高血圧・動脈硬化

肩こりの怖い原因〝高血圧”との関係について

肩こり

同じ姿勢をとり続けると、すぐに肩が痛み出す…という人も少なくないことでしょう。

ありふれた「肩こり」の症状ですが、高血圧のせいかも…と聞くと、驚く人も多いのではないでしょうか?

実は、肩こりと高血圧には相互に影響し合う複雑な関係があるのです。

ここでは肩こりと高血圧の関係とその理由を解説するとともに、

高血圧を持つ人に適した“肩こりの解消法”を紹介していきます。

 

高血圧と肩こり

「肩こり」は病気ではありませんが、多くの人の悩みの種でもあります。

しかし、高血圧を抱える人にとっては、血圧と肩こりが影響し合う場合があるので、

症状の悪化につながる可能性も無視できません。

まずは、両者の関係を正しく理解しておきましょう。

肩こりとは

「肩こり」とは“肩の筋肉が凝り固まった状態”を指します。

簡単な作業や軽いものを持つだけのことでも、同じ姿勢をとり続けて肩に負担がかかると、

その状態で筋肉が強ばってしまうわけですね。

この強ばった状態というのは、筋肉が緊張…すなわち収縮した状態ということになります。

収縮すると、筋肉の中や下側を通っている血管が圧迫され、血行が悪くなってしまうのです。

これによって酸素や栄養分を十分に供給できなくなり

さらに生じた乳酸などの疲労物質を筋肉から運び出すことが局所的に難しくなってしまうため、

“コリ”として感じるようになるのだとみられています。

最近では、筋肉を包む“筋膜”にシワができることも肩こりの原因の1つと考えられていますが、

肩こりが発生するメカニズムは完全には解明できていない現状があります。

そして、これらが生じやすい部分が肩・首・背中の広範囲にわたる「僧帽筋」と呼ばれる筋肉です。

僧帽筋は重い頭や腕を支え、姿勢を維持する働きを持っています。

大きな負荷がかかりやすく、緊張することも多いため、こりやすい部位なんですね。

厚生労働省の調査では、女性の自覚症状の1位は「肩こり」ということですから、

女性にとっては非常に身近で、辛い症状であるということです。

肩こりと高血圧の関係

それでは、肩こりと高血圧の間にどのような関連性があるのでしょうか?

実は、“高血圧が肩こりの原因になっている場合”と

肩こりが高血圧の原因になっている場合”の両方のケースがあるのです。

さらに、これらの発症にかかわる“共通する要因”も考えられます。

詳しく見ていきましょう。

高血圧が肩こりの原因になる場合

高血圧とは血圧が高い状態を指しますが、一般的には一時的な上昇ではなく、

慢性的に高い状態が続くことを言います。

この“血圧が慢性的に高い状態”になると、血管の内壁が常に高い圧力にさらされることになります。

内壁には血液がスムーズに流れるようにする機能が備わっていますが、

ダメージを受けるとその機能が失われ、

血液やそれと共に流れているコレステロールなどの物質がこびりついてしまうのです。

すると、それを取り除こうとして、マクロファージという白血球の一種が集まってきますが、

作業中に死んでしまうと、そこにコレステロールなどと一緒に堆積してしまいます。

その結果、血管のしなやかさは失われ、内径は狭まってしまうのです。

この状態を「動脈硬化」といい、高血圧が引き起こす障害で最も起こりやすく、

他の臓器や器官への影響が大きい症状です。

高血圧が原因で肩こりが起こるとすれば、僧帽筋に新鮮な酸素と栄養分を供給し、

疲労物質を運び出す血管のどこかに動脈硬化がおこって血行不良になっている可能性が考えられます。

しかし、肩こり自体が様々な原因によって現れる症状であるため、

高血圧だけが原因であると断定することは不可能です。

確実なのは、高血圧が血行不良を招く要因になりうるという点です。

肩こりを高血圧の指標にすることはできませんが、

肩こりが悪化する原因として高血圧が考えられるということは理解しておくと良いでしょう。

肩こりが高血圧の原因になる場合

「肩こり」が酷くなると、肩だけでなく首や背中にもコリを感じますね。

つまり、僧帽筋全体が緊張して、血行が悪くなっていることがわかります。

この僧帽筋は肩や背中だけでなく、首と頭部の付け根あたりにまで広がるとても大きな筋肉です。

そして、首は頭部への出入り口に当たります。

つまり、僧帽筋がこると、頭部への血行に影響が出るということなんです。

頭部にある脳は体重の2%ほどしかありませんが、必要とする血液の循環量は心拍出量の15%、

酸素の消費量は全身の20%にものぼる、血液を大量に必要とする器官です。

そのため、脳には血液の循環や血圧を維持する精巧なシステムがあり、

脳がきちんと機能できるようサポートしているのです。

ところが、肩こりによって血行不良が起こると、脳は必要量の血流を確保できていないと判断し、

心臓に血圧を上げるように指示を出します。

肩こりがきっかけとなって高血圧になる…ということです。

 
また、ストレスが肩こりと高血圧に影響することもあります。

これには、ストレスによって無意識のうちに体が緊張して肩こりを生じるという場合だけでなく、

肩こりの不快な状態がさらにストレスとなってそれが肩こりの悪化につながるという

悪循環を起こすこともあるのです。

このようなストレスを感じると、腎臓にくっつくように存在する副腎という内分泌器官から

コルチゾール」というホルモンが分泌されます。

コルチゾールには心拍数を増やし血管を収縮させることで血圧を上げる作用があります。

つまり、肩こりが血圧を上げる要因になっているということができます。

同時に、肩こりがある場合は血行不良が起きていますから、

すでに血圧が上がりやすい状態にあるということも忘れてはいけませんね。

この血圧上昇は一時的な場合もありますが、

高血圧を患っている人の場合、さらに血圧が上がることになるので、注意しましょう。

特に、更年期世代の女性はホルモンバランスの乱れから血行不良を起こしていることが多く、

肩こりの症状がみられる人も少なくありません。

更年期障害などによる自律神経の失調やストレス、肩こりが重なって、

血圧が高くなりやすい状況であることを知り、注意するように心掛けましょう。

共通する要因

最後に、肩こりの人と高血圧の人に共通して言えることがあります。

それは生活習慣の影響です。

食生活の偏り、運動不足、ストレス…いずれも両者の発症に関わる要因です。

つまり、生活習慣が乱れやすい人は肩こりも高血圧も起こす潜在的な原因を持っているということです。

生活習慣の見直しによって、肩こりも高血圧も改善できる可能性は非常に高いのです。

どちらも要因の多くは自分の行動に隠れているということを意識するようにしましょう。

 
なお、一般的な高血圧(本態性高血圧)ではなく、

他の病気の結果として発症する高血圧(二次性高血圧)の場合は、

肩こりだけでなく腰痛も現れることがあります。

別の疾患が原因となっている可能性があるので、医療機関を受診することをおすすめします。

 

肩こりの解消法

それでは、高血圧の人に適した肩こりの解消法を紹介していきましょう。

高血圧も肩こりも慢性的なものですから、いずれの方法も継続して行うことが大切です。

少しずつでも心掛けたり取り組んだりすることを続けて、習慣づけるようにしていきましょう。

食事

食事の見直しは高血圧の改善に最も効果が現れやすい方法の1つです。

高血圧が原因で肩こりを発症している人には、肩こり解消にもつながりますね。

具体的にどのような成分や食材を摂ると良いのか、見ていきましょう。

タンパク質

筋肉の低下は肩こりを招くので、原料となるタンパク質を積極的に摂取しましょう。

できれば糖質(炭水化物)を控え、その分をタンパク質で補うと肥満防止になり、

筋力アップにもつながります。

肥満は血圧の上昇につながり、体の各部位の重さが増えることで僧帽筋への負担も増すことにつながります。

ダイエットを兼ねたい女性なら、筋力アップによって基礎代謝を上げることもできるので一石二鳥ですよ。

 
タンパク質は肉・魚に多く含まれる物質ですが、脂質が多い食材でもあるため、

選ぶときには注意してください。

鳥のささみや胸肉、鮭・白身魚などは良質なタンパク質が豊富で脂質も少ないので適しています。

また、大豆製品はタンパク質だけでなく食物繊維やイソフラボンも多く含んでいるため、

取り入れて欲しい食材ナンバーワンです。

ビタミンE

ビタミンEには血管の老化を防ぎ動脈硬化を予防するなど、血行を促進する作用があります。

特に40代以降では、血液中の過酸化脂質の量が急激に増加し、

コレステロールを酸化して動脈硬化を起こしやすくなると言われています。

肩こりの人にも、動脈硬化をおこしやすい高血圧の人にも摂取してほしい栄養素と言えますね。

 
ビタミンEは多くの食材に含まれていますが、

油溶性ビタミンなので、油と一緒に摂ると吸収率が高まります

アーモンド、ピーナッツなどのナッツ類、うなぎなどは

ビタミンEも脂質も含まれているので適した食材ですが、肥満の人は食べ過ぎないように気をつけましょう。

野菜類ではカボチャ、モロヘイヤなどに多く含まれているので、

これらと上手に組み合わせて摂ると良いですね。

また、マヨネーズにもビタミンE・脂質の両方が含まれています。

調味料として上手に活用していきましょう。

運動・ストレッチ

運動は、高血圧が肩こりを起こす場合も、その逆の場合も、どちらのタイプにも効果があります。

特に、肥満傾向があって高血圧や肩こりのある人にはピッタリの方法です。

運動が血圧を下げる作用には色々ありますが、中でも大きな効果が得られるのが、

  • 筋力による血液循環のサポート
  • 体重減少による降圧効果

です。

運動によって筋肉を動かすと、リズミカルな収縮によって血管が刺激され、血流を促進する効果があります。

高血圧や肩こりの原因の1つに“血液の流れにくさ”がありますから、これを解消できるわけですね。

中でもおすすめはウォーキングです。

ただ歩くだけですが、このときに使うメインの筋肉は、“第二の心臓”とも呼ばれる「ふくらはぎ」です。

下半身に滞りがちな血液を、重力に逆らって心臓まで戻す“ポンプ”の役割をしてくれます。

腕のふり幅を少し大きめにすると、肩周辺の筋肉も動かせますよ。

 
また、運動によって体重を減らすことも、高血圧と肩こりの改善に効果があります。

コリの原因となる僧帽筋は頭と腕を支え、姿勢を維持する筋肉ですから、

肥満によって重さが増すと、僧帽筋には大きな負荷がかかり、緊張状態が増えることになります。

負荷を減らし、血行を良くすることは僧帽筋をサポートすることになるわけですね。

ちなみに血圧への効果ですが、国立循環器病研究センターによると、

ウォーキングのような軽い運動をなるべく毎日30分行うことで、血圧が5~10mmHg低下するそうです。

さらに、減量することで体重1kgあたり1mmHgの血圧低下が期待できるとのことですから、

高血圧改善にはピッタリですね。

もちろん、高血圧が改善されれば血行不良も防げますから、肩こりにも効果が現れることでしょう。

 
一方で、コリが酷く重点的に肩回りをほぐしたい場合は、ストレッチも取り入れると良いでしょう。

肩甲骨を動かすと、隣接する僧帽筋が刺激されて血行が良くなり、肩こりに効果が得られます。

“肩甲骨はがし”として話題にもなりましたね。

今回は座ったままでもできる方法を紹介しましょう。

  1. 両手を肩に当て、そのまま肘を上下に動かす。
  2. 続いて、肘を前後に動かす。
  3. 最後に、うしろ周りにゆっくり大きく肘を回す。

無理に動かさず、気持ちいいと感じられる範囲や回数で実行しましょう。

まとめてやるよりも、家事の合間などに小まめに行う方が効果的ですよ。

最後は薬剤を用いて肩こりを改善する方法を紹介しましょう。

すぐに痛みを緩和したいときや、食事や運動など改善策のサポートとして利用するとよいでしょう。

鎮痛剤・筋弛緩剤

炎症を抑えることで痛みを和らげる鎮痛剤」は、肩こりが辛いときにも使用できます。

飲み薬のほかに消炎鎮痛薬が配合された塗り薬貼り薬もあり、市販薬でもお馴染みですね。

 
一方の「筋弛緩剤」は、緊張した肩の筋肉を緩めて血行の改善を促すものです。

処方薬のほか、市販薬も多く出ています。

 
どちらも、病院に行けば医療成分が多く含まれた処方薬をもらえるので、市販品よりも効果的です。

症状によっては注射を受けることもあります。

しかし、いずれにしても一時的なもので、肩こりの根本的な解決にはなりません

応急処置と考えると良いでしょう。

高血圧で治療中の人は、医師に相談してから服用するようにしてくださいね。

降圧剤

降圧剤」とは血圧を下げる薬です。

特に、高血圧による血行不良で肩こりを発症している可能性がある人は、

血圧のコントロールをきちんと行うことから始めましょう。

降圧剤を飲み始めて血圧が下がったら、肩こりが解消されたという人も多くいます。

 
しかし、降圧剤も高血圧の根本的な治療薬ではないので、肩こりへの効果も同様です。

高血圧は生活を改善することが一番の治療法と言われていますので、

降圧剤を服用して血圧を安定させながら同時進行で行っていきましょう。

漢方薬

漢方薬にも高血圧の治療薬はありませんが、血行を改善することで血圧の低下をサポートし、

肩こりの改善に効果があるものがあります。

代表的なものを紹介しましょう。

 

《高血圧と関係する肩こりに効果がある漢方薬》
漢方薬適した人効果のある症状
大柴胡湯(だいさいことう)体格がよく体力のある人で、上腹部が固く張り、便秘がちな人。高血圧や肥満が原因で起こる肩こり・頭痛、胃炎、胆嚢炎、便秘など。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)体力が中程度以上で月経不順、月経痛、腰痛、便秘の起こりやすい人。高血圧に随伴する頭痛・めまい、のぼせ、肩こりなど。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)体力があり皮下脂肪が多く便秘がちの人。肩こり、のぼせのほか、肥満症や蓄膿症、湿疹、皮膚炎、肌荒れなど。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)虚弱体質の人や婦人科疾患(月経障害、不妊症、更年期障害など)のある人。めまい、頭重、肩こり、腰痛、動悸、虚血性心疾患など。

漢方薬はタイプの合わないものを服用すると、効果が得られませんので注意が必要です。

選ぶときはパッケージをよく確認するようにしてくださいね。

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