高血圧・動脈硬化

高血圧と耳鳴りの危険な組み合わせ

耳鳴り

耳をふさいでも止めることのできない「耳鳴り」。

あまりの不快感のために、生活に支障が出る人もいることでしょう。

しかし、高血圧による耳鳴りなら、その原因によって改善できる可能性もあります。

ここでは、高血圧と耳鳴りの関係危険性、不快な耳鳴りの改善方法について紹介しています。

 

耳鳴りの原因

耳とは、主に外部で発生した音を脳へ伝達する器官です。

中には“自分の声”のように、外から耳に入って聞こえる音と、

体の内部を伝わって耳に伝わる音がありますが、自分で発したものという認識があるので、

耳をふさいで体を伝わる自分の声を聞いても違和感や不快感はありませんよね。

しかし、周囲の人に聞こえない音が、しかもダイレクトに耳に伝わってくる耳鳴り」は、

耳をふさいでも消すことはできません。

実は、耳鳴りがおこるメカニズムは完全に解明されていないのです。

 
通常、音は空気の振動として耳に入り、外耳道を通って鼓膜を震わせます。

この震えが耳小骨という骨に伝わって20~30倍に増幅され、奥にある蝸牛(かぎゅう)へと伝えられます。

蝸牛の中はリンパ液で満たされていて、これが基底板という膜を介して音の振動を感覚神経に伝え

ここで振動を電気信号に変換して聴神経を伝わり

大脳の「聴覚野」に届くことで“音”が認識できるのです。

逆に言うと、

外耳→鼓膜→耳小骨→蝸牛→基底板→聴神経→脳といった経路のどこかに不具合がおきているために、

“聞こえない音が聞こえる”という「耳鳴り」を起こしているのでは…と考えられています。

一般的な耳鳴りでは、何らかの異常によって聴力が低下した時に、

脳が電気信号をちゃんと受け取ろうとして聴神経の感度を良くしてしまうために、

不要な電気信号まで拾っている可能性が高いと考えられています。

 

高血圧と耳鳴りの関係

「耳鳴り」は高血圧の数少ない自覚症状として現れることがあります。

驚くべきことに、耳鳴りのある患者350人に対して行った調査によると、

最も多くみられた症状は「高血圧」だったという報告もあるくらいです。

ただし、高血圧の場合は前項のような原因で発生するだけでなく、

別のメカニズムで生じている可能性もあります。

聞こえ方としては色々ありますが、

脈打っているような「ドクドク」、川音のような「ザーザー」などと表現されることが多いようです。

これを「血管性耳鳴り」といい、

血液が耳の近くの血管を流れる時の異常な音を雑音として捉えていると考えられています。

また、太くて比較的耳の近くにある“頸動脈”で生じた雑音を聞き取っていることもあります。

こういった音は聴診器を用いると他人でも聞き取ることができるので「他覚性耳鳴り」と言います。

高血圧だからと言って必ずしも耳鳴りの症状が現れるとは限りませんが、

両者が深い関係にあることは想像できますね。

このような高血圧と関連の深い血管性の耳鳴りについて、原因をもう少し詳しく見ていきましょう。

血圧が高いとき

血圧が高い状態が続くと、血管には常に高い圧力がかかるために脆くなり、

血管の内壁が傷つきやすくなります。

傷つくと、その部分に血液中の物質がこびりついてしまい、

それを取り除こうとして白血球の一種“マクロファージ”が集まってきます。

ところが、その作業中にマクロファージ“が死んでしまうと、

その部分にこびりついてしまい、その分、血管が狭くなってしまいます。

これが積み重なった結果が「動脈硬化」です。

動脈硬化が起こると、その部分の血管が細くなって血流障害を起こしてしまうのです。

この状態を、水が流れているホースで考えてみましょう。

ホースを強く挟むと、水の勢いのために細かく振動したり音が出たりしますよね。

細くなった血管を勢いよく血液が通ろうとするときも、同じことが起こっていると考えられるのです。

そして、動脈硬化が耳の付近や頸動脈などで生じると、

その振動や音を耳が感知し、「耳鳴り」として聞いているのだと言われています。

血圧が下がり過ぎたとき

日常的に血圧が高い人は、毎日欠かさず血圧を下げる薬(降圧剤)を服用していると思います。

この降圧剤が効きすぎて血圧が下がり過ぎたときも、耳鳴りを起こしやすいと言われているのです。

 
現在、降圧剤には血圧を下げるメカニズムが異なる薬が6種類(利尿剤含む)あります。

このうち「Ca(カルシウム)拮抗剤」や「ACE阻害剤」などには

細い動脈を拡張させることで血圧を下げる働きがあります。

このとき、血管が拡張することで脳への血流も増加するため、

耳の近くを通るこれらの血管の音を感知している可能性があるのです。

実際、製薬会社が薬に添付する文書には副作用として耳鳴りを明記しているものも少なくありません。

人によっては高血圧による耳鳴りを改善したくて降圧剤を飲んだのに、

薬が効きすぎて耳鳴りを起こしてしまう可能性もあるわけですね。

血圧は一日の中でも朝・昼・夜と変化していますが、

季節によっても変動し、夏は低く、冬は高くなる傾向があります。

季節変動によってベースとなる血圧が下がっているのかもしれませんし、

もしかしたら、高血圧改善の効果が表れて、今までの服用量では多くなっているのかもしれません。

降圧剤を飲みっぱなしにするのではなく、耳鳴りなどの異変がある場合は必ず医師に相談し、

薬の種類や量を見直す必要があるか判断してもらいましょう。

 

耳鳴りと危険性

このように、高血圧の人は動脈硬化や降圧剤の作用によって、耳鳴りを感じることが多い状況にあります。

日常的になってしまうと不快には思っても軽視してしまいがちですが、

耳鳴りの中には危険なものもあるので、「たかが耳鳴り」と侮ってはいけません。

耳鳴りがするということは、それなりに動脈硬化が進んでいる証拠かもしれないからです。

動脈硬化は、

  • 脳血管障害(脳梗塞、脳出血)
  • 虚血性心疾患
  • 大動脈瘤
  • 末梢動脈疾患
  • 腎硬化症

など、命に関わる脳や心臓、血管の病気を引き起こす恐ろしい状態です。

耳鳴りの他に、「いつもと違う」と感じることがあれば、必ず病院へ行きましょう。

特に、耳鳴りと共に“フワフワするようなめまい”が起きた場合には、

脳梗塞や脳出血などを起こしている可能性があります。

すぐに診察を受けてください。

 
また、高血圧の有無にかかわらず、全く別の病気が原因で耳鳴りが起きていることもあります。

例えば、メニエール病、突発性難聴などは耳鳴りを伴うことが多い病気ですが、

過度のストレスでも発生することがあります。

耳鳴りには原因が特定できなかったり、病名の診断がつかなかったりするものもあり、

ついつい放置してしまう人も少なくありません。

しかし、高血圧の進行の結果や、病気が隠れている可能性も無視することができないのです。

勝手に自己判断せず、医師に相談することをおすすめします。

 

改善する方法

それでは、高血圧に関係がある「耳鳴り」を改善するにはどうすれば良いでしょうか?

1つには血圧を薬で下げるという方法がありますが、

前述のように降圧剤が効きすぎて耳鳴りの原因になってしまう可能性もありましたね。

また、降圧剤の持続時間は限られています

最も広く処方されているCa拮抗薬“アムロジン錠(ジェネリックが多数あり)”は35.1時間も持続するので、

服用回数は1日1回ですが、中には朝夕2回の服用が必要な薬もあります。

薬の作用が薄くなると血圧が上昇しやすくなり、耳鳴りが起きる可能性も出てくるわけです。

もちろん、降圧剤には耳鳴りを止める効果はありませんから、

いずれにせよ、降圧剤の作用だけで耳鳴りを改善することは難しいと言わざるを得ません。

そこで、ここでは根本的、あるいは直接的に耳鳴りを改善・軽減できる方法を紹介したいと思います。

食生活の見直し

現在、高血圧の治療には前述の「適切な降圧剤の使用」と併せて、

「生活習慣の改善」が2本柱として推奨されています。

この「生活習慣」には食生活、運動習慣、規則正しい生活リズムなどありますが、

特に大きなウエイトを占めるのが「食生活」です。

そもそも、降圧剤は高血圧を治療する薬ではありませんから、

高血圧を根治するには食生活を改善するしか道はない」といっても過言ではないくらいです。

そして、血圧を下げなければ血管性耳鳴りを解消することもできませんし、

血圧が下がらなければ降圧剤の服用を止めることもできないので、

副作用による耳鳴りの可能性とも常に隣りあわせということです。

まして、耳鳴りを伴うほどの高血圧であれば、重篤な疾患に進行する可能性が高いわけですから、

すぐに食生活改善の手を打つべきと心得ましょう。

 
食生活改善にはいろいろありますが、実行しやすいポイントは次の3つ

  • 食べ過ぎない
  • 塩分を控える
  • 食物繊維を多く摂る

です。

 
まずは、適正な食事量を知りましょう。

そうすれば自分が日常的にどれくらい食べ過ぎているかに驚き、

選ぶ食材や食品にも注意することができます。

最近の加工食品や外食メニューにはカロリー表示がありますので、確認する習慣をつけるのが良いでしょう。

ちなみに、メロンパン1個で350~400kcalもあり、おにぎりの2~3個分に相当するんですよ。

体脂肪に変わりやすい糖質たっぷりであることに加え、1個じゃ足りない…という人は、

同じ糖質でもボリュームがある同カロリー分のおにぎりを選ぶべきですね。

 
そして、塩分の摂取量にも気をつけてください。

塩分に含まれるナトリウムは、血液などの体液にとって大切な物質で、

体液や循環の調節に重要な役割を果たしています

食事から塩分を摂り過ぎると、体液に大量に摂り込まれ、

これを適正な濃度に薄めようとして水分も大量に必要になります。

薄められた体液は、尿などの排出によってナトリウム量が減少するまで体積が増えた状態になります。

つまり、血管の長さは変わらないのに、そこを流れる血液の量が増えた状態…

内部の圧力が高まって血圧が上がった状態ということです。

これを防ぐために、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、塩分の目標量を1日6gとしています。

現代人の平均摂取量は1日10g程度ですから、かなり厳しいですね。

できるだけ、薄味を心掛け、体内のナトリウム量が過剰にならないように注意していきましょう。

 
そして、カロリーや塩分とは逆に、積極的に摂取したいのが「食物繊維」です。

特に水溶性の食物繊維には糖質の吸収を穏やかにし、

脂肪が体内に蓄積されるのを防ぐ働きがあります。

さらに、ナトリウムを吸着し体外へ排出するのを促進し、血圧の上昇を防ぐ効果もあるのです。

高血圧改善の心強い味方ですね!

納豆などの大豆製品、オクラ、きのこ類、海藻類、こんにゃく、ゴボウなどは

水溶性食物繊維が多く、おすすめしたい食材です。

また、女性に人気のアボカドにも豊富に含まれていますが、脂肪分も高いので上手に取り入れて下さいね。

また、食物繊維には不溶性のものもありますが、

こちらは腹持ちを良くし間食を防止してくれますし、便秘を改善するのにも最適です。

体内の老廃物を排出するためにも便秘の解消は重要ですから、

不溶性食物繊維もたくさん摂るようにしましょう。

漢方薬

一般的な薬には利尿薬や降圧剤のように血圧を下げることで間接的に耳鳴りを軽減するものはあっても、

いわゆる「耳鳴りの薬」はありません。

一方、漢方薬には耳鳴りの軽減に効果を発揮する薬が知られています。

最もよく処方されるのが『七物降下湯(しちもつこうかとう)』で、

高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)に効果があるとされています。

ただし、用いられている生薬の中に胃腸への刺激があるものが含まれるため、

著しく胃腸虚弱な人には適しません

ドラッグストアでも購入できるので、薬剤師に相談してみると良いでしょう。

ツボ

食事や漢方薬は効果を実感するまでに少し時間がかかるのが難点です。

耳鳴りが起きて「今すぐ不快感を何とかしたい」という場合には、ツボ押しを試してみると良いでしょう。

 
耳鳴りに効果のある代表的なツボを3か所、紹介します。

聴宮(ちょうきゅう)

耳の穴の前側にある三角形の突起に存在するツボです。

ここに指を当てたまま、大きく口を開けるとくぼむところがありますね。その部分が「聴宮」です。

円を描くように押していくだけでOKですよ。

耳門(じもん)

耳の穴のすぐ前側にあるツボです。

少し強めに指圧するのがポイントです。

中渚(ちゅうしょ)

最後に耳以外のツボ「中渚」を紹介しましょう。

手の甲の薬指と小指の間のくぼみにあるので、人目を気にせず、サッと押すことができます。

耳鳴りだけでなく、めまい立ちくらみにも効果があるので、

女性にはおすすめのツボと言えるでしょう。

ぜひ試してみてくださいね。

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