高血圧・動脈硬化

高血圧がむくみの原因になる?改善方法について

むくみ

女性なら、起床時や夕方などにむくみやすいという人は珍しくないかもしれません。

しかし、高血圧を抱える人の「むくみ」には危険な病気が潜んでいることもあり、注意が必要です。

ここでは、高血圧でむくみが生じる理由隠れている病気についてわかりやすく解説し、

むくみを改善する方法を紹介しています。

 

むくみの原因

「むくみ」とはありふれた症状の1つですが、医学的には「浮腫(ふしゅ)」といい、

老廃物や余計な水分が血管やリンパ管の外に出て細胞と細胞の間に溜まってしまった状態です。

これらの不要物を排出する機能のどこかに不具合がある状態といえますね。

まずは、むくみかどうかを見極めましょう。

むくみがあると思われる部分を10秒以上、親指の腹で強く押してみます。

このときにできた凹みがすぐに元通りになればOKですが、

5秒以上かかる場合はむくんでいると考えましょう。

足の場合はスネの内側で試すとわかりやすいですよ。

 
では、そもそもむくみはなぜ生じるのでしょうか?

人の体の水分量は体重の60%を占めていて、多くは細胞の中に存在していますが、

5%ほどが血液やリンパ液などの一部となり、15%ほどが組織間液として細胞と細胞の間に存在しています。

この組織間液中の水分は細胞や血管の中を出入りできますが、

物質の濃度が一定になるように調節する機能があるため、必要以上に染み出してしまうことはありません。

 
この調節する機能の1つが「浸透圧」です。

血管の中に存在するナトリウムやタンパク質が、血液から水分が出ていかないように引き留めているのです。

その量をコントロールする重要な器官が腎臓です。

後述しますが、腎臓には過剰なナトリウムを尿として排出する機能があり、

これによって血液中のナトリウム濃度を一定に保つようにしています。

それには腎臓へのスムーズな血液の流れが不可欠です。

つまり、腎臓へ滞ることなく血液を供給でき、

浸透圧のバランスがとれていれば水分の流出を正常な状態に維持できますが、

崩れてしまうとむくみが生じることになるわけです。

 
そして、もう1つ、水分の調節には「体液の循環」も重要です。

体液、特に血液は主に心臓の収縮と拡張によって体内をくまなく巡っていますが、

各部位の筋肉も手助けしています。

この作用が顕著なのが、体の末端部分…特に足です。

足は心臓から遠い上に、血液が心臓へと戻るには重力に逆らわなければなりません。

夕方、パンプスがきつくなってしまうという女性は、

この現象によって足に水分が溜まってむくんでいると考えられるわけです。

このような心臓だけでは補いきれない血液循環を手伝っているのが「筋肉」です。

足には“ふくらはぎ”にある腓腹筋(ひふくきん)という筋肉があり、足首や膝を曲げる時に使っています。

歩くときなど、この筋肉が伸縮を繰り返すことで血管がリズミカルに圧迫されるため、

血液を心臓に送り返すことができるのです。

ふくらはぎの筋肉にはこのような作用があるため、第二の心臓と呼ばれています。

座ったままでもつま先をパタパタと上下させるだけで腓腹筋を動かすことができるので、

エコノミー症候群の予防法としても推奨されているほどなんですよ。

 
このように、むくみの多くは「浸透圧」や「体液の循環」が正常に行われていないときに生じます

むくみにはちょっとした体調の変化や、同じ姿勢のとりすぎ、あるいは食事の内容などで

一時的にバランスが崩れて起こるケースも多くあります。

しかし、中には病気が原因となって生じていることもあり、この場合は放置すると危険なこともあるのです。

そして、その中には高血圧に起因するものもあります。

次項では、この点について解説していきましょう。

 

高血圧でむくむ理由

実は、高血圧だけではむくみは起こりません

高血圧の人にむくみの症状が出やすいのは、高血圧によって生じた別の病態・病気が原因です。

つまり、むくみは高血圧の合併症によって起こる現象なのです。

これらの病態や病気と高血圧の関係について、それぞれ見ていきましょう。

動脈硬化

高血圧に端を発するむくみの多くは、「動脈硬化」に起因します。

血管が長い期間、高い血圧にさらされていると、血管の内壁が少しずつダメージを受け、

備わっていた“血液をスムーズに流す”という作用を失っていきます。

その結果、コレステロールなどが沈着しやすくなり、それを取り除く過程で堆積していった物質によって、

血管がどんどん狭く、硬くなってしまう「動脈硬化」になってしまいます。

こうなると、血液は動脈硬化によって狭まった血管を通り抜けにくくなるため、

血行障害を起こしてしまいます。

つまり、体液の循環がスムーズにいかないため、水分も滞りやすくなってしまうわけですね。

心不全

心臓から血液を送り出す機能が低下している状態の総称を心不全といいます。

病名としては「心筋梗塞」「狭心症」「心臓弁膜症」などがあり、

その原因には感染症や飲酒などもありますが、高血圧が関係しているケースも多くみられます

 
高血圧が原因で心不全を起こす理由は、長期間にわたり心臓に負担をかけ続ける点にあります。

血圧が高いということは、心臓が高い圧力で血液を送り出していることになりますね。

それだけ心臓は頑張っているということです。

心臓は1日に10万回も拍動していますが、

長期間続けば疲れ果て、ポンプ機能がおちた状態(心不全)になってしまうのです。

心不全になると肺に血液が溜まりやすくなり、静脈でうっ血を起こすために足にむくみが現れます

さらに、冠動脈などで動脈硬化がおこれば心臓への血流に影響して、

狭心症や心筋梗塞の原因になることもあります。

腎臓病

循環器系ではない腎臓は血圧とあまり関係がないように感じるかもしれませんが、

実は深い繋がりを持っています。

腎臓は、血液によって運ばれてきた老廃物や不要な水分を濾過して尿を作る器官です。

腎臓へは1分間に約1000㎖という大量の血液が流れ込んでいます。

ここから不要な水分や物質を漉し取り、体液の成分を一定に保つという役割を担っているわけですね。

このため、腎臓の中にある「糸球体」には網の目のように毛細血管が張り巡らされ、

糸球体内の血圧を上げるなどして濾過を行っています。

しかし、高血圧の状態が長く続くと糸球体内部の血管で動脈硬化が起こり

必要量の血液が糸球体を通過できないため、濾過機能が低下してしまうことがあるのです。

こうなると、不要な水分を尿として排出することができないため、

そのまま血液として体を巡ることになり、むくみの原因となってしまうのです。

腎臓によるむくみには、足だけでなく、手、顔、腹部など全身で起こりやすいという特徴があります。

前述のように足はむくみやすい部位ですが、

その他にも見られるようでしたら腎機能の低下を疑ってみましょう。

むくみの症状と併せて、摂った水分量に対して尿量が少ないというのも目安になります。

進行すると腎機能が著しく低下した「腎不全」になり、命に関わることもあるので注意が必要です。

薬の副作用

慢性的に高血圧を患っている人のほとんどが、血圧を下げる薬「降圧剤」を服用していると思います。

しかし、降圧剤の副作用に「むくみ」をもたらすものもあるのです。

降圧剤にはいくつか種類がありますが、「カルシウム拮抗剤」「ACE阻害剤」に分類されるものには、

副作用として“むくみ”が見られることがあります。

自分が服用中の薬に該当するかどうか、薬剤師に尋ねたり、“お薬手帳”で確認したりしてみるとよいですね。

もちろん、薬の副作用によるものではないこともあります。

上記のような心臓や腎臓の病気が隠れているかもしれません。

“症状が続く”、“気になるほどむくむ”といった場合には、早急に医師の診断を受けましょう。

 

改善の方法

高血圧がある人にむくみが起こる原因は、

  • 血液循環が良好でないために水分が滞るケース
  • 水分の排出に不具合があるケース

がほとんどです。

高血圧が直接の原因となってむくむことはありませんし、全く関係がない場合もありますが、

高血圧が引き起こす「動脈硬化」が別の病気の原因となり、

間接的(二次的)に関与するケースが多いのも事実です。

ここでは、こういったケースにスポットを当て、改善する方法を紹介していきましょう。

食事

高血圧があってもなくても、塩分の摂り過ぎは「水分の排出」に不具合をおこし、

むくみを生じさせる大きな要因となります。

特に食塩には“ナトリウム”が大量に含まれていて、

食事として摂取されると消化・吸収に伴って、血液中に摂り込まれていきます。

既に触れたように、ナトリウムは浸透圧に関与する重要な物質です。

これが大量にあると血液中の水分量が増え、血液量自体が増加することになります。

体液の量が増えるので、むくみやすくなるわけです。

 
このような理由から、減塩に取り組むことはむくみの解消に効果的ではありますが、

心掛けていても外食が続いたりして摂り過ぎてしまうこともありますよね。

そんなとき、ぜひ積極的に摂取してほしいのが“カリウム”です。

カリウムは腎臓でナトリウムが排出されるのをサポートしてくれる代表的な物質です。

むくみが気になるとき、塩分を摂り過ぎたと感じるときはたっぷり摂るようにしましょう。

カリウムは多くの食材に含まれていますが、

水溶性の物質であるため、調理の過程で失われてしまうことが多いのが難点です。

なので、最も確実で手軽な方法は「生野菜」や「果物」を食べることなんですね。

ただし、できるだけ丸ごと洗うようにしてください。

カリウムは野菜の切り口からもどんどん流れ出してしまいます。

とくにレタスなどの葉物野菜をちぎってから洗うのはNGです。

イチゴなどもヘタを取る前に洗うようにしましょう。

衛生面に気を配って、きれいに洗えるように…と下処理してから行う主婦も多いですが、

カリウムだけでなくビタミンCなどの水溶性ビタミンも失われてしまいますよ。

なお、むくみがあっても肥満傾向のある人は、果物ではなく野菜中心に摂るようにしてください。

果物には糖分が多く、太る原因になってしまいますので、ほどほどにしておきましょう

また、腎臓に疾患のある人はカリウムの摂取が制限されていますので、

医師の指示に従った食事療法を行ってくださいね。

運動

運動は「良好な血液循環」を保つのに欠かせない方法です。

特に、足を動かして筋肉を伸縮させることは、

第二の心臓であるふくらはぎのポンプ機能を活発にしてくれます。

もともと、女性は男性よりも筋肉量が少ないためにポンプ機能も低いと言われ、

このためにむくみやすいと考えられています。

さらに、40代に入って更年期障害などで体調不良が見られるようになると、

外出をためらって運動の機会が減ってしまう女性も少なくありません。

運動で高血圧が改善することも確認されていますから、ぜひ実行しましょう。

 
ふくらはぎの筋肉を動かすいちばん簡単な方法は「歩くこと」です。

買い物、犬の散歩、通勤など、ちょっとしたことから歩く習慣を作りましょう。

外に出られないときは、ストレッチやヨガなどでもOKです。

普段伸ばさない筋肉を伸ばしてあげると、指先などが温かくなるのが感じられますね。

末端の血行が良くなると体全体の血液循環も促進されますから、毎日取り組んでみてください。

薬の服用

むくみが酷い場合には薬を用いるという方法もあります。

代表的なものが「利尿剤」です。

利尿剤は腎臓に働きかけ、ナトリウムと水分の排出を促進させ、

尿の量を増やして体外へ排出させる働きをします。

むくみの解消には非常に効果的な薬と言えるでしょう。

利尿剤を服用すると、結果的に血液中の水分も減少し、血液量を減らすことで血圧を下げられるため、

降圧剤の一種として服用することも珍しくありません。

 
また、漢方薬にもむくみを取る作用を持つものがあります。

最も一般的なものは「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」です。

服用に向いているのは比較的体力があって肥満傾向の人で、むくみの解消のほか、

高血圧、肥満に伴う動悸、便秘、肌荒れなどにも効果が見られます。

通院中の人は、必ず医師に相談してから服用してくださいね。

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