高血圧・動脈硬化

高血圧と血糖値の深い関係とは?改善するには

血糖値が高いと「糖尿病」になるということは、広く知られていますね。

でも、血糖値が血圧を高くしてしまう要因になるということを知っている人は少ないのではないでしょうか?

ここでは、高い血糖値が高血圧になりやすくする原因と、高血圧と糖尿病を合併したときのリスクを解説し、

これらを改善する食事の内容や摂り方について紹介しています。

 

血糖値と糖尿病

血糖値とは何でしょうか?

私たちは食べ物を消化して栄養を得ていますね。

このうち、米やパンなどに多く含まれる“糖質”は消化されてブドウ糖になり、

血管に吸収されて血液と共に臓器や組織へと運ばれていきます。

この“血液中のブドウ糖の量”を「血糖値」というのです。

ブドウ糖は私たち生物が生きていく上でとても重要なエネルギー源なので、

細胞で必要とされたとき、すぐに供給できるよう血液中に一定量が保たれています。

食事の直後は消化によってブドウ糖が血液中に多く吸収されるので一時的に高くなりますが、

過剰な分は消費されて少なくなった時や空腹などの栄養が補給されない時に備え、

肝臓や筋肉で蓄えたり脂肪に変換したりしています。

こういった血液中のブドウ糖量をコントロールしているのが、

膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」です。

膵臓は血液中のブドウ糖が増えたのを察知すると、

細胞に摂り込ませたり、蓄えたりするように指令を出すのです。

 
ところが、肥満などによって膵臓から分泌されるインスリンの量が減少してしまうと、

血液中のブドウ糖量をコントロールできなくなり、血糖値が常に高い状態になってしまいます。

これが「糖尿病」です。

日本糖尿病学会の血糖値の診断基準は以下の表のようになっており、

さらに血糖値に加えて

HbA1cという“赤血球中のヘモグロビンのどれくらいが糖と結合しているか”を示す検査値も用いて

糖尿病かどうかを判断しています。

血糖値は今現在の血液中のブドウ糖量を示すので、前日の食事などの影響を受けやすいのですが、

HbA1cは過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映するため、長期にわたる血糖値の状態も知ることができます。

このため、両者の測定値を元に診断を下すことが多いので、HbA1cも併せて掲載しておきますね。

 

《血糖値・HbA1cによる糖尿病の型の判定》
糖尿病の型血糖値HbA1c値
空腹時判定条件食後2時間後
正常型 110mg/dl未満および140mg/dl未満
4.9~6.0%未満
正常高値101~110mg/dl未満5.6~6.0%未満
境界型
110〜125mg/dl未満

または140〜199mg/dl未満6.0~6.5%未満
糖尿病型
126mg/dl以上
または200mg/dl以上6.5%以上

なお、正常高値とは、2008年に設けられた正常型の中の新しい区分で、

正常値の範囲であるものの、糖尿病へと進行するリスクが高い値を指します。

また、境界型とは、正常型と糖尿病型の中間に位置する、いわゆる「糖尿病予備軍」です。

国立国際医療研究センター研究所の糖尿病情報センターによると、

「境界型は正常型の6~20倍も多く糖尿病を発症すると言われており、

将来糖尿病を発症する確率が高い状態」としています。

十分な注意が必要ですね。

血糖値が高くなって糖病病になると尿の中にも糖が排出されるようになるため、

病気の名称になっています。

健康な人でも甘い物を食べ過ぎた後などは一時的に尿糖が検出されますが、

糖尿病の人は継続的に検出されるようになります。

そして、血糖値が高い状態が続くと、ブドウ糖が細胞や組織に悪影響を及ぼすことがわかっています。

 

高血圧と血糖値の関係

それでは高い血糖値が体に及ぼす影響にはどのようなものがあるでしょうか?

糖尿病の合併症としては糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などがありますが、

心筋梗塞、末梢動脈疾患、脳梗塞といった血管系疾患のリスクが上がることも重要視されています。

そして、血管系疾患は高血圧と非常に深い関係にあります。

つまり、高血糖が血圧に影響を及ぼした結果として、血管系疾患を引き起こしているわけです。

それでは、なぜ高血糖が高血圧を引き起こすのか、その理由を解説していきましょう。

血液量が増加するから血圧が上がる

私たちの体液には色々な成分が溶けていますが、この濃度には「浸透圧」が作用しています。

浸透圧とは、簡単にいうと、小さい穴のある膜(半透膜)を隔てて濃度の違う液があったとき、

濃い方が薄い方から穴を介して水分を吸収する力のことで、

これによって2つの液体は濃度の差を小さくすることができ、安定化できるのです。

これを血管という半透膜を隔てた血液と、その外側にある細胞間を満たす体液で考えてみましょう。

血糖値が高い状態…つまりブドウ糖の濃度が高い血液は、

周囲の薄い体液から水分を取り込んで薄まろうとしますね。

このとき、吸収した水分の量だけ血液の体積は増えたことになります。

でも、血管自体の体積が増加したわけではないので、増えた体積の分、

血管内の圧力は上がる…つまり高血圧になってしまうのです。

太るから血圧が上がる

血糖値が高いということは、

私たちの体にとって最も効率の良いエネルギー源であるブドウ糖が体内に豊富にあるという状況です。

生物の体にはブドウ糖が過剰にあるとき、飢餓状態に備えて栄養を蓄えようとする防衛本能があります。

それに適しているのが“体脂肪”です。

血糖値が高いということは、体脂肪が多くなる=肥満につながるわけですね。

肥満になると体積が大きくなるので、

心臓は体の隅々まで血液を届けようとして、高い圧力で送り出すことが必要になってきます。

こうして血圧が高くなっていくわけです。

動脈硬化を促進するから血圧が上がる

高血糖の状態は、分子レベルでも致命的な変化を引き起こしていきます。

その代表的な変化が“糖化”です。

高血糖によって体内のタンパク質は“糖化”と呼ばれる変性を起こし、

タンパク質本来の機能を失ってしまうのです。

タンパク質は生体を構成する重要な物質ですが、

実は、高血糖にさらされる血管の内壁も“コラーゲン”というタンパク質でできています。

これが変性するとしなやかさや弾力性が失われ、硬くなってしまうのです。

また、体に必要な成分に“コレステロール”がありますが、

このうちのLDL(悪玉)コレステロールは糖化すると固まりやすくなって

血管の内側にこびりつくようになります。

これを取り除こうとして集まってきた白血球の一種“マクロファージ”が処理の途中で死んでしまうと、

その死骸もこびりついて血管の内側がどんどん狭くなってしまいます。

このようにして硬く細くなった血管の状態を「動脈硬化」といいます。

動脈硬化によって細くなった血管を心臓から送り出された血液が通ろうとしても、

弾力性を失っているために広がることができず、スムーズに流れることができなくなっています。

つまり血管を押す力“血圧”が高まってしまうというわけです。

インスリンの作用によって血圧が上がる

血糖値が高いとインスリンが分泌されることは既に触れましたね。

インスリンには交感神経を刺激し、尿を作るときにナトリウムイオンを再吸収するよう促します

このナトリウムイオンは体内の浸透圧を調節する重要な物質で、

食塩(塩化ナトリウム)に含まれる物質です。

しょっぱいものを食べ過ぎたとき、喉が渇きますよね?

これは体内に摂り込み過ぎたナトリウムを薄めようとして水分を欲しているわけです。

そして、水分をとると体液が増大します。

つまり、血圧を上げないと全身に血液を送れないということになりますね。

また、インスリンには血管壁を構成する細胞の成長を促して血管を狭くさせてしまう作用があります。

これによっても血圧は高くなってしまうのです。

 

高血圧と糖尿病を合併した時のリスク

高血糖の状態は高血圧を起こしやすく、糖尿病患者の約50%が高血圧であるというデータがあります。

そして、高血圧は血管系疾患を起こしやすく

これには死亡率が高く後遺症も起こしやすい病気が多いのです。

 
東京女子医科大学臨床検査科・糖尿病センター 佐藤麻子先生によると、

糖尿病があると、糖尿病がない人に比べて

心筋梗塞や脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)の発症率が2~3倍も高くなりますが、

さらに糖尿病に高血圧が加わると、

糖尿病や高血圧症のない人に比べて6~7倍になると言われているそうです。

糖尿病も高血圧症も動脈硬化を進める病気ですから、

負の相乗効果がある分、リスクが増してしまうわけですね。

また、糖尿病の患者は糖尿病でない人に比べて、心筋梗塞などを含めた血管障害による死亡率が高くなり

その死亡率は血圧が高いほど増すそうです。

糖尿病も高血圧も、発症の背景には“肥満”が関係していることが多くあります。

食生活や運動の習慣など、手近なところから改善を試み、負の連鎖を断ち切るようにしましょう。

 

改善に効果がある食べ物や摂り方

高血圧も高血糖も生活習慣が原因となって起こりやすい疾患です。

特に「食生活」は毎日3回だけに限らず、

間食や夜食、質・量などコントロールすべきポイントがたくさんあるので注意すべきところです。

 
それでは高血糖を改善し、血圧の上昇を防ぐのに適した“食べ物”や“摂り方”はあるのでしょうか?

双方の改善に向けて、効果的な食材や気をつけたい摂り方についてまとめてみました。

ぜひ実践してくださいね。

食べ物

食事をした後は、血糖値が上がりやすくなります。

特に、ブドウ糖に分解されやすい糖質を多く含む食材は急激に血糖値を上げてしまうので避けるべきです。

糖質を多く含む食材は白米、パン、麺類などの主食となる食品です。

避けたいところですが、重要なエネルギー源でもあるので、

適量を守り、血糖値を上げにくくする食物繊維を豊富に含んだ食材と一緒に摂るようにしましょう。

食物繊維はゴボウ・人参などの野菜類、きのこ類、海藻類、豆類などに多く含まれています。

副菜に積極的に取り入れて、糖質の吸収を穏やかにしましょう。

また、ビタミンB1には吸収した糖質の代謝を早めてくれる効果があります。

これが不足するとエネルギーに変換されにくくなるので肥満の原因にもなることもあります。

たっぷりと摂るようにしましょう。

ビタミンB1は豚肉やうなぎ、玄米、大豆製品(納豆、豆腐など)に多く含まれますが、

動物性だと脂質の摂取量も増えてしまうので、できるだけ植物性の食材から摂るようにしましょう。

なお、食物繊維は果物にも含まれますが、一緒に含まれている果糖は血糖値を上げてしまうだけでなく、

中性脂肪に変わりやすいこともわかっています。

高血糖だけでなく肥満の原因にもなるので、

1日にバナナなら中1本、リンゴなら1/2個程度までに留めておきましょう。

摂り方

浸透圧の関係で血液量を増やしやすいのはブドウ糖も塩分中のナトリウムも同様です。

糖質の摂取を控えるのと同様に、塩分の摂り過ぎにも気をつけるようにしましょう。

特に蕎麦・うどん・ラーメンなどは、糖質が多くなりがちな上に

麺つゆやスープに多量の塩分が含まれています

どうしても食べるときは副菜に野菜をたっぷり付け、汁やスープは半分残すようにしましょう。

野菜にはナトリウムの排出を促すカリウムも豊富に含まれています。

食物繊維を摂る目的であれば茹でる・煮るなどした方がカサが減ってたくさん食べられるので良いのですが、

カリウムを目的にするのであれば、生野菜が一番です。

カリウムは水に溶けだしてしまうので、目的に応じて調理法も変えると良いでしょう。

 
一方で、糖尿病の人はできるだけ血糖値を安定させ、急激に上昇させないことが大切です。

そのためには、食事は1日3回、決められた時間に適量を摂るようにしましょう。

ダイエットのつもりで食事を抜くと、他の食事の時にどうしても多く食べてしまう上に、

急激に血糖値を上げることになり、逆効果です。

さらに、空腹の時間が長くなり過ぎることによって、

栄養素の吸収率が高くなり体脂肪がつきやすくなります。

肥満は血圧も血糖値も上げやすくする要因になるので、必ず3度の食事を規則的に摂るようにしましょう。

 
また、過剰な脂質の摂取は肥満の原因になりますが、

適度に摂ることで腹持ちを良くし、間食の防止にも役立つという面もあります。

加えて、脂質を一緒に摂ると、糖質の吸収を阻害する効果もあると言われています。

高血圧で高血糖の人に油っこい料理はおすすめできませんが、

上手に利用すれば改善に役立つということを知っておきましょう。

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