高血圧・動脈硬化

高血圧で「めまい」はおきない?めまいと高血圧の正しい関係

めまいと高血圧

「めまいが起きたので血圧を計ったら、驚くほど高かった」というのはよくある話です。

このため、多くの人が「めまいは高血圧のせいで起きた」と思ってしまうのですが、実は大きな勘違い

高血圧が原因でめまいを起こすことはありません

ここでは、「めまい」と「高血圧」の正しい関係と対処法についてお伝えしています。

 

めまいとは

「めまい」という症状はよく耳にするものですが、大きく2種類に分けることができます。

1つは「目の前がぐるぐる回る」ように感じる“回転性めまい”、

もう1つは「フラフラ」「グラグラ」するような“非回転性めまい”です。

実は、めまいとは手・足・目などの外部から得る情報や

耳・脳での情報に差が起きた時に発生することが多いのです。

これはどういうことでしょうか?

 
私たちの体は意識していなくても、頭や体がどちらの方向を向き、

水平や垂直に対してどのくらい傾いているかを感知し、体のバランス(平衡)を保っています。

非常に精巧なセンサーを持っているといえるでしょう。

これには地面に着いているの動き、頭の位置の違いによるの筋肉の緊張具合、

で見ているものなどの様々な情報が必要で、これを脳の“平衡中枢”で処理しています。

一方の耳の奥には「前庭」と呼ばれる器官があり、中には回転を感知する「三半規管」と、

水平や垂直方向の動きを感知する「耳石器」があります。

ここで得た情報も脳に伝わり、処理されます。

 
ところが、体の各部位からの情報と耳で得た情報が一致しないと、どうなるでしょうか?

例えば、ぐるぐると回転すると、止まってからもしばらくは視界が揺れ、まっすぐ歩くことは難しいですね。

これは体の動きが止まっても、

三半規管を満たしているリンパ液が回転運動によって動き続けているために起こります。

これは極端な例ですが、めまいとは耳や目などの感覚器やそれを伝達する神経のどれかに異常があって、

情報に違いが生じてしまった場合に起こりやすいのです。

簡単にいうと、異なる情報を与えられた脳が混乱してしまったということができるでしょう。

 
特に頭部の左右に1つずつある耳は重要な平衡感覚のセンサーになっています。

頭や体が動けばその動きを傾きや加速度として捉え、

情報として左右の耳とも同じように脳へと伝えているのです。

しかし、片方の耳に異常があると情報の不一致が起こるので、めまいが起こってしまいます。

耳の平衡感覚は左右とも正常でないと脳が混乱してしまうわけですね。

このため、耳に異常があるとめまいを伴うことが多く、

メニエール病、突発性難聴、前庭神経炎、内耳炎などが代表的です。

 

高血圧でめまいにならない理由

高血圧を患っている人は、めまいなどの異変がおこると、

その原因を高血圧に結び付けて考えてしまいがちです。

そして実際、めまいの後に血圧を計ると高い数値を示すことがほとんどです。

そのため、血圧の高さを原因と思い込んでしまう人が多く見られますが、

“血圧の高さ”を原因とするならば、

めまいが起きる前の血圧が高かったことを確認しなければなりませんね。

逆の事例として、血圧を測定して「今日は高めだな」とわかった後で

めまいを発症した経験があるのかというと、非常に少ないことがわかります。

つまり、高い血圧だったのは“めまいを起こしたから”であって、

“血圧が高いからめまいが起きた”のではないということです。

めまいが起きたことで動揺したり興奮したりしたために自律神経が刺激を受け、

結果的に“血圧が高くなった”というケースがほとんどなのです。

ただし、血圧が高い場合でなく、低くなり過ぎた場合にはめまいやふらつきを起こすことがあります

これは血圧の低下によって脳の血流量が大幅に減り、

脳が酸欠状態になって平衡中枢がうまく働かなくなってしまうためです。

後述しますが、高血圧の人が服用する血圧を下げる薬(降圧剤)でも、

効きすぎると想定よりも血圧を下げ過ぎてしまい、これによってめまいを起こすこともあるわけです。

高血圧が間接的な原因でおこるめまいということもできますね。

 
…とはいうものの、前項で説明した通り、めまいとは平衡感覚の異常であり、

高血圧がめまいを引き起こす直接的な原因になることはありません

めまいを訴えた患者の大半が何らかの耳の病気だという報告も多くあります。

しかし、一方で耳の病気でめまいを起こした患者の

66%が高血圧症、27%が糖尿病、50%が高脂血症、39%が心臓病というデータがあります。

これは脳血管障害(脳梗塞など)の患者の合併症頻度と似ているそうですから、

耳の病気でめまいの症状を訴えた人のうち、

高血圧だと大きなリスクを背負っているということは否定できないということです。

 

高血圧と関連性があるめまいの原因

このように、高血圧が直接的な原因となってめまいを起こすことはありませんが、

めまいと高血圧の症状が同時に現れやすいのも事実です。

このようなケースの中には、“間接的に高血圧や循環器系の異常によって起こるめまい”も存在します。

これらについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

更年期との関係

40代~50代にかけて迎える更年期特有のめまい症状の中には、

エストロゲンの減少によって引き起こされているものもあります。

エストロゲンの減少は動脈硬化を起こしやすくし、これが原因で高血圧を発症しやすくなるのですが、

加えて自律神経の失調も招くため“起立性低血圧”を起こしやすくもするのです。

起立性貧血の症状は“立ちくらみ”“ふらつき”といっためまいに似たものなので、

素人には判別が難しいですね。

このように、更年期世代の女性にはめまいに似た症状と高血圧を起こしやすい要因が重なっており、

そのために、めまいの原因を高血圧によるものと勘違いさせてしまう傾向があります。

更年期によるめまいの原因は、自律神経の失調の可能性が高いことを知っておきましょう。

脳の血液循環の乱れ

健康な人では脳内の血圧は常に自動的に制御され、一定に保たれています

ところが、慢性的に高血圧の状態が続いている人や、急激に血圧が上がると、

このバランスが保てなくなり、脳内での血圧をコントロールできなくなってしまうのです。

すると、血液循環に支障がおき、さらに、圧力によって血管から液体成分が脳に染み出して脳がむくみ、

頭蓋骨の中で圧力が高まってしまいます。

このとき現れる症状の1つとして「めまい」がありますが、

重篤な場合は高血圧性脳症といって頭痛・吐き気・意識障害などを伴うこともあるので、

十分な注意が必要です。

降圧剤による副作用

慢性的な高血圧患者の多くは、普段から血圧を下げる薬(降圧剤)を服用しています。

薬を飲んで、血圧が高い分だけ都合よく下げられれば問題がないのですが、

時には必要以上に下がってしまい、脳での血圧をコントロールできる範囲を下回ってしまうと、

めまいやふらつきを感じることもあります。

一種の副作用ですね。

しかし、いずれも一時的な症状なので、無理して動こうとせず、落ち着くのを待ちましょう。

ただし、頻繁にめまいが起こるようであれば、降圧剤の量が多すぎる可能性もあります。

自己判断で薬を止めたり減らしたりせず、医師に相談して薬の量を減らせるか聞いてみましょう。

また、降圧剤には数種類あり、血圧を下げるメカニズムは異なりますが、

中でも「α遮断薬」と呼ばれるタイプは

副作用として起立性貧血によるめまいや立ちくらみを起こしやすいものです。

体質や既往歴などに問題がなければ、他の種類の降圧剤に変えてもらえるかもしれませんので、

相談してみましょう。

脳血管障害

高血圧を患っていると動脈硬化が進行することがわかっています。

動脈硬化が起きている部分には血栓などが詰まりやすく、その先へ血液の供給ができなくなってしまい、

組織や細胞が壊死してしまうことにつながる恐ろしい状態です。

これが脳で起こることを「脳梗塞」といい、脳血管障害の中で最も発症しやすい病気です。

また、動脈硬化が起きている部分は血管が弾力性を失って非常にもろくなっています。

ここに高血圧によって高い圧力が加わると、血管が破裂して出血を起こすことがあります。

これが脳で起きると「脳出血」といい、

頭の中の圧力が高まったり、血腫がまわりの正常な脳を押したりするので、

脳の働きが悪くなってしまいます。

どちらも小脳や脳幹など平衡を司る部位にこういった影響がおこると正常に機能できなくなってしまい、

めまいを起こすようになります。

場合によっては命にもかかわることが多い病気なので、血圧をコントロールすることはとても重要です。

 

めまいがおきた時の対処法

めまいは急に起こるので、驚いたり慌てたりしてしまいますね。

また、頻繁に起こると、飲んでいる薬に対する不安感を持つかもしれません。

もちろん、脳血管障害などの重篤な疾患ではすぐに病院へ向かわなければなりませんが、

それ以外の軽度なめまいなら、

正しい知識や対処によって改善したり二次的な事故を防いだりすることができます

ここでは、「高血圧を抱える人にめまいが起きた時はどうすれば良いか」についてまとめてみました。

無理して動かない

めまいが起こったときは、まず安全を確保しましょう。

立っていると転倒の危険もあるので、

何かにつかまる・座る・しゃがむなど、安定した姿勢をとることが大切です。

外出中なら車や歩行者にぶつからないところまで静かに移動しましょう。

めまいが起きているときは頭を動かすと症状が酷くなりますので、

できるだけ動かさないようにするのがポイントです。

できれば衣服を緩め、横たわって体を楽にしましょう。

目を開けているとめまいをより感じやすくなるので、軽く目を閉じて落ち着くのを待ちましょう。

医師に相談する

めまいが起きているときは動けないし、治まれば後回しにしてしまう…

高血圧は重篤な自覚症状が少ないため、ついつい対応をおろそかにしてしまいがちですね。

ですが、「めまい」という症状があるからには、やはり医師に相談するべきです。

すでに降圧剤をもらっているのなら、その薬の量が適正でないことも考えられます。

血圧は1日の中でも変動しますが、季節によっても差があり、

夏場に下降し、冬場に上昇する傾向があります。

そのため、季節の変わり目には降圧剤の量が適正でなくなっていることもあるのです。

血圧の変化には個人差があるので、医師に相談し、降圧剤の量を調整してもらうと良いでしょう。

絶対に自己判断で薬を中止したリ、量を増減させないでくださいね。

 
また、めまいの症状には耳の病気のほか、

高血圧と関係が深い高血圧脳症、脳梗塞、脳出血など重篤な病気が隠れていることもあります

特に脳梗塞の場合、見逃してしまうこともあるほど症状が軽いものもあります。

決して放置せず、自分のめまいが様子を見ていて大丈夫なものか、

薬の調節・治療が必要なものなのか、医師の診断を受けましょう。

生活習慣を見直す

高血圧そのものでめまいが起きることはありませんが、

めまいによって血圧が上がる時、基準となる血圧が高ければ、上がったときの血圧は相当高くなります

高血圧の人は動脈硬化など起こしていることが多く、この状態で高い血圧がかかれば

血栓が詰まって心筋梗塞や脳梗塞、動脈瘤破裂などを起こす可能性も高まります。

やはり、血圧を適正な数値に下げることが健康のためには必要ですね。

暴飲暴食を避け、血圧を上げる飲酒や喫煙も控えましょう

塩分の摂り過ぎも血圧を高める要因になります。

生活の中で改善できることを、継続して実践することが大切ですよ。

関連記事

  1. 高血圧・動脈硬化

    もはや常識!?牛乳が高血圧を改善する!

    「牛乳」というと、健康的だけれど「太りそう」なイメージってあり…

  2. 高血圧・動脈硬化

    高血圧の改善には肥満の解消が効果的である理由

    “太っている人は血圧が高い”と言われると納得してしまいますね。…

  3. 高血圧・動脈硬化

    高血圧の予防・改善はカリウムで!

    高血圧になると必ずと言っていいほど医師から勧められる「減塩」。…

  4. 高血圧・動脈硬化

    血圧を下げる食事のたった3つのポイント

    高血圧の治療を受けている人は、まず間違いなく「食生活の改善」を…

  5. 高血圧・動脈硬化

    塩分制限は必要か!?高血圧の人の塩分の摂り方

    「高血圧といえば減塩」というくらい、血圧と塩分の関係は広く認知…

  6. 高血圧・動脈硬化

    高血圧をきちんと治療するには

    高血圧は「サイレント・キラー」と呼ばれるほど静かに進行し、やが…

高血圧の記事一覧

最近の記事

  1. 更年期障害

    更年期障害と腹痛 考えられる原因とは?
  2. 高血圧・動脈硬化

    息切れは高血圧悪化のサインかも?
  3. 高血圧・動脈硬化

    運動で高血圧を改善する効果的な方法
  4. 高血圧・動脈硬化

    要注意!高血圧の薬とグレープフルーツの相性
  5. 更年期障害

    「のぼせ」「ほてり」は更年期障害のサイン!?
PAGE TOP