によって血液量が変化することでも影響を受けます。

誰でも緊張すると心臓がドキドキし、心拍数が上がるのを経験したことがあるでしょう。

精神的ストレスを感じたことで交感神経が興奮し、循環器系に影響を与えることで、

同時に血圧も上昇しているわけですね。

似たような理由で、病院などで血圧を計ると、

緊張のために自宅で測るときより高い数値を示すことがあります。

これは「白衣高血圧」「白衣現象」と呼ばれているもので、

この傾向がある人は自宅での血圧に5mmHgほど加えた数値を目安にして、

上表に照らし合わせるようにしましょう。

 
また、国立循環器病研究センターによると、血圧には日内変動があることがわかっており、

朝の目覚めと共に血圧は上昇しはじめ、日中は比較的高く、

夜になると下がりはじめて睡眠中が最も低くなるのだそうです。

このため、自宅などで測るときは起床後すぐなどの

同じ時間帯で測定することが身体活動の影響を受けにくい測定法と言えるでしょう。

その他、季節によっても変動し、冬は高く、夏は低くなることもわかっています。

さらに、運動したとき、お風呂に入ったときなど、

身体や環境の変化によっても血圧は常に変動しているわけです。

ただし、このときの血圧の上昇は体の“恒常性(ホメオスタシス)”を維持するための一時的なものです。

安静にして血圧が低下しても正常値を超えている場合は高血圧となります。

 
また、加齢によっても血圧は影響を受けます。

これは、血管の老化に伴う弾力の低下や動脈硬化、血管壁内部への付着物などによって

上の血圧が上昇しやすくなる一方で、

血管の弾力が失われることにより末梢血管への血流量が低下するために

下の血圧は下がる傾向にあります(収縮期高血圧)。

さらに、加齢によらなくても生活習慣によって動脈硬化をおこすケースもあります。

肥満、飲酒、喫煙、運動不足なども血圧を高くする要因になるので、若いうちから十分な注意が必要です。

 

合併症などの危険性について

実は、高血圧そのものは死に直結するような重篤な状態ではありません

痛みや辛さも感じませんし、「少しくらい放っておいても大丈夫なのでは…」と考える人も多くいます。

しかし、高血圧が続くと、体の様々な部位に不都合が起きてきます。

この“不都合なこと”の中に生死に直結する重大な疾患が多いという点が、

別名「サイレント・キラー」とも呼ばれる高血圧を危険視する理由なのです。

こういった高血圧の合併症をいくつか挙げておきましょう。

心臓の病気

血圧が高いということは、血液を押し出す心臓が過剰に働いている証拠でもあります。

血管の中を血液が流れにくくなっているために、

心臓が頑張って高い圧力で血液を送り出しているわけですね。

これは心臓に大きな負担をかけていることに他なりません。

心臓は心筋という筋肉でできていますから、この状態は心臓にとって“筋トレ”をしているのと同じで、

心筋が増強され、「心肥大」になってしまうのです。

大きくなった心臓は本来の働きができなくなってしまうため、

心機能が低下し「心不全」を起こす可能性も高くなります。

また、高血圧では動脈硬化などで血管が細くなっている場合が考えられますが、

心臓に酸素や栄養分を届ける血管が細くなっていると、

狭心症」や「心筋梗塞」などの発症も考えられます。

いずれも命に関わる心臓の病気です。

少しでも低い血圧を維持できるように心掛けましょう。

脳の病気

高血圧の人は動脈硬化を起こしているので血管が細くなった場所が多く、

ここに血栓が詰まると、その先にある組織や細胞へ酸素や栄養を供給できなくなります

これが脳で起こるのが「脳梗塞」です。

脳細胞は脳での血液循環が絶たれると、最悪の場合、15秒以内に意識喪失、

3~4分で不可逆的なダメージを受けると言われています。

血栓が生じた部位によっては歩行困難や言語障害などの後遺症が残ることがあります。

また、高血圧が続くと脳の細い血管が動脈硬化を起こし、

これが破裂すると「脳出血」「くも膜下出血」などを発症する危険もあります。

前述しましたが、正常な血圧の人に対して、

軽い高血圧の人でも脳血管障害による死亡率が約3倍にもなると言われています。

腎臓の病気

高血圧による動脈硬化が腎臓で進行すると、腎機能が低下することがわかっており、

高血圧患者の約30%に腎機能障害を合併しているという報告があります。

 
腎臓は、血液中の老廃物を漉しとり、尿として体外へ排出する大切な臓器です。

このため、腎臓には毛細血管が網の目のように張り巡らされているのですが、

ここで動脈硬化がおこると腎機能が低下し、命に関わる「腎不全」を起こすことがあります。

逆に、腎臓に病気があって、老廃物の濾過がうまく行えない状態になると、

体は血管内の圧力を上げて濾過しようとします。

このため、腎臓が悪くても高血圧を発症しやすくなります。

その他の疾患

高血圧は体中の血管に大きな圧力をかけたり、動脈硬化を起こして血流を悪くしたりするので、

様々な器官や組織に負担を与えることになります。

前述の臓器以外にも、眼底出血網膜静脈閉塞症)、

血管大動脈瘤大動脈解離)などがあり、

直接の因果関係はありませんが糖尿病の合併率も高いことがわかっています。

しっかりと血圧をコントロールすることが大切ですね。

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